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妖々戦国時代  作者: 猫子
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小さな炎

「・・・ちょっと・・」


「休憩しようか?」

華ちゃんは心配そうに言った。


(¨華ちゃんは心配そうに言った¨じゃないって!俺めちゃくちゃ血だらけなんだけど!)


亜助のまわりには血溜まりがいくつもできていた。


(竹刀なのに・・これが妖力・・これが・・討伐隊員・・)


亜助はこんなか弱そうな女の子にまで太刀打ちできない自分を恥じた。


亜助の小さな妖力は何度やっても体外には出なかった。

(悔しい・・)

亜助は剣を握りしめた。


「そろそろ時間ですね。蓮君変わって下さい」


「・・はい」

蓮は華ちゃんと交代した。


「華ちゃん3日ほど会えませんが元気でいて下さいね」

皇世は涙を流して華ちゃんに言った。


「・・皇世、気をつけてね。あんまり危ないことしないでね・・」


「華ちゃん・・毎日手紙書きますね」



(あーうっとーしーな)

蓮は横目で2人のやりとりを白い目で見た。



「立てるか?」


「なんとか」


「派手にやられたな」


「うん。カッコ悪い・・」


「まぁ妖力の量でハンデがあるからな」


「蓮君以外と優しいよね」


「うっせーよ」


「蓮君も武器使うの」


「あー・・それなりに。まぁ今日は使わん」


2人が会話をしていると華ちゃんとお別れの挨拶が済んだのか皇世が近づいてきた。


「亜助君、武器の持ち手が逆ですね」


「え・・でも・・」


「先生の言うことは素直に聞いたほうが良いですよ」

皇世はにっこり笑って出かけて行った。



(逆・・・)

亜助は言われた通り持ち直した。


(あれ・・なんだかしっくりくる)

亜助は武器を持つ手を見つめた。



(そーいやいつも左で縄振り回してたな)

蓮は遠い記憶を巡らせた。



立ち上がった亜助は目を閉じた。

今日教わったこと。

もう一度丁寧に妖力の炎を見つめた。


(ゆっくり・・左腕に・・)


亜助はじんわりと手のひらが暖かくなるのを感じた。


そしてゆっくりと目を開けた。


(!!)


薄い炎が亜助の手のひら、そして、握った縄全体を弱々しく包んだ。


「出来たじゃん」

蓮は腕を組んでニヤリと笑った。


「・・すごい・・やっとできた・・」


亜助は感動していると炎はゆっくりと消えた。


「あれ!!」


「雑念こもってんだよ。まぁ要領さえ掴めりゃすぐに自在に操れる」


蓮はオレンジ色の妖気を出して見せた。

蓮はそれを両手に出したり身体全体を覆って見せた。


「すごい・・」


「これできねーと戦っても大怪我するだけだけど・・やる?」


「やる!!途中で要領掴むかもしれないし!!」


「あっそ。じゃ、死なねーようにな」

蓮は武器も何も持たずに構えた。


そしてすごい速さで亜助へ攻撃を仕掛けた。


(すごい力!!でも、妖力使ってないよね?!)

亜助は受け止めたり、交わしたり、殴られたり蹴られたりと、猛スピードで繰り返した。


(すげー身体能力じゃん)

蓮は楽しそうに少し笑った。


「妖力使うぞ!お前も準備しろ!武器使えよ!」

蓮は拳の周りにオレンジのオーラを纏い殴りかかった。


(頼む!炎!言うこと聞いてくれて!!)


亜助は左手に力を集中させた。


!!


亜助の縄跳びは大きくしなり、蓮の腕を絡め取った。

「・・やるじゃん」

蓮は腕を見て言ったがすぐに縄跳びは妖力で焼き払われた。


「蓮君!!見た?!今の!!」

亜助ははしゃいで蓮に言った。


(めんどくせぇな)

「消滅させられたら意味ねーよ。次!!」


蓮は亜助がある程度妖力を出せるようになるまで付き合った。








「はぁはぁ・・」


「今日はもういーんじゃね。腹減った」


「ありがと蓮君。俺もうちょっとここで練習してくわ」


「ごくろーさん」

蓮は屋敷の方に歩きながら後ろにいる亜助にヒラヒラと手を振った。


途中で華ちゃんも蓮に続いて

「また夕飯の時にねー!」

と、声をかけた。



「・・いってー・・でも・・」

亜助は自分の手のひらの上でゆらめく炎を見て喜んだ。

「まだまだ小せーし蓮君にかすり傷すらつけられなかった・・」


亜助は武器を手に取ってあたりが暗くなるまで一人で訓練した。





「亜助ちゃん・・スプーン握る手ぇから赤い液体したたっとるで・・」

熊が顔を引き攣らせて言った。


「?あぁ血豆とかいっぱい潰れたからな」

亜助はスプーンを置いて直接皿に口をつけてスープを飲んだ。


「後でハオさんに治してもらえよ」

蓮が言った。


「明日も誰か稽古つけてくれ!!」


「・・りょーかい」

なんだなんだと面倒見の良い蓮だった。




遠くから珠莉愛はその様子を見て目尻を下げた。





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