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【完結】機動戦艦から始まる、現代の錬金術師  作者: 呑兵衛和尚
四つ目の物語〜可能性未来防衛戦〜

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全てが終わり、また始まる

『機動戦艦から始まる、現代の錬金術師』は不定期更新です。

 スターゲイザー、オタル沖合。


 アマノムラクモは中枢ドックにて情報収集を継続。

 現時点での地球圏における脅威について調査を続けている。

 そして俺はというと、地球から戻ってようやく一段落。キャプテンシートにどっかりと座り込むと、イスカンダルの報告を静かに聞いていた。


『……以上、有川義光の動向についてのみ不明ですが、千鶴子さんの見た未来は回避できたかと推測されます。それでですね、千鶴子さんが目覚め次第、確認してみてはよろしいのではないかと』

「確認……いや、俺からは頼まないしアマノムラクモのクルー全員にも、この件で千鶴子に負担をかけることを禁止するわ。それでなくても、あの子は戦ってくれたんだ。もう、辛い思いをさせなくていいんじゃないか?」

『かしこまりました。では、今後の予定ですが、エクスカリバーにてスターゲイザーへ帰還。到着次第、地球からの外交官たちを連れて地球へ帰還、それで構わないのですね?』

「ああ、朔夜にも帰還命令を出してくれるか?」

『それがですね。有川義光と離れてから、またどこかにふらりと消えたのですが』


 はぁ。

 相変わらず自由な忍者だなぁ。

 やることをやったから、次の仕事を探しに出かけたとしか思えないんだよなぁ。

 もう脅威らしい脅威はないはずなんだよ。


「そっちは俺の管轄でなんとかするわ。エクスカリバーの件、しっかりと頼む」

『かしこまりました。それでは失礼します』


──ブゥン

 いつ地球からのモニターが消えたら、今度はオタル近郊の風景が映し出される。

 地球からの避難民たちは、一旦はオタルの迎賓館に避難してもらった。

 今頃はクレオパトラとケネディから、安全が確認されたという報告を受けているはずだな。


 そう考えながらモニターを見てみると、外交官たちはオタル観光を楽しんでいるようだ。

 

「地球では、あんなに激しいバトルがあったのに。こっちは平和なものだなぁ」

『ピッ……そのようで。ミサキさまに進言します。ボディの覚醒準備を進めますか? それともその身体を使いますか?』

「うーん。まだこっちでいいか。ここまで完璧なリンクをしているとさ、多少のムチャができそうじゃないか?」

「マイロード。それはおやめください。此度のアルファらの侵攻では、ミサキさまは前に出過ぎです。私たちのリーダーならば、ドンと後ろに構えて指示を出してくれるだけでも構わないのですよ?」


 まあ、確かに無茶をしたような気がするんだけどさ。

 アルファだけは、俺が直接相手をしないとまずいような気がしたんだよ。

 確かにサーバントたちは擬似魂によって制御されているから、取り込まれることはないと思うんだけどさ。

 それでも、自分にとっての家族なんだから、危険な目に合わせたくはないんだよ。


『ピッ……ミサキさまのお心遣い、誠に感謝します』

「まてぃ‼︎ おまえ、俺の心の中が読めるのか? いつの間にそんなシステムを構築した!」

『ピッ……そのようなものは構築しておりません。ミサキさまの過去の動向から察するに、私たちに危険なことをさせたくないという御心遣いではないのですか?』

「ん〜。惜しい。けどそんな感じだ。アマノムラクモは俺の家で、故郷で、みんなが家族だからな」


 小っ恥ずかしいことを言わせるな馬鹿野郎!

 そう叫びたいが、これが俺の本当の気持ちだからな。


「マイロード。私たちは、ミサキさまに作られた存在です。主人を守るのは当然です」

「まあ、それでもさ。擬似魂は成長する、個性が生まれているのが何よりの証拠だよ。君たちワルキューレや、サーバントは皆個性があって、人間らしくて良いじゃないか。だから、作られた存在だなんて固いことは言わないこと」

「イエス・サー」


 まだ固いけどさ。

 それでも、昔に比べたら、みんな人間らしくなっているよ。

 モニターの向こうで外交官を相手に、楽しそうにガイドをしているサーバントたち、建物で勤務している奴らなんて、普通に自宅から通っているらしいからなぁ。

 それにエルフたちと一緒に仕事をしているせいか、じつに感情も豊かになっているし、人間と遜色ないぐらいに見えるよ。

 

「さてと、俺の次の仕事はなんだっけ?」

『ピッ……休暇です。アルファ戦、その前のマザー戦、ミサキさまは働きすぎです。少しゆっくりと体を休めるのがよろしいかと思われますが』

「それじゃあ、温泉にでも浸かってくる……なにこれ?」


 椅子から飛び降りて、観光区の温泉に向かおうとしたんだけどさ。

 ジークルーネが俺の前にやってくると、封筒を手渡してきた。


「こちらは日本政府から預かってきたものだそうです。どうぞ」

「どうぞ……って、なるほどなぁ」


 封筒から出てきたのは、旅行券。

 そしてどこかの温泉宿の招待状。

 つまり、これで体を休めてくれっていうことか?

