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ストーリー本編へ

 御者が二部屋取ってくれていたので、私とマーサが一室、御者とロータスたちがもう一室を使うことになった。


 そしてロータスは宣言通り、私たちの部屋の前で一晩見張りをしてくれた。カトレアと交代で行うとは言っていたけど、朝に御者から話を聞いたところ、物音一つ立てずに出入りをしていたようで、途中で目が覚めるなんてことはなかったとのこと…。


 しかも、御者が目を覚ました時には、ロータスが部屋で仮眠を取っていたそうだけど、備え付きのソファーに軽く身を委ねて目を閉じていただけで、御者が少し物音を立てた瞬間に目を覚まして挨拶をしたと話していた。



 それって…全然休めてないじゃないの!……護衛という、本来ならばなかったであろう仕事のせいで、ロータスの睡眠を阻害した自分に対して無性に腹が立った。


 まぁ…そんな事をロータスに言ったところで困らせてしまうだけだ。あちらは私のためを思ってやってくれたことなのだ。無下にはできない。


「ロータス卿、カトレア卿。…昨日は見張りをしていただき、ありがとうございます。そして、今日も護衛をよろしくお願いします。」


「いえ!ゆっくりお休みになられましたか?」


「はい、おかげさまで。」


「それなら良かったです。…王都にはいつご出発されますか?」


「朝食を軽く済ませたらすぐに出ます。卿たちも軽くお食べになってください。」


「…ありがとうございます。では私たちも簡単に食べさせてもらいますね。」


「はい。準備ができ次第お伝えしますわ。」


 そう言って、私たちはそれぞれで簡単に食事を済ませると、いよいよ王都へと向かった。



 盗賊に襲われてから馬車には乗っていなかったけど、どうやら御者が修理してくれたようで、元の馬車とは大差ないくらいには綺麗にされていた。


 ロータスとカトレアはそれぞれ馬に乗り、馬車の前後を護衛してくれた。少し先を行くロータスが、道の状況なども細かく伝えてくれていたため、大きな段差でさほど揺れることもなく、前日までとは比べ物にならないくらい乗り心地が良かった。


「王都に入ります!」


 前から声が聞こえると同時に、綺麗な街並みが飛び込んできた。


「うわぁ…綺麗……。」


 白やベージュを基調とした、西洋風の建物に、人々で賑わう街。出店が立ち並び、小さな子どもが風船を持って嬉しそうに駆け回る姿…。


 今まで立ち寄ってきたどの地域とも違う、溢れ出る都会感に思わず感嘆の声を上げる。


「…王都はさすがに人が多いですね。」


 そんな事をマーサが呟いた。人混みが嫌いなのだろうか?…確かに、長い間あんな辺境伯領で暮らしていたらこの人の多さには慣れないのかもしれない。でも、私にとってはこれくらい、大した人込みではなかった。…朝の通勤ラッシュ時の満員電車に比べたら、こんなの朝飯前だ。


「そうね。…でも活気があっていいわね。マーサ、あの食べ物?は何?」


「あれは…キャットフルーツでしょうか。…王都でしか栽培されていない果物だと聞いたことがあります。庶民向けの安価なものから貴族向けの高価なものまで様々だそうですよ。」


「そうなのね…、一度食べてみたいわ。」


 前世であれば、SNS映えしそうな猫型フルーツ。見た目的にはマンゴーに近い。…可愛い。


「…在学している間はいくらでも食べに来れるでしょうから、今度食べましょう。」


「ありがとう、マーサ!約束よ!」


 その後も、車窓から見える様々な食べ物に終始釘付けだった。中には、マーサが知らない物もあったりして…より一層、王都での暮らしが楽しみになった。



 暫く景色を眺めていると、見覚えのある建物が目に入った。


 気が付けば、前を走っていたロータスが馬車と並走しており、中にいる私たちに声を掛ける。


「到着しました。ここが王立学園になります。」


「…ここまでありがとうございます。」


 …やっとここまで辿り着いた。私にとってはここが実家のようなものだ。


 見覚えしかない景色、ゲーム内で散々歩き回った校舎…それにしても、本当に建物が綺麗だ。さすが、作画が綺麗で有名だったゲームなだけある。


 学園内は広大な敷地でありながらも、外部からの侵入を防ぐために厳重な警備がされている。正面には門番がおり、私たちの姿を見ると道を塞いだ。


「お名前を。」


「今年から入学するツバキ・セヘルスです。こちらは私のメイドのマーサ、そして護衛でここまで付き添ってくださったロータス卿とカトレア卿です。お二人はここまでで構いませんよ。本当にありがとうございました。」


「…すみません、それでは次の仕事がありますので失礼いたします。ツバキ嬢、それではまた学園でお会いしましょう。」


「…はい。お二人ともお気をつけて。」



 二人を見送り、門番に身分証を提示すると門が開かれた。簡単な荷物検査を終わらせ、いよいよ学園内へ。


 ゲームシナリオが始まる前に、攻略キャラ…それもよりによって私の推しに会うというハプニングはあったものの、やっとスタートラインに立てたのだ。


「絶対に、平和でハッピーなスクールライフを満喫してやるんだから!」


「…お嬢様、心の声が駄々漏れです。」



 『secret garden~花束を君だけに~』、通称『シクガ』本編の幕開けよ!

2025.1.16


第一章、無事完結です!ニ章以降もお楽しみください!

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