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覚醒④

再び廊下を歩きだして15分が経った。


相変わらず、同じ景色は続いていた。


二人の間には沈黙が続き、気まずい雰囲気が流れてた。


誠は銀髪の男に話しかけようとしたが、ややこしい・・・ その繰り返しも誠の中で15分前から続いていた。


銀髪の男は相変わらずしれっとしているが、誠にしてみれば、苦痛以外に他ならなかった。


(うう・・・ さすがに疲れてきたな・・・ なんでこんな広いんだよここは)


廊下には同じ木製のドアとシャンデリアしかないので、ここがどこでどういう場所なのか不明であった。


唯一わかることは地下であるということ。そこには窓が一切なく、外が昼なのか夜なのかわからないことから誠はそう推測した。


しばらくして沈黙が破れた。沈黙を破ったのは意外にも銀髪の男の方であった。


「おまえ、できることは?」


「え?」


いきなりの質問であったので、誠は返答に困った。


「特技は何だと聞いている!! 貴様学生だろ。部活とかやっているんじゃないのか!」


こいつすぐに怒鳴るな・・・ 誠はみけんに皺を寄せ、言われるがままに答える。


「剣道、やってるけど・・・」


「腕は」


「一応、4段・・・」


「ほぉ、貴様ごときが有段者とはな。意外だ」


(テメェ… 俺をどんな目で見てたんだ・・・ ぜってーぶっ飛ばす)


誠は心の中でそう思い、あえて口には出さない。


「まぁ、剣道でよかったぞ。 弓道とか射撃とかぬかしやがってたら斬り殺してたとこだ」


「なっ・・・」


誠は思わず身構える。


「冗談だ」


銀髪の男は悪びれた様子もなくさらっと言った。


(冗談に聞こえねーよ・・・)


1度斬り殺されているということもあり、誠は言葉を誤った時のことを想像した。冗談だとわかっていながらも悪寒がした。


その会話を最後に再び沈黙が訪れた。


再び訪れた沈黙と銀髪の男の冗談と解釈できない冗談のダブルパンチで誠は精神的に疲れていた。


それからさらに10分くらい歩いただろうか。誠が視線を下に向けて歩いていると行き止まりに顔をぶつけた。


壁にしては固さが足りない気がする。 誠は『ぶつかった壁』をよく見ると青ざめた。


ぶつかったのは男の背中だった。 また怒鳴られる!っと誠は身構えたが、男の方はぶつかられたことは全く気にしていないようで、まっすぐ前を見据えている。


「着いたぞ」


誠は男の見据えている方向をみると、そこには木のドアがあった。 しかし、今まで両サイドにあったようなドアではなく、両開きのドアがあり、ドアの奥には明らかに『偉い人』が居るような雰囲気を漂わせていた。


コンコン! 銀髪の男がその両開きのドアをノックした。


「坂本です。局長、いらっしゃいますでしょうか」


「どうぞ、入ってください」


「失礼します」


男はドアノブを手にかけてると、誠に向かって念を押すように言った。


「・・・失礼なことしてみろ。殺すぞ」


「わ、わかってるよ…!」


誠に対しての態度とは全く違う。こいつみたいな奴を従えるなんてどんな凶暴な奴なんだ… 誠は背筋に寒気を覚えた。


男がドアノブを回し、ドアをゆっくり押す。 ギギギッ っと音を立てて開いたドアの奥に二人はゆっくり歩き出した。






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