 アルファ戦での俺の活躍を見ていた……訳ないよなぁ。


「オクタ・ワン、これの意図を説明してくれるか?」

『ピッ……期日指定なので、恐らくは日本国政府関係者もしくは諸外国の関係者との会談もあり得るかと予測していますが』

「そーだよなぁ。是非いらしてくださいっていう感じだものなぁ……この件についての適切な答えは?」

『ピッ……変装して行く。これで決まりです。必要ならば、超常スマッシュの準備もしておきますが』

「ネタがわからんわ。でも、変装はありだよなぁ」


 ということで、せっかくの招待なので変装して行くことにしますか。

 変装……ふむ。

 この体はホムンクルスボディがメインなので、簡単に変更することはできない。

 かといって、別の体を用意するだけの時間はない。

 ウィッグとカラーコンタクトだけでいいか。

 まあ、期日までは一ヶ月もあるので、それまでに用意したら良いか。


「それじゃあ、ウィッグとコンタクトの準備だけしておいて……って、なんだよ?」


 気がつくと、ロスヴァイゼたちが俺の近くに集まってくる。


「変装のお手伝いをします」

「お任せください。一ヶ月で完璧なレディに仕上げてご覧に見せます」

「ミサキさまの魅力を完全に引き出して見せます」

「「「さあ、こちらへ‼︎」」」


 うわぁ。

 本当に人間臭くなっているし。

 ヒルデガルドは頭を抱えて困り果てているし。

 まあ、ここは任せて俺も楽しむことにしますか。

 でも、完璧なレディってなんだろう?

 


 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 日本国政府。

 浅生総理大臣は、考えている。

 今回のアマノムラクモとの会議、それも非公式で温泉で行うという完全なるカモフラージュ。

 そこで、どれだけの話し合いができるのか。

 渡島大島はアマノムラクモに渡すべく準備が進められ、そのための法改正も行なってきた。

 他国と足並みを揃えなくては、今回の話は白紙に戻るどころか他の三ヶ国から敵対視されかねない。

 それも踏まえての4カ国同盟による調印式を行うのであるが、野党は静観の立場を貫こうとしている。


 ここで猛反発などしようものなら、俺たちが解散総選挙を行うことを知っているから。

 そしてそんなことになった場合、迂闊に政権を取ってしまったら、4カ国同盟の責任を取らされてしまう。

 かといって、賛成などしたくはない。

 その結果が、俺たち与党の提案を厳粛に受け止め、賛成することだけ。

 他の国内の事案などについては猛反発するものが多い中、アマノムラクモのことが関わると借りてきた猫のように静かになる。


「いっそのこと、アマノムラクモも絡めて停滞している審議も進めてしまおうか?」


 ニヤニヤと笑いながらそう呟く。

 そんなことをしたら、また別の意味で反発を招きかねないから、ことは慎重に進めなくてはならない。


「あとは、お渡しした招待状が無事に届くのを祈るしかないか」


 秘密の温泉会議まで、あと一ヶ月。

 スターゲイザーと地球の距離を考えると、移動に半月は掛かるだろう。

 モノリスを使って移動してくるとしても、それを運んでくる宇宙戦艦がやってくるのに時間が掛かる。

 それを踏まえての一ヶ月。

 果たして、どういう結果が出るのか。


「浅生首相。ホットラインが届いています」

「おう、すまないな」


 アメリカからの連絡だ。

 どうせ一ヶ月後の会談の話だろうなぁ。

 はぁ。

 ロシアも中国も、俺を挟んで話をするんじゃねーよ。

 お互いの腹の探り合いに、付き合わされている俺の身にもなってみろってんだ。

 はぁ、胃薬がまた増えそうだよ。


………

……


 スターゲイザー、オタル。

 迎賓館では晩餐会が開かれている。

 外交官たちが参加する中、ミサキ・テンドウもサプライズ参加したということで、外交官たちは緊張に包まれていた。


「先程、地球のエクスカリバーから連絡がありました。向こうのゴタゴタは全て終わり、今はスターゲイザーへと航路を設定し、向かっているそうです」


 この報告を聞いて、外交官たちもほっと一安心。

 別の食堂でも、付き人や護衛、そしてエクスカリバーが襲撃を受けた日に避難してきた関係者たちが説明を受けて、ほっと一安心しているところである。


「では、私たちはエクスカリバーが到着次第、地球に戻ることになりますか?」

「そうですね。それまでは自由時間ですので、ご自由にお楽しみください。なお、今回はあくまでも視察ということでありますので、私は一切の交渉テーブルには乗りませんので。私との会談もありません」


 この俺の説明を聞いて、外交官たちは『え?』という顔をしているんだが。


「せめて質問会ぐらいはお願いしたいのですが」

「昼間も街の中を散策しましたが、さすがに未知の物質や道具が多すぎます」

「まあ、そうでしょうね。でも、お土産なんてありませんし、何より皆さんは『避難してきた』方々ですからね。本来はこのスターゲイザーには見学、観光といった目的で来るはずでしたので、今さら驚かれる必要もないのでは?」


 そう淡々と告げると、何も言い返せない。

 俺、知ってるよ。

 今回のスターゲイザー来訪で、なんらかの成果をあげないとならないってこともね。

 賢人機関の施設にあった控室での会話、全てアルバートから教えてもらったからね。


「そ、その通りです」

「せめて……私たちのお金を両替してもらえませんか? 買い物をしたくてもできないのですよ」

「あ〜。それについては、明日の朝、この迎賓館のロビーで行います。こちらとしても物価及び貨幣価値についてはある程度は勉強してきましたので。スターゲイザー式為替レートを使わせてもらいますので、そのつもりで」


──パチン

 ここでようやく、俺が指を鳴らす。

 待機していた音楽隊が静かな、落ち着いた曲を演奏する。

 そして食事が運び込まれると、楽しい晩餐会がスタートした。

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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