表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

覚醒②

パッと目が開き誠は眠りから覚めた。


真っ白な天井が目に映る。


(ここはどこだ・・・ 俺は一体何を・・・)


身体をゆっくり起こそうと、力を入れると全身に激痛が走った。


そのままベットに倒れ、しばらく痛みに悶える。


痛みが治まり、今度は慎重に身体を起こし、そのままの状態であたりを見回す。


ここは病院だろうか、部屋全体が白くとても広い。出入り口であろう木製のドア以外に外に出られるものはなかった。

もちろん木製の扉も白塗りである。


そしてその広い部屋の中心にパイプで作られたベットがある。その上に誠は横になっていた。


(それにしてもなぜ俺はここに・・・ 確か俺は・・・)


自分の記憶を遡る。


(おれはあの時、刀で斬り殺されたはず・・・ でも刀傷はおろか、外傷がほとんどない・・・ それにあの銀髪の男とあの怪物・・・ 何者なんだ?

あの男はあの男で助けた人間を斬り殺そうとするかよッ 普通・・・) 


愚痴を混ぜながら、自問自答を繰り返していると、部屋の外から足音が聞こえてきた。


ゆっくりとこの部屋に近づいてくるのがわかる。


やがてその足音は、部屋の前で止まった。


誠は身構えながらも、ドアをジっと見つめる。


「…目が覚めたか」


見覚えのある男が入ってきた。


その瞬間、誠の眼は一瞬にして警戒の眼差しに変わっていった。


長身で黒いコートを着た銀髪の男


紛れもなく、昨日誠に刀を振り下ろした男だった。


「てめぇ!! うッ…」


銀髪の男に殴りかかろうとした瞬間全身に激痛が走った。そして誠は床に崩れ落ちた。


「激しく動くなッ!! 表面しか治してないんだ、傷口が開くぞ・・・」


銀髪の男の怒声が部屋に響き渡る。


(傷口? そうか、やはり俺はこの男に・・・ でもどうして生きてるんだ・・・・?)


『生きている』それが誠の一番の疑問だった。


「さて、歩くぐらいはできるだろ。 立て」


ああ・・・ こいつ最低だ・・・  誠は心底そう思った。


「おい待てよ。痛くて身体が動かせねぇって!」


銀髪の男は誠を一瞥すると、頭を掻きながら舌打ちをした」


「・・・たく! つくづくめんどくさい奴だな」


そう言うと、誠の腕を持ち上げて無理やり立たせ、ベットに座らせた。


そして、銀髪の男は皮の手袋を外し、誠の鳩尾のあたりに手を添える。


「痛みの祖よ、この者の痛みを鎮静せよ・・・」


銀髪の男がそう唱えると、手の甲に青色の六芒星が浮かび上がった。


そして、六芒星が光を放つと誠から少しだが痛みが引いた。


「これは一体・・・」


六芒星の光が消えると同時に、銀髪の男は手を離した。


「立ってみろ」


相変わらず無愛想な口調で銀髪男は言った。


誠は言われるがままに恐る恐る立ってみた。 さっきまで立つだけで激痛が走っていたはずなのに、誠は平気であった。


誠は初めて見る物を見るような目で自分の身体を見つめた。


「多少の痛みはあるだろうが、それくらい我慢しろ。じきに無くなる。行くぞ」


「え・・ ちょ、どこにだよ」


「い い か ら 着 い て こ い っ ! ! ! !」


銀髪の男が物凄い見幕でどなり散らした。よほど、めんどくさいらしい・・・

 

「・・・はい」


これ以上コイツの逆鱗に触れるような発言は避けようと、無意識のうちに誠は返事をしていた。


誠はおとなしく銀髪の男についていき部屋を出た。


しかし、誠は知る由もなかった。この先銀髪の男と共に闘い、銀髪の男のように『奴ら』を殺すことになるとは…


誠の運命の歯車がゆっくり回り始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