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【完結】機動戦艦から始まる、現代の錬金術師  作者: 呑兵衛和尚
四つ目の物語〜可能性未来防衛戦〜

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201/251

表向きと裏向きと、そしてあいつが帰ってきた

『機動戦艦から始まる、現代の錬金術師』は不定期更新です。

 衆議院・対異星特別委員会

 本日の議題は、スターゲイザーに対する特別措置法案改正についての論議。

 さんざん委員会ではあーだこーだと揉めまくった『宇宙港建設計画における、代替案としての無人島の無償貸与』であるが、委員会は方針を変更し、無人島貸与ではなく無償譲渡に切り替えた。

 

 しかも、日本国内でありながらも、スターゲイザーの領土として認める方向に話を持っていくと、いくつかある候補地の最終決定まで話を進めたいという報告が行われたのだが。 


「全くお話になりませんわ。いいですか、スターゲイザーに無人島を譲渡し、島から10km内を領土と認めるという事はすなわち、日本の領土を切り売りするようなものです。いくら地球とは異なる技術を持っているからといって、そこまで忖度する必要はありません」


 国憲民進党代表の蓮明れんみょう議員が、声高らかに宣言する。


「良いですか、彼らは日本国民でもなく、ただ、先日の地球防衛軍とやらの国会議事堂及び防衛庁舎襲撃事件において、一方的に条件を突きつけて手を貸してきただけです。国際的なやりとりは何もなく、まるで火事場泥棒のように危ないから手を貸す、代わりにこれをよこせとは……こんな横暴を認めるのが日本なのですか!」

「まあ、この件については、自衛隊が機能しなかったことに問題がありますから」


 舌弁を振るう蓮明を抑えるために、与党議員たちが弁明するも。

 それも、火に油を注ぐように大炎上。


「その自衛隊の体たらくにも問題があります。この賢人機関の報告書では、地球防衛軍に加担した自衛官たちは、すべて体の中に異物が存在し、そこを巧みに操られたというではありませんか。そんなものが体内にあって、どうして入隊の時に分からなかったのか。自衛隊の検査レベルを疑うしかありません。いっそ解体して、全くの別組織を作り上げることを提案します、以上です」


 スターゲイザー批判から始まり、最後は自衛隊の解体にまで話を飛躍化させる。

 蓮明議員の言い分も理解できるし、何よりもマスコミはこの話に食いついている。

 全国各地の報道関係機関は、スターゲイザーを受け入れるか拒否するかの二極に分かれ、日々テレビやインターネットの中で対立を繰り返している。


 スターゲイザー容認派は、速やかに無人島を譲渡し、そこに国家の領土を作り上げる方が良いと提案。

 今の日本では、国民がニュースなどの報道番組に食いつくほど大きなニュースがないため、スターゲイザーを取り上げることで視聴率を稼ぐのは簡単である。


 逆に反対派も同じ理由。

 容認よりも拒否、そこを重点的に前に出してのニュース報道が繰り広げられ、中には『スターゲイザー評論家』なる大学教授まで現れている始末。

 しかも、一方的に『仮定』の域を超えない推測ばかりを並べたてての拒否。

 もしも関係者が見ていたら、その大学教授の屋敷に忍者部隊を送り込む可能性もあるぐらいに、ミサキを叩きまくっている。


 そして国民たちは。



「あの巨大なロボット、乗ってみたいですよ」

「スターゲイザーにいってみたいです。まだ見たことのない星ですよ、観光でいくとしたらどれぐらいの予算なのでしょうか」

「今の日本では、欧米諸国やアジアの列強国に対抗するだけの力はありません。だからこそ、あの機動兵器を自衛隊が保有することで、日本は過去の大戦による借りをうわよせなにをする、離せぇぇぇぇ」


