表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

情報整理①

 マーサは所謂シゴデキ女で、自分の仕事は私という主人の意に沿うことだと割り切っているような、そんな人だった。


 でも、今の私にはそんなマーサが救世主で…その後も状況把握のためにいくつか聞き出した。そんなおかしな行動を取っても、マーサは何も言わず淡々と事実を述べるだけだった。


「…マーサ。」


「何でしょう、お嬢様。」


「…何も、聞かないの?」


 思わず、そう言ってしまってからマーサの表情を窺った。せっかく聞かないでくれていたのに自分から墓穴を掘ってどうする。


「…私は、お嬢様が物心つく前からお仕えしています。お嬢様のことは、何でも知っているつもりです。それでも、今のお嬢様は、私にはわかりかねます。…ですので、私もお嬢様を知りたいと、そう思っております。ただ、お嬢様が何も言わないのであれば、私は詮索するつもりはありません。」


 そんなマーサの言葉に、思わず言葉が詰まった。

 そうだよね。ある日突然、10年以上仕えてきた主人の様子がおかしくなったら…そりゃあビックリもするだろうし、一体何が主人の身に起こったのかも確認したいだろう。


「…そう。ありがとう、マーサ。いずれ、話せる時が来たら貴女には一番初めに伝えたいと思うわ。」


「……かしこまりました。」


 私は一旦マーサを下がらせると、今わかっている状況の整理を始めた。


 

 まずはここが、私が死ぬまでやり込んだ『secret garden~花束を君だけに~』の世界で間違いないということ。


 そして、これが夢でなければ…私はその『シクガ』の世界に転生したということ。

 …ただ、問題なのは何の情報もない所謂、モブキャラに転生してしまったということだ。


 自分の容姿を鏡で見ると…、悪くはないが世界観に合っていないことだけはわかる。



 美人ではあるが、あくまでもそれは東洋人の中では…という印象。西洋人とは比べ物にならないだろう。

 というか、黒髪ロングって……この世界観だと絶対浮きまくりでしょ…。


 『シクガ』は日本のゲーム会社が作った乙女ゲーだ。そりゃあモブにまで意識がいかないのは当たり前だけど…せめてもう少し日本人っぽくない見た目にしてほしかった。……まぁ、瞳の色が水色なだけ許してあげるか。


 そして、何の因果かはわからないけど、私は今世もツバキという名前らしい。

 まぁ…前世は苗字が椿だったから、そこまで椿と呼ばれることはなかったけど、自分の苗字は意外と気に入っていた。


 けれど、この世界観でツバキは違うでしょ!?確かに『シクガ』は植物をテーマにしていて、登場人物の名前は全て花などの植物に由来している。例えば、主人公のマリーはマリーゴールドだし、ロータスは蓮なのだ。

 

 だからこそ、ツバキなんて純日本人みたいな名前…『シクガ』の中ではあんまり聞きたくなかった……。



 まぁ…そんな事を言っていても、明日からはストーリーが始まってしまう。


 それならば、充実した学園生活を送りたいじゃない!生の推しに会えるかもしれないんだから。…絶対にその機会を逃すわけにはいかない。


 そのためにも、今一度『シクガ』の世界をおさらいしておこうじゃないの。


 私は紙とペンを取り出し、ゲームの内容とマーサから聞いた情報を書き出した。



 まず、『シクガ』は王立学園を舞台にストーリーが進む。

 王立学園には様々な学科が存在し、主人公であるマリーは薬草学科という、国に1つしかない学科に特待生として入学する。

 そんなマリーは植物と話せる不思議な力を持ち合わせており、その力を活かして攻略キャラたちと仲を深めつつ、学園で起こる事件や問題を解決していくというのが大まかなストーリーだ。


 他には、ロータスが所属する剣術学科やモネやカールが所属する魔法学科、王太子であるオリバーや現役の官僚である父からその実力を認められているシオンなど、高位貴族のみが所属する特別学科などがこの学園には存在する。


 大抵の貴族は普通科に所属しているが、なぜかこのツバキ・セヘルスは薬草学科に入学することになっていた。

 というのも、このセヘルス家は薬草を使って、前世で言うところの化粧品類を国内外の貴族向けに製造し、販売していた。


 また、ツバキ・セヘルスにはヘデラという4個上の兄もおり、兄は王国騎士団に所属している。


 ……モブキャラのくせに、と言ったら失礼だけど設定ゴリゴリすぎない?


 正直、悪役令嬢として出てきてもおかしくないぐらいには高貴な身分のツバキ・セヘルス。

 そんな身分だったもので、自分はストーリーに関わってくる悪役令嬢なのではないか?と疑ったけど…私の知る限りでは、どのルートでもツバキ・セヘルスという悪役令嬢は存在しない。


 そう…『シクガ』には、事件や問題をただ解決していく要素だけではなく、攻略キャラとのストーリーを進める上で必ず、悪役令嬢という邪魔者が存在する。その悪役令嬢は単に攻略キャラのファンだったり、親族だったり、婚約者だったりと様々で…勿論悪役令嬢の手ごわさで攻略の難易度も変化する。


2024.12.10


更新遅くなってすみません。

そのお詫びになるかはわかりませんが、各攻略キャラのモチーフ花を記載しておきます(本編で今後補足するかはわからないので笑)


オリバー:オリーブ

ロータス:蓮(本編に記載済み)

モネ:アネモネ

シオン:紫苑

カール:カルミア

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