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【完結】機動戦艦から始まる、現代の錬金術師  作者: 呑兵衛和尚
一つ目の物語〜機動戦艦・出現編〜

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太平洋攻防戦・主人不在の恐怖と決断と

『機動戦艦から始まる、現代の錬金術師』は不定期更新です。


四月からは週二回の更新予定ですが、多分信じてもらえないorz

 第三帝国によるアマノムラクモへの砲撃。


 これはアドルフにも、そして世界にも大きな影響を与えた。

 各国の首脳は祈った。

 第三帝国がアマノムラクモを攻撃したということは、アマノムラクモは正当防衛として第三帝国に対して攻撃を行うことができる。

 現状では、今の地球の科学力では、あのバリアを破壊することはできない。

 第三波攻撃のように、カウンターアタックを行うには、現時点ではリスクが大きすぎるのである。


 そしてアドルフも、表面でこそ驚き歓喜しているものの、その実、虎の子であった80cm魔導カノンでも軽微なダメージしか与えられていないという。

 残る砲門は三つ、これで、アマノムラクモを一時的にでも行動不能まで追い込まなくてはならない。

 しかも、あのバリアを破壊した直後に乗り込み制圧する必要がある。

 そんなことを、今の親衛隊でどうにかできるのか?

 

 その答えは、否。


 鹵獲したゴーレムを解析した時点で、生身の人間ではあのゴーレムに傷一つつけられないことは理解している。

 その上で、対ゴーレム兵装を作り出すにしても、地球の人間では保有魔力が少なすぎる。

 膨大な魔力を必要とする兵装など、誰が使えるというのだろう。


………

……


「司令‼︎ アマノムラクモに動きあり‼︎」


 ロシア艦隊司令のセルゲイ少将は、祈る気持ちでアマノムラクモを見ていた。

 ひょっとしたら、アマノムラクモは反撃を開始するのではないか? その時は、共闘するようにと本国からも通信が届いている。

 だが、結果は、実に非情であった。


──パパパパパッ

 アマノムラクモが点滅を開始し、その姿が『空に沈んでいった』のである。

 波のような水蒸気を上げながら、まるで潜水艦がゆっくりと沈降を開始するかのように。


「なん……だと? アマノムラクモは、何処に向かうのだ?」

「通信届きません。最悪は、戦線を離脱したのではないかと」

「待て、冗談じゃない。あんな化け物を我々に相手しろというのか? 本国は折れたんだ、この戦争が終わり、アマノムラクモが力を尽くしてくれるのなら、アマノムラクモを国として認めると……フーディン大統領から連絡があったばかりだぞ‼︎」


 振り上げた拳を何処に下ろしていいのか分からず、セルゲイは拳を握っていた。

 そして、同じようなことが、他国の艦隊でも起きていた。


 第三帝国など認めない。

 アドルフの存在自体を否定したい。

 ゆえに、第三帝国を名乗る暴漢の話など聞きたくもない。

 力で来るのなら、それ以上の力で対抗する。

 我々には不可能でも、アマノムラクモはなんとかしてくれる。


 国連が語りかけたなら、世界の平和のためなら、アマノムラクモは動く。

 そう信じていた矢先、アマノムラクモは消失した。


………

……


 苦渋の決断。

 アメリカ国防省では、アドミラル・グラーフ・シュペーのバリアに対する解析が続けられていた。

 さまざまな映像からの推測ではあるが、あのバリアを破壊し、内部に対しての致命的なダメージを与える方法。

 古今東西、この地球上に存在するすべての兵器を導入したとして、それが可能なのか。

 やがて弾き出した結論は一つ。

 それも、アメリカだけでは不可能な、多大な犠牲を強いても破壊率は12%という結論だけである。


 核保有国による、核ミサイルによる飛行船への一斉攻撃。

 これにより、計算上は飛行船を中心とした直径50kmは全て蒸発。そこに流れ込む海水により津波が発生、高度45mまで津波は襲いかかり、あっという間に都市を、人々を飲み込む。

 さらに、爆発の衝撃波は多段衝撃波となり、地球全土を何周も駆け巡る。 噴き上げられた放射性下降物により、死の灰が世界中に降り注ぐ。

 第三帝国の崩壊と同時に、地球は滅びの道へのスイッチを押すことになる。


「……なんということだ。核による平和などないではないか……そんなことになるのなら、第三帝国を受け入れた方が、人類には未来があるというのか?」


 パワード大統領は、一人、ホワイトハウスの執務室で天を仰ぎ見た。


 神は、この世界を破壊しようというのか?

 神は、我々人類に、滅びの道を示したのか?

 もしそうだというのなら、なぜ、アマノムラクモを我々の前に表したのか……。


「……ノアの方舟……まさか」


 世界の滅び、だが、選ばれた民と生き物は、方舟に乗り滅亡を免れる。

 アマノムラクモは、その方舟だというのか?

