覚醒⑥
「局長、お待たせしました。こいつが例の…」
銀髪の男が軽くおじぎをした。
誠の入った部屋は、先ほど自分が居た部屋とはうって変っていた。
天井にはシャンデリア、床には一般庶民の家にはないような絨毯。
部屋のいたる所にも高級そうな家具、骨董品が立ち並んでいる。
部屋の中央には向い座りの大きな机とソファー、その奥に「社長の椅子と机」
まぁ、いわゆる高級なイスと机がある。
そこに一人の男が座っていた。
「すまないね。怪我も治りきっていないのに呼び出したりして。」
「いえ、大丈夫です。歩ける程度には治療しましたので。」
銀髪の男が勝手に答える。
大丈夫・・・じゃねぇよ!! と誠は叫びたかったが、この部屋に入る前の男の言葉が頭を過ぎり、無理やり飲み込んだ。
(それにしても・・・)
誠には疑わしい光景が広がっている。
部屋にある高級家具の数々もそうだが、それよりも何もこんな優男がこいつボス?
まったくもって信じられん…
優男の容姿は、誠の想像していたガチガチムチムチで、顔に刀傷がある悪人面とは全く正反対であった。 今流行りの草食系男子? 黒縁のデザイン眼鏡をかけ、スーツを着てネクタイ締めた感じである。
「君が斉藤誠君だね。 はじめまして、僕は内藤雅彦