神々との戦い・圧倒的戦力と、限界を超えた戦力
『機動戦艦から始まる、現代の錬金術師』は不定期更新です。
間も無くファイナル。
ついに、神の機動戦艦が降臨した。
衛星軌道上からの先制攻撃、これで大陸一つぐらいは焼土にするつもりだったのだろうが、俺たちのマーギア・リッターの方が、ごく僅かに早かった。
マーギア・リッターを頂点に作り出した多角球形結界は、オクタ・ワンのデータベースにある『機動戦艦』の兵装の七割を無力化する。
まあ、それを上まわる火力で来られたら、アウトなんだけどな。
その、残り三割のうちの二割が、敵の機動戦艦を囲む四体の機動兵器。
「オクタ・ワン、あれが敵の機動兵器か?」
『ピッ……是。マーギア・リッターと同型にして、カリバーンの後継機と思われます。あのうち一騎でも、多角球形結界を突破した時点で、敗北が確定します』
「はぁ? そこまでなのか?」
『ピッ……あの機体の持つ槍が、『パニッシャー』です。地球に突き刺さった時点で、世界は消滅すると思ってください』
「……了解だ。それじゃあ、先にあの騎士から潰さないとならないってことだな」
──ガゴォォォォォン
カリバーンに増設されたアドバンスブースターが、天使の翼のように展開する。
『ピッ……ご武運を』
「任せろ」
そのままブースターを全速まで踏み込むと、一瞬で敵機動兵器眼前まで『転移』する。
『ビビビビビビビビッ』
「宇宙空間だから、音は発生しないけどなぁ。お前、動揺しているだろう?」
──ゴゥゥゥゥゥゥ
右掌底で敵マーギア・リッターの心臓部を撃つ。
「悪魔の、右手ぇぇぇぇぇぇ‼︎」
──バシュウゥゥゥゥゥゥ
たった一撃。
それで目の前の敵マーギア・リッターは、塵芥に分解される。
魔導核もジェネレーターも、何かもが消滅した。
──ビビビビビビビビッ
残り三機の敵マーギア・リッターのうち、二機がカリバーンに向かって飛んでくる。
そして殘り一機はランスを構えて、大気圏に向かって高速で突入した。
「パニッシャーで結界を破壊する気かよ‼︎」
『マイロード。こちらは私たちが止めます、残り二機をお願いします』
ヒルデガルドの声が聞こえる。
うん、まあ、任せたわ。
──ビビビビビビビビッ
カリバーンに向かってきた二機が、ランスを構えて突っ込んでくる。
だが、その程度の計算ぐらいはできているさ。
──キュィィィィィィン
左から突っ込んでくる敵に向かって左手を突き出すと、神の左手を起動‼︎
左掌から放出した魔力が盾状の結界を作り出し、パニッシャーを受け止める。
──ビビビビビビビビッ
敵マーギア・リッターのランスが光り輝き、シールドを破壊する。
だが、破壊した先から次々と再生を続けるため、カリバーンまでランスが届くことはない。
それどころか、再生するたびに強固になり、しまいにはランスを弾き返した。
「お、おおう、進化したのか?」
驚いている暇もなく、右側からももう一機が突っ込んでくる。
「悪魔の右手っ、ブラストナックル‼︎」
グッと握りしめた悪魔の右手から、拳状に形成された『破壊の魔力』が高速で放出される。
それをランスで受け流そうとするが、破壊の魔力がランスに触れた瞬間、ランスが消滅した。
──ビビビビビビビビッ
明らかに動揺した敵マーギア・リッター二機は、一旦、カリバーンから間合いを取るようにバックする。
「ぬぉぉぉぉぉ、逃すわけないだろうがぁ」
──ピッ
敵マーギア・リッターが離れた瞬間、機動戦艦の主砲が一斉にカリバーンを撃ち抜く‼︎
──ドッゴォォォォォォン
瞬時に左手を機動戦艦側に向けたため、機動戦艦の主砲は全て神の左手により無力化した。
だが、その隙を敵が見逃すはずがない。
──ガギィィィィーン
神速で突撃してくる一機のランスが、カリバーンの右大腿部を貫き、破壊する。
続いてもう一機が右手を強く握ると、カリバーン目掛けて殴りかかる。
「くっそ。連携で来るときついよなあ‼︎」
──シュゥゥゥゥ
すでにカリバーンの右脚は再生を始めている。
それよりも、カリバーンの再生速度よりも早く、カリバーンを破壊しに掛かったのであろう。
それでも、ミサキは引くことがない。
左足を破壊されても、頭部が吹き飛ばされようとも、神の左手は発動し、カリバーンは再生を繰り返す。
「背部ブラストユニット展開……」
機動戦艦と敵マーギア・リッター全てが直線上に並ぶまで、カリバーンは戦闘を続ける。
チャンスは一撃のみ、これに賭けていた。
敵マーギア・リッターの機動力を削ぎつつ、機動戦艦の攻撃対象が地球にそれないように、都度、機動戦艦にも攻撃を続けてきた。
そして、チャンスは来た。
──ガゴォォォォォン
背部ブラストユニットが翼のように展開すると、ミサキの魔力を吸収して光だす。
「これでも食らっておけやぁぁぁ」
カリバーンが両腕を前に突き出す。
神の左手と悪魔の右手を組み、マーギア・リッターと機動戦艦を直線上に捉えると、カリバーンとミサキの魔力を全て凝縮して打ち出す。
「パニッシャァァァァァァ‼︎」
──キン
糸のように細いレーザーが、マーギア・リッター二機を穿つ。
計算外だったのは、二機目を穿ったさいに射角がずらされたこと。
それで機動戦艦には到達しなかったものの、敵マーギア・リッターは一撃の元に、塵芥に分解された。
「くっそ、あと一機、あいつで終わりだったのに……早く回復しろっ‼︎」