 といった感じに、興味はあるものの、これからどうなるかわからないから傍観しているというところであろう。

 いずれにしても、期限までに話し合いを終わらせなくてはならず、そのためには与野党が一丸となって取り組まなくてはならない事案であることは、間違いはない。


………

……


──東京湾上空、アマノムラクモ。


「あっはっは。これはまた、とんでもない話になっているなぁ」


 北海道の地方ローカルニュースを見て、俺は思わず腹を抱えて笑いそうになった。

 この北海道にスターゲイザー用宇宙港を建設できる土地を用意し、スターゲイザーを誘致しようという働きがあるらしい。

 もっとも、それは無人島ではなく北海道内、広大な土地が余っている北海道の地を、スターゲイザーに譲渡するという話で盛り上がっている。


 ちなみに、北海道の地を譲渡するという話の根幹は、国会での蓮明議員の発言から。


『今回の宇宙港の件も、北海道知事が暴走した結果です。そこまで異星に忖度するのでしたら、北海道の土地をさしあげればよろしいのではないですか?』 


 この発言が北海道内で広がったものの、さらに地元の報道関係者が喰らいついた。


『蓮明議員は、無人島の無償貸与は認めないが北海道の土地を譲渡することには問題はないといっている』

『野党代表が認めているんだから、北海道にスターゲイザーを誘致しようぜ』

『スターゲイザー歓迎‼︎』


 野党の議員代表が、公的な場でスターゲイザーを北海道が誘致する事を認めた。

 それが盛り上がりを見せて、今現在は、どの市町村がスターゲイザーの停泊する宇宙港を誘致するかで盛り上がっているらしい。


「まあ、ミサキさまには面白く見えていますが、北海道知事からは謁見の申し込みがありますが」

「それだけ追い込まれているんだろうなぁ。領土の割譲となると、知事の判断では難しいだろうからさ。それでいて、野党は認めたんだから与党の支持を集めれば終わり。今頃は、野党は集まって対策を練っているんじゃないか?」

「それはそれで、結果を聞き出せればよろしいかと」


 そう告げてから、ヒルデガルドは二通の書面を俺に手渡す。


「これは?」

「中国とロシアからの書簡です。どちらの国も、スターゲイザーに島を譲渡する準備ができているとのこと。それを踏まえての、国交を行うための話し合いに応じたいと」


 軽く目を通してみるが、どっちも領土を割譲し、その周辺海域をスターゲイザーの領土とすることを認めるらしい。

 彼らが求めているのは『文化交流』。

 スターゲイザーの領土内に交流施設を設けて、二つの国の文化交流を行いたいということらしい。


「……それで、話し合いに来たいと。こいって言われるよりは、来るっていうんだから。話ぐらいは聞いても良いかなぁ」

「では、そのように返答をしておきます。北海道知事の件は?」

「ロスヴァイゼに任せる。彼女を親善大使として送り出す。まあ、地球防衛軍の件はノアに任せているし。バイオナノマシンの修復は神楽がやってくれているから、問題はないはず」


 チラッと後ろを見ると、神楽が天井をボーッと見ている。

 あれで、しっかりと仕事しているんだから、不思議だよなぁ。


『ピッ……ミサキさまに確認して欲しいことが』

「ん?なんだ?」

『ピッ……こちらのモニターをご覧ください』


──ブゥン

 正面モニターに映し出されたのは、テレビの街頭インタビュー。

 スターゲイザーの存在、そして日本国内での停泊についての話を聞いているのだが、その画面の後ろを、カメラを見ながら横切る存在。


「……有川義光……まさか、あの爆発で生きていたのか?」

『ピッ……詳細不明。テレビの映像は録画であり、すぐに追跡調査を行いましたが消息不明です』

「調査員に、有川義光についての情報を集めるように伝えてくれ。神楽、こいつのバイオナノマシンは止められるか?」


 すぐさま後ろにいる神楽に問いかけるが、神楽はボーッとした顔でこっちを見て一言。


「特定固有対象のバイオナノマシンを止めるのは、その対象が妾の半径200メートル以内に来ないと無理じゃなあ」

「マジか。こいつはやばいやつなんだ、どうにか出来ないか?」

「無理じゃなぁ。いくらミサキ殿の願いでも、無理なものは無理じゃ」

「そっか。それなら仕方ないか。オクタ・ワン、有川義光の追跡調査を頼む」

『ピッ……了解ですぐ』


 ようやく話し合いが始まるかと思ったのに。

 また、こいつは引っ掻きわしてくれるのかよ。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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