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【完結】機動戦艦から始まる、現代の錬金術師  作者: 呑兵衛和尚
一つ目の物語〜機動戦艦・出現編〜

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太平洋攻防戦・奇襲からの反撃

『機動戦艦から始まる、現代の錬金術師』は不定期更新です。

 ワルキューレとサーバントによる敵艦内制圧が始まった。


 問題は、アマノムラクモからの斉射が始まる前に、全ての艦艇が飛行船を中心とした破壊エリアから離れていることが必要。

 タイミングが合わない場合は、艦艇を巻き込んでしまう恐れがある。


「……艦隊全てが移動を開始したら、アマノムラクモは次元潜航開始。座標軸を飛行船直下の海底にセット、仰角九十度で砲撃準備。浮上したら、すぐにぶっ放す」

『ピッ……海上にいる人たちの回収は?』

「それは今から始めるよ。トラス・ワン、生体センサーで海上の人間大のターゲットをロック、ツクヨミに転送してツクヨミを向かわせてくれ。護衛にマーギア・リッターを一機、大型シールドを持たせて出してくれるか?」

『ピッ……否定。マーギア・リッターを出すのは危険です』

「守りに徹させる。あと、飛行船をモニターチェックしてくれるか? もしもアドルフらしき男が姿を出したなら、その時点でマーギア・リッターは撤収を頼む」

『ピッ……是。相手の動きがマーギア・リッターよりも早かったら?』

「人間サイズでそこまで早かったら、そのままマーギア・リッターをくれてやるさ。その代わり、すぐに俺が出撃して『分解』してやる。そのための、『悪魔の右手』なんだろう?」


 まさか初使用が、アドルフ相手になる可能性が出てくるとはおもわなかったわ。

 それでも、やるときはやる、俺、頑張る。


『ピッ……帰還中のマーギア・リッターに異変あり。搭乗サーバントの思考パターンがレッド、洗脳もしくは擬似魂に不正アクセスを感知』


 サーバントとワルキューレを敵艦隊まで連れて行ったマーギア・リッターが、突如、奇妙な行動を開始した。


──ガッギィィィィン

 真っ直ぐにアマノムラクモ艦橋に向かって飛んできたのがわかるが、すぐ真横から、別の機体が体当たりをぶちかまし、暴走したマーギア・リッターを近くのカタパルトに向かって叩きつける。