 


 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



──ピッ……ピッ……

 生命維持カプセルの中で、ミサキは眠っていた。

 突然の戦争、そして脅威と感じていたアドルフからの鉄槌は、まさかのアマノムラクモのフォースフィールドを貫通したのである。

 ミサキの中の自信が崩れ落ち、安堵は恐怖となりパニック状態を引き起こす。

 もしもミサキが軍人なら、訓練を受けていた人間なら、まだ落ち着くための手段は分かっていたはず。

 だが、一民間人だったミサキには、その術はなかった。


「オクタ・ワン。ミサキさまの容態は?」

『ピッ……不安定。恐怖が心を支配しています。ミサキさまの安全を第一とするため、このまま空間からの浮上を行わないことを進言します』

『……艦首フォースフィールドの修復完了。装甲板の歪みは補強を行いましたが、またあの攻撃を同じ箇所に受けた場合は安全の保証はできかねます』


 ミサキの安全を進言する魔導頭脳たち。

 だが、ヒルデガルドを始めとするワルキューレの判断は違った。


「オクタ・ワン。あの飛行船を破壊するための火力を算出してください。なるべく周辺に被害が及ばないレベルで」

『ピッ……理解不能です。ミサキさまが、それを望むとは思えません』

『……肯定します。全ての搭載兵器からの、予測火力を算出します』

『ピッ……トラス・ワン、あなたまでどうしたのですか?』


 オクタ・ワンはミサキの言葉に忠実。

 ゆえに、ミサキの命を守るために逃げた。


 そしてヒルデガルドは、ミサキの大切なものを含めて、ミサキを守る。

 このまま戦争が終わった後では、地球は、ミサキの求めていた世界ではなくなっているだろう。

 常日頃、ミサキは嬉しそうに話していた。


 のんびりと、生きたいよね。


 だが、今のままでは、ミサキの希望は叶えられない。

 ミサキの希望を叶えるためには、アドルフが邪魔なのである。

 あれを排除すれば、またミサキさまは笑ってくれる。

 あれを破壊すれば、世界はまた平和になる。

 各国の要人との他愛ない交渉も

 ミサキさまのとんでも発明も

 また、元の日常に戻っていく。


『……解析完了。魔導パルスカノンによる、敵飛行船真上からの一斉砲撃によりバリアは破壊可能。船体表面の魔力フィールドも貫くことができますが、その場合は、飛行船直下の敵艦隊も巻き込みます』

『ピッ……巻き込みは良くない。ミサキさまは、命あるものは可能な限り生かしておきたいと』

『……肯定。敵艦隊の排除により、作戦は遂行されます』

「……戦闘用サーバントで敵艦隊のコントロールを掌握。海域から離脱のち、アマノムラクモを指定座標に浮上、直後にパルスカノンによる斉射。そのまま再潜航することは可能ですか?」


 ヘルムヴィーケが電撃作戦を提唱する。

 この作戦の場合、飛行船の破壊は可能であるが、アドルフの消息は不明となる。

 ヒルデガルドとしては、アドルフの息の根を止めて、安全を確認したいところである。


『ピッ……浮上からの再潜航には、安全確認のために最低でも三十分は必要です。即時潜航を行なった場合は、船体の安全を保証できません』

「その時間の短縮は? 敵の反撃を受けるわけにはいかないから」

『……表面装甲の破損を覚悟でしたら……五分です』

『ピッ……アマノムラクモを預かる魔導頭脳としては、安全マージンのない電撃作戦は承服できません』

「ミサキさまの留守の場合の決定権は、このヒルデガルドとオクタ・ワン、トラス・ワンの協議により決定します。そこは理解してください」

『是……』


 一つの暴走を抑えるための合議。

 ゆえに、オクタ・ワンも逆らうことはできない。


「問題は、敵艦隊に乗り込むサーバントの選抜です。幸いなことにワルキューレは全て、強化フレームに換装されていますから、計算上はアドルフと対峙したとしても逃げ延びることは可能かと思いますが」

「私たち以外では、十二体のサーバントが換装を終えています。敵艦隊は六隻、一つにつき二体ずつ割り当てて、速やかに占拠しなくてはなりません」

「それとヒルデガルドはアマノムラクモ待機ですからね。あなたはここを守らなくてはなりませんから」

「そ、そういうことです。ミサキさまの安全を守ってください」


 艦橋のワルキューレたちが、ヒルデガルドの肩を叩いて出て行く。

 残ったのは操縦手であるゲルヒルデと、航法オペレーターのオルトリンデ、そして留守を預かるヒルデガルドだけ。

 残ったメンバーは、いつでも出撃できるように移動を始めた。


………

……


 黒いジャケットに身を包み、サーバントたちが出撃準備を開始する。

 敵艦隊までの移動は、高機動型マーギア・リッターに運んでもらい、サーバントたちを艦隊上空で降下させてから、アマノムラクモへと帰投する。

 アマノムラクモが三次元空間に浮上するのは五分のみ、その時間で速やかにサーバントたちを届けてから、再び潜航するための準備を開始しなくてはならない。


 手順は難しくないが、どの程度の抵抗があるか。

 マーギア・リッターに向かってあの主砲による砲撃があった場合、作戦は失敗するだけでなく、貴重なマーギア・リッターが鹵獲される可能性がある。

 そのようなことは起きてはならない。

 速やかに、流れるように作戦を遂行する。

 そのためのデータは蓄積してある、実践経験こそないが、それでもやり遂げなくてはならない。


『ピッ……作戦開始五分前……アマノムラクモ、浮上開始』

「了解。三次元レーダー確認、障害物ありません。仮想指定座標に移動直後、急速浮上を始めます」

『……フォースフィールドは敵正面に向かって出力を上げておきます。時間厳守で』

「了解。それでは、お願いします‼︎」


 ヒルデガルドが叫ぶ。

 そして、アマノムラクモはゆっくりと浮上を開始した。



 

 

 

誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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