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戦公女の婿取り ~婚約破棄された僕だけど、戦公女の異名を持つ公爵令嬢に婿入り(契約結婚)することになりました~  作者: MIZUNA
第一章

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決闘

「さすが戦公女と名高いソフィア殿だ。肝が据わっておられる」


ライアスはしたり顔を浮かべるも、ソフィは動じずに「ただし……」と続けた。


「アルが勝利した場合、グランヴィス侯爵家が背負う賠償金をエルマリウス侯爵家と折半してもらう。そして、賠償金の請求対象者からエレノアは除外する」


「は、いいだろう。だが、私が勝利した時のことを忘れるなよ」


話がとんとん拍子に進んでしまい、僕はハッとしてソフィに耳打ちした。


「ソフィ、一体何を考えているんだ。僕、魔力は覚醒したけど、魔法はまだ使えなんだよ。その上、実戦経験もないのにどうやったらライアスに勝てるのさ」


「案ずるな、アル。この勝負、君の勝ちだよ」


「いや、でも……」


僕が困惑していると、彼女はふっと笑った。


「前も言っただろう。アルが自分をしんじられないなら、アルを信じる私を信じろ、とな。大丈夫、君は勝てるさ」


「えぇ……?」


本当に大丈夫なんだろうか。今回は彼女の意図がわからず、僕は首を捻った。



「では、これよりアルバート・デュランベルクとライアス・エルマリウスの魔法契約書を用いた決闘を始める。双方、中央に来られたし」


デュランベルク公爵邸の中庭にある訓練場でセシルの声が轟き、僕とライアスはソフィと彼の立つ中央に歩いて行った。


訓練場周辺には屋敷の人達で人集りもできているし、場外のすぐそこにはエレノア、ギル、セラもいる。


中央に到着すると、ソフィが懐から書類と小さなナイフを取り出した。


「この魔法契約書内容には、さっき話した内容が全て記載されてある。確認して問題なければ、血判を押せ」


「わかった。早く済ませよう」


ライアスは手慣れた様子でナイフの切っ先を親指当てて血を滲ませると、魔法契約書に押し当てた。


僕も見よう見まねで血判をすると、魔法契約書が光り出して僕とライアスを魔力で包み込んだ。


「これで契約完了だ。もし決闘後に契約が履行されなかった場合の罰則は『死』だ。双方、覚悟はいいな」


「わかった」


ソフィの言葉に頷くと、ライアスは僕が帯剣していることに気付いて勝ち誇った様子で笑った。


「魔法を得意とする私に対してそんな些末な剣で勝負するつもりか」


彼に些末と言われた剣は、持ち手の柄こそ装飾されているけど見るからに年代物だし、鞘も古びている。


「しかし、アルバート君には剣術の才能もなかったと記憶しているがね」


「ライアス殿に勝てるとは思いませんが、僕にも意地がありますので」


「意地、か。まぁ、せいぜい頑張ってくれたまえ」


ライアスは鼻で笑うと、僕から離れた場所で佇んだ。


僕も彼から少し距離を取って、身構える。


「双方、準備はいいな。では、決闘を開始する」


ソフィが掛け声を発すると、ライアスはにやりと笑った。


「アルバート君、折角の機会だ。魔法とはどういうものか、まずはお手本を見せてあげよう」


彼は高らかに宣言すると火、水、氷、風、土、雷、光、闇という各属性の大きな魔法弾を瞬時に生成してみせた。


訓練場に魔波が吹き荒れ、魔圧によって体がびりびりする。


「ほう、さすがは魔法の名家と呼ばれることはあるな。全属性同時発動とは素晴らしい魔法だ」


「そうですね。デュランベルク公爵領の前線にもほしいぐらいです」


決闘の勝敗と裁定を下す審判役として訓練場内にいるソフィとセシルだけど、二人はライアスの魔法をまるで花火を見て楽しんでみたいに見える。


周囲の人集りからも「おぉ」という歓声が聞こえ、セラに至っては「ライアス様、素敵ですわぁ」なんて声援を送っているようだ。


ぱっと見た感じギルは目を細めてまま、エレノアは無表情みたい。


「どこを見ているんだ、アルバート君。決闘は始まっているんだぞ」


「え、わ……⁉」


ライアスは生成した魔法こちらに飛ばしてきた。


僕はハッとして避けるも、魔弾は次々地面に着弾して爆音を轟かせ、爆煙を立ち上がらせていく。


「はは、聞いていたとおりのすばしっこさだ。避けることだけは得意なようだな、イルバノア殿も呆れながら認めていたよ」


「そうなんですね。今更そんなこと言われても、全く嬉しくありませんよ」


魔弾を躱しながら、僕は大声で返した。


実は幼い頃から魔法は使えないけど、魔法を避けるのは得意なんだよね。


魔法が近づいてくる気配がわかるというか、着弾点が肌でわかるという感じだ。