 そのまま暴走マーギア・リッターのコクピット区画に向かって抜き手を叩き込むと、中のコクピットブロックを引き抜いた‼︎


──ブチブチブチッ

 伝達ケーブルがちぎれ、マーギア・リッターは作動停止した。

 そしてコクピットブロックをカタパルトに置くと、無理やりハッチをこじ開けてサーバントを引き摺り出していた。


「抑えられるか?」

『ピッ……外に出したので、強制停止装置を使います』


 オクタ・ワンが説明したと同時に、暴走していたサーバントがガクッと力なく倒れた。


「オクタ・ワンは、倒れたサーバントの解析を頼む。トラス・ワン、突入部隊のサーバントが暴走していないかチェックしてくれ‼︎」

『ピッ……了解しました』

『……拝命』


 まさかのパターンを突きつけてくるとは。

 やっぱり、アドルフは侮り難いというところだろうなぁ。


『ピッ……擬似魂への外部誘導波長の痕跡あり。対応していないサーバントはアドルフの指揮下に陥ります』

「敵艦隊に送り込んだサーバントの強化フレームなら?」

『ピッ……誘導波長を無力化できます』

『……誘導波長の解析完了。アマノムラクモのサーバントでは対応不可能。加えて、強化フレームに換装するには素材と時間が足りません』

「オーケー。誘導波長の射程距離は観測可能か?」


 ここも重要。

 その距離によっては、アマノムラクモの接近も考えないとならない。

 電撃作戦で奴らの真下に出た瞬間、アマノムラクモを乗っ取られたら堪らないからな。


『ピッ……最大射程は15km。以後、波長の強度が下がります。一度誘導波長を受けたら、システムを書き換えられますので射程外でも刷り込まれた命令を忠実に守ります』

『……アマノムラクモ外装甲による干渉でも無力化は不可能。作戦の再考をお願いします』


 まじか。

 危ないところだったけど、これで向こうの懐に飛び込むことはできなくなったのか。


「作戦の変更は無し。ただし、敵飛行船直下への次元移動はおこなわない。ここからぶっ放すから、早めの救助活動を頼む」

『ピッ……敵艦隊の制圧、現時点で二隻を制圧……』

『……アラート‼︎ ツクヨミの護衛をしていたマーギア・リッターが制御不能。敵艦に向かって移動を開始しました‼︎』

「俺が出る‼︎ 指揮系統はヒルデガルドに一任‼︎」

「イエス、マイロード。これよりアマノムラクモの指揮系統は、私の麾下に入ります」


 急げ。

 まさかマーギア・リッターを操縦するサーバントを洗脳するとは予測外だけど、こっちにも切り札はあるんだからな。


………

……


『カタパルトオープン……出撃準備よし。ミサキさま、いつでもいけます』


 通信システムからオペレーターの声が届く。

 俺専用マーギア・リッターなら、誘導波長の効果はないとオクタ・ワンが説明してくれた。

 それなら、俺があいつを止めるだけ。


「マーギア・リッター・カリバーン、出る‼︎」

『オーケー。カリバーン、テイク、オフ‼︎』


──ゴゥゥゥゥゥゥ

 魔導カタパルトが余剰マナを噴き出し、カリバーンが高速で射出される。

 そのまま高機動魔導スラスターを展開すると、ゆっくりと飛行船に向かって移動しているマーギア・リッターに向かって加速を開始した‼︎



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「これは、予想外だな」


 アドミラル・グラーフ・シュペーの艦橋で、アドルフは報告を聞いている。

 敵アマノムラクモの機動兵器が船体下部を通過した直後、降下部隊が各艦に乗り込んで制圧を開始したのである。

 さらに沖合では、アマノムラクモから出撃した船と、それを護衛する機動兵器が海上に浮かんでいる人々の救出を始めていたのである。


「親衛隊を艦隊に送ります。武装親衛隊ケンプファーの出撃許可を」

「許可する。それと、あの機動兵器を鹵獲しろ。遠隔操作型の針を使う。誘導波長に合わせて、対象を洗脳しろ」

「総統閣下、誘導波長はまだテストが終わっていません」

「構わん。機動兵器の一機は回収。もう一機は……そうだな、アマノムラクモの艦橋に突っ込ませろ」


 トントン、と椅子の肘掛けを指で叩きながら命令を出す。

 その直後、侵入したサーバントとワルキューレによって制圧され始めていた各艦に、武装親衛隊ケンプファーが降下して突入。

 

「誘導波長合わせました。コントロール開始します」

「一機は完全誘導成功。敵艦に向かって加速開始‼︎」


 次々と届く報告に、アドルフは満足げである。

 やがて、海上で救助活動をしていた船の護衛をしていた機動兵器が制御不能となり、ゆっくりとアドミラル・グラーフ・シュペーへと移動を始めた時。


──ビビビビビツ‼︎

「アラート‼︎ アマノムラクモから高速接近する存在あり‼︎」

「機動兵器の回収はどうなっている?」

「バリアを解除しなくてはなりません。現在、出力を下げてバリアの干渉を緩やかにしています」

「回収作業中止だ‼︎ バリアの出力を最大に引き上げろ‼︎」


──ブゥン‼︎

 アドミラル・グラーフ・シュペーのバリアが最大出力になる。

 完全球形状態に展開されたバリアの表面には、プラズマが稲妻のように走っている。

 その外側では、アマノムラクモから来た機動兵器が、鹵獲しかけていた機体を捕まえて、後方へと下がっていく姿が見えていた。


「……右舷、第二砲塔準備……あの機体ごと、敵機動兵器二機とも破壊しろ。バリアシステムを二秒だけカットだ、タイミングを合わせろ、いいな‼︎」

「了解です‼︎ 第二砲塔準備‼︎」


 アドミラル・グラーフ・シュペーの艦首砲塔が、ゆっくりとカリバーンに向かって照準を合わせる。

 それと同時に、バリアシステムがカットされ、巨大な砲塔が雄叫びを挙げて必殺の砲弾を射出した。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



