さぁ、探してみよう‼︎
『機動戦艦から始まる、現代の錬金術師』は不定期更新です。
惑星トーチタスの海上。
そこにゴムボートを浮かべて、俺はプカプカと漂っている。
相棒はこの一振りのロット。
ノジマ製18000DXリールを搭載したこれがあれば、あの幻の『キングバラクーダ三世』も釣り上げることができる。
「んなわけあるか」
カリヴァーンを無限収納に格納して、俺はのんびりとアマノムラクモ待ち。
いや、別に陸地に向かってもいいんだけどさ、移動する手段が派手すぎるのと、ここで出すことができない。
全長250m級のスペースクルーザーや宇宙戦艦なんて、出せるかって言うの。
ステラアーマーも回収してきたけどさ、まだ使い方がわからないから出すだけ無駄、すぐ沈む。
ほら、詰んだ。
『ピッ……ミサキさまの現在位置は何処ですか?』
「惑星トーチタスだよ。例の海底神殿直上にいるから、のんびり回収してくれる?」
『ピッ……こちらの作業に、あと三日掛かります。それまで我慢できますか? ひとりぼっちで良いですか? そんな装備で大丈夫ですか?』
「一番いいやつを頼むって、イーノックかよ!! 作業があと三日ってなにをしているん?」
『ピッ……アマノムラクモを追撃してきた帝国艦隊を蹴散らしたので、回収したいのですが。ミサキさまの無限収納は近くにいないと我々は同期できませんので』
あー、そうだったわ。
擬似魂を持っているワルキューレやアマノムラクモ本艦、そしてカリヴァーンは、俺が近くにいる時限定で無限収納と同期できるんだけどさ。
ここまで離れると、格納不可能なんだよなぁ。
「わかったわ、纏めて移動してきてくれればいいよ、こっちはこっちでなんとかするから」
『ピッ……よろしくお願いします』
さて。
通信機を戻してから、どうするか考える。
普通の魔法使いなら飛んで行くなりなんなりと、いくらでも陸地に向かうことができるんだが、こちらは錬金術師。
そんな便利な魔法は使えない。
カリヴァーンは冷却開始時に機体内部に海水が浸水したので、慌てて格納したからなぁ。
「しゃーない、エンジンを作るか」
これが錬金術師の正しい判断。
無限収納から適当な金属片を集めて、魔石を……切れてる。
金属片を魔法で融合して、それを変形しシャフトとプロペラを作成。
それを収めるためのゴーレムモーターを、魔石を使わずに術式のみで作り出すと、それを全て組み上げてゴムボートに取り付ける。
「よっし、所要時間30分、プラモ作るよりも早いわ」
それでは魔力を込めて、試運転。
──ブルルン……ブルルン……
うん、動くけど遅いわ。
具体的には、人が駆け足で走る程度。
それでもまあ、ないよりはマシなので、陸地に向かって移動開始。
方角?
陸地は見えるから大丈夫だよ‼︎
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
血塗れの天守閣。
そこには、首を跳ね飛ばされた帝の死体と、同じく腹を掻っ捌いて自害している最中の里長の姿があった。
「た、頼む月影、この術を解くんだ‼︎」
口から血を吐き出しながらも、必死に叫ぶ里長。
だが、その言葉とは裏腹に、ずぶり、ずぶりと刃は横に滑っている。
「拙者は、里のものたちを助けるために、自らを霊子光器の生ける贄とした。だが、里長は、帝は、我らが同胞の復活を拒むどころか、我に無慈悲な殺し合いを押し付けた……」
ミサキに敗れた月影は、這々の体でなんとか稲穂之国に戻った。
霊子光器を復活させるために、己の魂の半分を差し出して自己修復させた為か、月影の心臓は霊子光器に成り代わってしまった。
ミサキの籠絡失敗を聞いた里長と帝は、月影から霊子光器を奪い取るために里のものたちに命じて月影の暗殺を企てたのだが、それが失敗。
霊子光器と同化した月影には、相手の魂が見える。
そして、里長と帝が自分を無き者にしようと企てていることを知った。
「ま、待て、それは違う、里のことを考えれば、ああするしか無かったんだ‼︎」
(魂の色は赤。嘘をついている)
「二寸深く」
──ズブズブッ
月影の呟きが里長の耳に届いたかと思うと、自身が手にした刃を二寸ほど深く突き刺した。
「ぐぶぁぁ……待て、私は里長だ、忍びの者たちは、影に生きるものは、我の命令は絶対ではないのか‼︎」 「拙者は……里を捨てる。この霊子光器と一つになることで知った‼︎ 同胞を蘇らせる手段を‼︎」
──ガバッ
襟元に手を当てて力一杯引く。
忍び装束がはだけると、その左胸に金色に輝く球体が埋め込まれている。
「そ、それは」
「我と一つになった霊子光器だ‼︎ こいつが全てを教えてくれた。如何なる奇跡も起こす『二十四の伝承宝具』、それがあれば、同胞たちは蘇らせると‼︎」
「そ、そんなものが、わかった、俺もそれを探すのを手伝おう‼︎」
(まだ、魂が赤い)
「嘘をつくな、里長は、その伝承宝具を我から奪う気であろう‼︎ 貴様の魂が赤く輝いているではないか‼︎」
その場を取り繕うための嘘。
くわえて、もしも話になってきたなら、その伝承宝具を奪い取ろうとまで考えたのだが、それすらも月影に見抜かれている。
「首を一寸‼︎」
──チャキッ
腹からヤイバを引き抜くと、自身の首筋に突き立てる里長。
「ま、待て、またぬか月影‼︎」
「その名も捨てたわ‼︎ 我は……我の名は朔夜、影に生きることを捨てた忍びだ‼︎ 二寸‼︎」
──ズブズブッ
大量の血が首から吹き出す。
すでに死んでいてもおかしくはないのだが、朔夜の傀儡術により『死ぬことも』許されていない。
「ぐわひゃあばらぱぁ」
「さらばだ、断首‼︎」
──ズバッ
一気に刃を突き刺し、真横に引く。
それで里長の首が皮一枚残して垂れ下がる。
「霊子光器よ、我を導いてくれ」
胸元に手を当てて懇願する。
すると、朔夜の頭の中に、いくつかのキーワードが現れる。
「アクシア……機動戦艦アマノムラクモ……そして」
天守閣の外に向かって歩く。
そして月夜に向かって右手を差し出すと、目の前に機動兵器・朧月改め、『機動隠密・朧月』が召喚される。
「ミサキ・テンドウ。やはり貴様が伝承宝具の持ち主だったか……我らが同胞のために、貴様の伝承宝具を頂く‼︎」
──シュッ
一瞬で朧月のコクピットに収まると、朔夜は霊子光器と朧月を同期する。
「忍法・空間超越‼︎」
──シュンッ
刹那、朧月は単騎でジャンプドライブを始動、ミサキの残滓を追いかけ始めた。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。