「……セシル。アルの動きをどう見る?」


「どう思うって……。あれ、間違いなく普通の動きじゃないですよ」


あぁ、どうしよう。


なんだかソフィとセシルが眉間に皺を寄せてこっちを見ているよ。


かっこ悪いとか、やっぱり『できそこないの落ちこぼれ』だって思われちゃったりしないかな。


ソフィとセシルだから、そんなことはないと思うんだけど、やっぱり不安になっちゃうんだよなぁ。


屋敷の人達も最初は歓声あげていたのに、今は僕を見てざわついてるみたいだ。


エレを見やれば、彼女は目を瞬いて口元を手で覆っている。


そういえば、エレは僕が訓練している様子を見たことなかったっけ。


逃げ回ってばかりだから、失望されてるかなぁ。


ギルは目を細めままだけど、相変わらず視線が冷たいな。


いや、試合前よりもっと冷たくなってるかもしれない。


セラは変わらず、ライアスに声援を送っている。


ただ、ちょっと声が大きくなっているかも。


それにしても、魔力が覚醒したおかげかな。


いつもよりも体が軽いし、思ったよりも速く動けているような気がする。


次々飛んでくる魔弾を躱しながら場外の様子に目をやっていると、「おのれ……⁉」とライアスの怒号が聞こえた。


はてと、足止めて見やれば、彼は何やら肩で息をしているし、全身汗びっしょりになっている。


「はぁ……はぁ……⁉」


「えっと、どうされました。ライアス殿、まさかもう疲れたんですか?」


「お、お前ぇ……⁉」


あれ、なんだろう。急にライアスの顔に青筋が走って険しくなった。


そういえば幼い頃、イルバノアとの訓練でも似たようなことがあった気がする。


確かあの時、魔法が発動できないことを怒られて『魔法が使えるようになるまで訓練中の魔弾は避けるな』って言われたんだよね。


加減されていたとはいえ、魔弾に当たるとかなり痛いんだよなぁ。


「良いだろう。ちょこまかと逃げ回るアルバート君には、これがお似合いだ。誘導魔弾【ガイデッドマジック】」


ライアスが叫ぶと再び火、水、氷、風、土、雷、光、闇という八属性の大きな魔弾が彼の周囲に生成され、こちらに向かって放たれた。


「また、これですか。手加減してくれてありがとうございます」


「うぐ……⁉ そうだ、アルバート君にはその程度の魔法がお似合いだぞ」


あ、やっぱり手加減してくれていたんだ。


ライアス、性格悪い癖に意外と優しいところあるじゃないか。


まぁ、少しでもそうした部分がないと、エレみたいな女の子は育たないよね。


飛んでくる魔弾をささっと躱すが、気配が消えずにハッとした。


見れば、魔弾が曲がって追尾してくるじゃないか。


「おぉ、さすがライアス殿ですね。でも、もっと数を出さないと僕は捕らえられませんよ」


「はは、そんなこと言って私を魔力切れさせるつもりだろうが、そんな挑発には乗らんぞ」

 

挑発してるつもりはないんだけどなぁ。


これ、幼少期の頃にイルバノアも訓練で使ってきたから対策を知っているんだよね。


僕は動き回りながら周囲を見渡すと、掌大の大きさの石を見つけて拾いに走る。


幸い、ライアスの魔弾が着弾したおかげ、訓練場の彼方此方に丁度良いのが何個も落ちているようだ。


「よし、これで…」


石を拾った僕は、向かってくる魔弾の中心を狙ってすぐさま投げた。


魔弾と石が接触した瞬間、爆発が起きて他の魔弾も衝撃波に巻き込まれ誘爆し、爆音が連続で轟いた。


「な、なんだ⁉ 何が起きたんだ」


ライアスが目を丸くして愕然としているが、僕は首を捻った。


「何って、魔弾に石をぶつけたんですよ。ほら、魔弾の中心部分に石を当てると爆発するじゃないですか」


「ま、まさか。『魔弾の目』をあんな一瞬で見極めたというのか⁉」


魔弾の目とは、台風の目みたいなものだ。


ぱっと見はわかりずらいけど、魔弾は進行方向に向かって渦を巻いている。


その中心部分は魔力密度が薄いから、石程度の堅さがあるものが入り込むと魔弾の形が崩れて爆発するというわけだ。


「見極めたって、そんな大袈裟なことじゃないですよ。見れば大体分かるじゃないですか。あれ、もしかして、魔法の名家と名高いエルマリウス侯爵家の当主なのに、ぱっと見でわからなかったりするんですか? 僕でもわかるのに?」


「な、ななな……貴様ぁ⁉」


あれ、何やらライアスの顔が真っ赤になって額が青筋だらけになってしまう。


彼は目を血走らせ、歯を食いしばって鬼の形相というに相応しい顔つきになってしまった。


まさか、本当にぱっと見でわからないのかな。


いや、それがさすがにないか。






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