内戦
民衆の前に彼は引き摺り出された。「全てを捨て、幕府に楯突いた。これでいいのだな。」御様御用・死刑執行人の山口深座衛門は罪状を読み上げ、確認する。「全ては未来の為に。」吉本梅陽は応える。その目は、絶望ではなく希望に満ちていた。日本刀が振り下ろされ、血飛沫が舞う。どよめきが周囲を走る。
「吉本先生がやられた!」この報せは日本全国の維新勢力に伝わった。「残された時間は限られている。急げ。」十州藩では幕府奉行所を狙い南郷率いる藩士が殺到。激しい戦闘の中、幕府奉行を取り逃してしまう。同日の午後には奉行の反撃が開始され、南郷は奇跡的に生き残るも、十州藩の部隊は壊滅してしまう。
そんな中、短州藩では維新を目論む勢力が幕府に露見し、幕府陸軍による処刑が執行されようとしていた。幕府陸軍の兵営では、不穏な空気が流れていた。そこに、陸軍部隊の司令官が現れる。「貴様ら、そこで何をしている!」陸軍部隊は答える。「反乱だ!維新だ!」銃声が轟く。これが、明示維新の始まりであった。幕府陸軍改め維新軍は短州の幕府奉行所を占領、将軍旗が降ろされ、維新の旗が翻った。
短州藩の維新勢力は各地に呼応を呼びかけ、西日本のほぼ全ての藩がこれに応じた。江都城では軍議が開かれ、反乱鎮圧の総大将として羽州藩主、久保兼好が任に就いた。