プロローグ
新作です。皆様にお楽しみいただければ幸いです!
「アルバート・グランヴィス殿、私から提案がある」
「は、はい。何でしょうか?」
気品に満ちたとある一室。
僕はベッドに腰掛け、金髪を三つ編みにして青く力強い瞳を持つ彼女は椅子に腰掛けている。
急に真顔でただならぬ雰囲気を発した彼女に、僕は何事かと畏まった。
「私、ソフィア・デュランベルクに婿入りしてくれないか」
「え……? えぇ、婿入り⁉」
僕は目を丸くして驚愕した。
グランヴィス家の『できそこないの落ちこぼれ』と言われ続けていた僕が、カルドミア王国で王族に次ぐ影響力を持つ『デュランベルク公爵家』。
それも『戦公女』の異名を持つ長女に求婚されたのだ。
驚くな、というほうが無理だろう。
困惑していると、彼女はふっと表情を崩した。
「安心してくれ。婿入りといっても契約結婚だ」
「け、契約結婚……?」
僕はきょとんとして首を傾げるが、ソフィアの表情は至って真剣だ。
ちなみに今日の朝、僕は幼少期の頃から決まっていた婚約者の父親から婚約破棄を言い渡された。
そして、弟にその婚約者と後継者の座を奪われ、父上から屋敷を追い出され、辺境での隠居を命じられた挙げ句、道中で暗殺されかけるという人生最悪の一日……のはずだった。
それが何がどうして、デュランベルク公爵家の次期当主として名高い長女に契約結婚を申し入れられているのか。
これは、魔法の名家として名高いグランヴィス家の『できそこないの落ちこぼれ』と蔑まれていた僕が、『戦公女』の異名を持つ『ソフィア・デュランベルク』と世界最強で最高の夫婦になっていく物語だ。
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