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記憶 ー声が聞こえるー  作者: ニャン小太郎
3/3

後編

あの事故からもうすぐ1年、僕はまた事故現場付近の最寄り駅に来ていた。


(何だろう?この電車に乗らなければいけない気がする?)


彼女だろうか?

ようやく彼女の望む場所に連れていけるかもしれない。

そう思い僕は電車へ乗り込んだ。


(おかしいな?)


時刻はまだお昼過ぎ、なのに車内には誰もおらず電車の動く音が微かに聞こえる程度。

見慣れない景色と人気のない車内に心細くはあるが、これも彼女の為だと心を奮い立たせていると、


『とんっ!』


背中を押されたと思ったら、僕は駅のホームに降り立っていた。


(いつの間に!?)

(ここが来たかった場所なのか?)


僕はそう思い周りを見ると、男の人が一人佇んでいることに気がついた。


(彼だ。)


嬉しげな彼女の声が聞こえた気がした。彼女は彼に会いたかったのだ。

沈む僕の心とは裏腹に彼に近付いていくと向こうもたちに気がついたようだ。


彼の前までたどり着いた瞬間、


(ありがとう。連れてきてくれて。あなたも私達と一緒に来る?)


その瞬間、後ろに腕を引かれたと思ったら目の前を電車が通過していった。



「危ないですよ?あなたは生きているのだから、彼らに近づきすぎるのはよくない。」


どうやら僕はもう少しで電車に引かれる所だったらしい。

お礼を言おうと振り返るとそこには誰もいなかった。


(残念ね・・・。)


それが僕が最後に聞いた彼女の声で、いつの間にか先程の最寄り駅に戻っていた。

どうやら彼も彼女同様亡くなっていたようだ、彼女の記憶の中に彼の遺影があったのを思い出す。


(僕は彼女に殺されかけたのだろうか?)

(何故彼女は僕の所へ来たんだろうか?)

(助けてくれたのは誰だったのだろう?)


今でも良く分からないことが多い。

けれども一番に思うことは


(僕は彼女に失恋したんだな。)


と、そう僕は思ったのだった。







お読み頂きありがとうございました。

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