眼前の機動戦艦を睨みつけながら、ミサキはカリバーンの回復を待っていた。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
一方、地球圏では。
突然の神を名乗る存在の出現に、世界は混乱の極みにあった。
そして、衛星軌道上からの攻撃が行われた時、人々は、半ばあきらめ、半ば怒りに震えつつ、この後に起こるであろう悲劇のために、できることを行おうと考えた。
だが。
──ゴゥゥゥゥゥゥッ‼︎
機動戦艦の主砲が全て放たれた直後。
それは大気圏を一気に突破し、直下のヨーロッパ方面に飛んでいって、高度1500メートルで、結界にぶつかり消滅した。
同時に、これまで消息不明であった機動戦艦アマノムラクモが太平洋上に姿を表し、彼の部下たちの駆るマーギア・リッターが結界を形成して、神の一撃を食い止めた。
希望は、まだあった。
人類を覆い始めた絶望感を吹き飛ばし、アマノムラクモが救いの手を差し伸べた。
──ガギィィィィーン‼︎
大気圏外から飛来した敵マーギア・リッター相手に、ヒルデガルドが自機により迎撃を開始している。
ミサキからの指示は絶対であり、ヒルデガルドはなんとしてもここを死守しなくてはならない。
「機動計算……あと3度、仰角そのままで……」
必死に攻撃を交わしつつも、地表を攻撃させないように誘導する。
ヒルデガルドから距離12.6kmで全ての砲門を展開し、魔導ジェネレーターが唸りを上げているアマノムラクモの射角に入るように。
『ビビビビビビビビッ』
「言葉でもないようですね。でも、怒りは感じます……そのランス、それがパニッシャーであることも、それを装備してあるのは四機しか存在しないことも、オクタ・ワンから聞いています」
オクタ・ワンの中のデータベース。
そこには、機動戦艦の主兵装全てが網羅されている。
機動戦艦に搭載されてあるマーギア・リッターの主兵装であるランス・パニッシャー。
それは四門しか存在しない。
そして、ミサキたちの勝利条件は一つ。
『機動戦艦をも退ける力を持つ世界は、破滅させてはいけない』
これは神が世界を脅威としてみたのではなく、人類のさらなる神化の可能性を見出したから。
つまり、ミサキたちが、この状況をひっくり返せたならば、神々の脅威は立ち去り、平和を勝ち取ることができる。
『ピッ……衛星軌道上のカリバーン、停止。ただし魔力切れによる再起動』
「了解です。上の方は、ミサキさまが片付けたのですね?」
『ピッ……否。まだ機動戦艦が残っていますが、すでにミサキさまの敵ではありません』
「それじゃあ、これでおしまいですね……」
力強く敵マーギア・リッターを蹴り飛ばす。
これで座標は確定した。
──ドッゴォォォォォォン
そして敵マーギア・リッターが体制を整えた時、背部からアマノムラクモの全砲門による斉射が行われた。
この一撃の下に、敵マーギア・リッターは蒸発し、影も形も残さなかった。
「……これで、残りは機動戦艦のみ。私はミサキさまの後衛に向かいます、他のサーバントは結界を維持してください」
『了解です‼︎』
結界を維持しているサーバントたちに指示を飛ばすと、ヒルデガルドは真っ直ぐに上空へと飛んでいく。
………
……
…
──ウォォォォォオォ
敵機動兵器とヒルデガルドのマーギア・リッターとの戦いは、全世界に中継されている。
時折、画面が宇宙に切り替わり、カリバーンと二機のマーギア・リッターの戦闘も映し出されている。
それをみていた人々は、拳を握り、祈った。
神にではなく、ミサキに、アマノムラクモに。
そして誰しもが、最後に残った神の機動戦艦が破壊されるシーンを待ち望んでいた……。
ただ、テレビを、インターネットの中継を見ているものたちも、ふと、気がつき始める。
これは、誰が映しているのか。
自分たちの窮地を救ったアマノムラクモ、その姿に感動し、心からの応援を送った人々は、冷静になってようやく気がつき始める。
宇宙空間からの中継など、一体誰が、どうやって行っているのかと。
………
……
…
『ピッ……衛星軌道上に高重力振が発生……』
オクタ・ワンは気がついた。
神が自分たちを監視していた意図が。
世界を滅するために降臨する機動戦艦シリーズ。
その一隻が存在する世界に、神が対応しないはずがないと。
そして、やるのなら徹底的に、心を砕く。
──ブゥゥゥゥウン
ミサキに見えた。
敵機動戦艦の向こうに、新たに出現した存在。
それは、アマノムラクモの同型艦であり、全長2500メートル級の、破壊兵器。
その周囲には、ランス・パニッシャーを構えた、天使の姿をしたマーギア・リッターの軍勢。
「……嘘だろ?」
コクピットの中で、ミサキは呟く。
勝利が、勝ち筋が、全て消滅した。
──ピッピッピッ
コクピットの中にあるモニター。
そこに記されている、カリバーン再起動までの時間。
00:08:32
あと八分。
パニッシャー以外の兵器なら、あの小さな機動戦艦の主砲程度なら、マーギア・リッターによる多角球形結界で防ぐことはできる。
だが、あれは……。
天使の姿をした四機のマーギア・リッター。
その手に握られているランス・パニッシャーを全て防ぐなど、あと八分も結界が耐え切るはずがない……。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。