「ふう。悪いが、戻ったら再生するから、それまでは我慢な……」


 高速で鹵獲されそうになっていたマーギア・リッターにたどり着くと、ミサキはカリバーンの右手に魔力を循環する。

 そして背中中央より少し下、マーギア・リッターの制御コアの部分に手を添えると、『破壊の右手』によりコアを破壊した。


──ドゴォォォォォッ

 これでマーギア・リッターは稼働しない。

 あとは戻ってからサーバントを回収し、洗脳を解くだけ。


「もう少し時間があったら、あの船まで辿り着くことができたんだが」


 モニター越しに振り返ると、すでにバリアは強化され、さらに強固な姿に変化していた。

 さすがに、カリバーン単騎であれに突っ込むのは無謀すぎると予測。

 今は、戻ってサーバントを回収するのが先決だと考えた時。


──ピン

 何かが頭の中で警鐘を鳴らしている。

 慌ててもう一度、後ろを振り返った時。


 飛行船のバリアが一瞬だけ解除され、あの、アマノムラクモのフォースフィールドを破壊した主砲が発射されていた。


「角度が悪すぎる、避けるとアマノムラクモかよ‼︎」


 そこから先は、本能で動いていたのだろう。

 左手でぶら下げていたマーギア・リッターから手を離すと、『再生の左手』に魔力を集める。

 さらに俺の体内魔力の八割を右手に集めると、『破壊の右手』で飛んできた砲弾目掛けて『分解術式』を発動していた。


「いける‼︎」


──ドゴォォォォォッ‼︎

 爆音が響き、カリバーンのコクピットまで揺れた。

 内部が真っ暗になり、外からの音も映像も何もかもが途絶えた。

 俺は無事なのか?

 マーギア・リッターは大丈夫か?

 外の様子はどうなっている?


 不安が頭の中をよぎる。

 そして、初めてアマノムラクモが被弾した時の映像が、頭の中をよぎる。

 不安が襲いかかって来るが、今は、勇気を振り絞れ‼︎

 弱い心に負けるな。


──パパパパパッ

 やがて、コクピット内部の計器が点灯し、モニターに外が映し出された。

 すぐさま周囲の状況を確認するが、敵飛行船はバリアを全開にして守りの体制に入っているように感じる。


『マイロード‼︎ ご無事でしたか」

『その声はヒルデガルドか、内部からはカリバーンのダメージがわからない、何がどうなった?』


 そう話しながら、急ぎ海面で沈みかかっているマーギア・リッターを回収する。


『敵砲撃により、カリバーンは半壊。ですが、左腕からゆっくりと再生を開始しました。まだ外装甲は再生されていませんが、機動に問題はないかと思います』

「了解、急ぎ戻る。それまでは警戒態勢を強化しておいてくれ」

『イエス、マイロード』


 そこで通信が途絶える。

 よし、予想よりもダメージが大きかったけど、破壊は免れたな。

 『破壊の右手』で砲弾を分解し、衝撃波で機体にダメージが入った場合は『再生の左手』で機体の修復を始める。

 問題は、俺の魔力量と受けるダメージ、そして再生能力。

 計算よりも砲撃の衝撃波が酷かったようだが、それでもカリバーンの強度を信頼していたから問題はない。


 さて、アドルフ、これからどうする?

 こっちは切り札を切ったから、今度はそっちの番だな。

 それとも、もう切り札は残っていないのか?

 

 

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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