だれもしらないぼうけん
まっしろなへやじゃなあ。
わしゃ、どこかべつのところに、おったきがする。
どうにも、おもいだせんが、あったかかったきがするぞぇ。
そうじゃ、ここのように、あったかかった。
しかし、なんのにおいもせんなぁ。
なんにもかんじないしのぉ。
こえもだせん。
どこなんじゃ、ここは。
…ん、あっちのほうが、あかるいのぉ。
いってみるか。
…なんじゃか、しあわせなおもいでがみえる。
むすめが、まごをつれてきたときじゃ。
わかいときのばあさんが、むすめをだいておるのもみえる。
わかいときのばあさんとの、あぁ、こりゃけっこんしきのときじゃ。
わるがきのりょうちゃんと、じゅんぺいと、ざりがにとりにいったおもいでも。
そして、ありゃあ、わしのかあさんか?
…そうか、ここでおもいでとは、おわかれじゃな。
おもいでと、さよならしたら、きれいなところにでた。
ぼくみたいな、まっしろなこが、いっぱいいる。
あっ、すべりだいだ。
あれですべって、くものしたへいくんだね。
よーし、ぼくも!
さぁ、ぼうけんのはじまりだ!