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推しとの出会い

 出前を受け取ると、沙耶香は早速私の隣に座り、ゲームを起動した。

 

「これが、『secret garden〜花束を君だけに〜』…通称『シクガ』よ!リリースされてからまだ1か月弱だけど、作画の良さからプレイ人口も多くてね。」


「スマホの乙女ゲームって、無料でできるものなの?」


「基本的には無料でプレイできて、自分が攻略したい対象とのメインストーリーを進めていくことができるよ。…ただ一方で、このゲームは課金ゲーとも呼ばれていてね…」


 そう、沙耶香が言いかけた時にキャラクターたちが次々と出てきた。

 1番目に出てきたのは、見たことないキャラだったけど、恐らくメインの攻略対象。何か、高貴な感じだ。


 沙耶香の推しキャラも含めて、あと何人いるんだろう…と次のキャラに画面が切り替わった瞬間、ドクンッと胸の高鳴りを覚えた。


「…カッコいいわね。このキャラ……」


 日本人らしい黒髪ではありながらも、優しげな瞳は濃い紫色。でも決して浮いて見えるわけでもなく、キャラに似合っている。

 剣を持っているということは騎士?…騎士という響きがまずカッコいい。


「ほぉー??莉緒さん…あなた、お目が高いですねぇ…。」


「ん?どういうこと?」


「キャラ人気、圧倒的ナンバーワン!顔良し、性格良し、そして主人公の幼馴染ポジションのロータス・ヴァーリエント!」


「最初に出てきたキャラじゃないんだ?一番人気。」


「まぁ、正確に言えばロータスとさっきのメインキャラ、オリバー・グレンヴェルの人気は拮抗してるとは思うけど…それでもロータスの方が人気高いと思うよ。」


「そうなのね…、本当に名前までカッコいいわね…。」


 そう言っているうちに、他のキャラが出てきた。


「あ、このキャラ…沙耶香の推しね?」


 銀髪に赤目…見た目は吸血鬼のような印象だけど、少しチャラチャラした印象だ。最初に見たポストカードとは全くの別人のような表情をしている。


「そう!!モネ・ブルーム!この子は双子の兄で、次に出てくるのが…双子の弟、シオン・ブルーム!」


 次に出てきたキャラは同じく銀髪だけど、瞳は綺麗な青色。儚げだけど、少し冷たい印象を受ける。


「そして、最後が…カール・クライシスね!可愛い見た目でしょ?」


「そうね。」


 このキャラもまた、日本人にいそうな明るめの茶髪だけど、瞳はピンク色。目が大きくてクリッとしている。

 

「これで攻略対象者5人が出揃ったわね!…それで、やっぱりロータスがお気に召した感じ?」


 ゲーム画面にタイトルが表示され、それぞれ5人が並ぶ。真ん中には大きくメインキャラと主人公であろう女子がいたけど…私の目には1人しか映らなかった。


「そうね…私、この人なら推せる気がするわ!」


「よし!そうと決まれば早速、莉緒も『シクガ』ダウンロードしちゃおう!せっかくなら莉緒自身にストーリー見て楽しんでほしいし!細かい設定とか、補えない部分は私が教えてあげる!」


「ありがとう、じゃあダウンロードするわね。」


「うん!ご飯食べながらのんびりやっていこー!」



「あ、そう言えば…さっき課金ゲーだとか何とかって言いかけてなかった?」


 ダウンロードがまだ終わらないので、頼んだピザや寿司等の炭水化物を頬張りながら聞く。

 すると、沙耶香はあからさまに嫌そうな顔をし、答えた。


「…そうなの。さっき見てもらったと思うんだけど、私の推しキャラ、雰囲気違うなぁって思わなかった?」


「沙耶香が作ったポストカードとキャラ紹介ムービーみたいなのでしょ?うん、何か別人?って思ったわ。」


「そう、それが課金要素。このゲームが唯一、クソ乙女ゲーと言われる所以なの。私が持ってるこのイラストは、課金でしか手に入らない物でね。ガチャを回して、限定スチルっていう一枚の場面絵をゲットすることで、やっとそのキャラのシークレットストーリーを解放できるの。勿論、単なるやり込み要素だから課金しなくても十分楽しめるからそこは安心してね。」


「限定…スチル?シークレット、ストーリー…?」


 あまりにも早口で沙耶香が説明するものだから大事そうな単語だけを拾い、復唱する。

 すると、沙耶香が苦笑い。


「ごめんごめん。思わずオタクの早口が出ちゃった。まぁ、要はそのキャラ特別のストーリーを見るために課金ガチャを回そうねっていう話!ただ、莉緒には純粋にゲームを楽しんでもらいたいから、課金は任せる!気になったら何でも聞いてね。」


「…わかったわ。」


 そして、丁度ダウンロードも終わったのでゲームを起動する。さっきも見たキャラ紹介映像が流れ、いよいよゲームが始まる。



『私はマリー。今日から貴族の方々ばかりが通う王立学園に、薬師としての腕を買われて、特待生として入学を許可していただいた。…私は庶民で、不安なところもあるけれど、きっと大丈夫!しかも、幼い頃一緒に遊んでいた彼も、どうやら学園にいるらしい…。』


【Mission1 幼馴染を探せ!】


「さぁ!ここからは学園内を歩き回って攻略対象者たちを探して声をかけていくの!後はミッションに従って動けば大丈夫!」


「うん、わかったわ。」

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