第5話
「マリーア!!!!!」
この声を聞くのはいつぶりだろうか、ざっと五ヶ月ちょっとぶり。
「はっはっはー!」
「ごきげんよろしゅうございますか?王子殿下。」
「よいよいよいぞ〜」
どうしてしまったのでしょうか、5ヶ月ぶりにあったらこれって…心配いたします。
「俺は王になる〜!」
?
「どのようなことかお聞きしても?」
「この王子殿下、が立太子されます。そのご報告を。」
「そうなのですか、おめでとうございます。」
「はははははらははははらられらははは!」
大変喜んでいらっしゃるのですね。わたくしは驚いていましたが…。
まあ、国王様のお御子は王子殿下お一人ですし、立太子はいずれされると思っていましたがこのタイミングですか。
わたくし、は元、ですが公爵家長女でございます。世間的に見て婚約者(公爵家長女)を塔に幽閉した、というのはどのような理由であれ絶対的な国王ではないのですから汚点なのです。この時期、通常通り国王や国民に破棄が発表された場合まだ騒がしいはず、なのにもかかわらず今立太子。まさか王子殿下…わたくしのことを国王にいっていないのでは?
「王子殿下、聞いてもよろしいでしょうか。」
「よいぞ、なんでも聞け〜!」
調子が良くてラッキーでございます。
「国王様や、国民の皆様にはわたくしのことをどう説明しているのでしょうか?」
「説明?」
?みたいな顔をされる王子殿下です。
「してな〜い、!」
「そうでございますか、ではわたくしのことは世間でどうなっているのでございましょう?両親、いえ、元両親にはつたわってあるようですが、」
手紙は許されていようとも、公爵家から外されたわたくし、両親というだけでも不敬にあたります。
「病気で死んだことになる予定だぞ?」
「そうでございますか。」
もうおっしゃってることがぐちゃぐちゃで理解が追いつきません。
「じゃぁばいばあ〜い。」
嵐のように王子殿下は帰っていきました。
死んだことになる、。
出れたときのことをときどき考えていたのですけれど、もう考えることをやめましょう。
だって、出れたところで、もう戻るところはないのです。
冷たく冷える床に座り込みます。
この塔に入って幾度目かの涙がこぼれます。
この日の交代のとき、わたくしは歌いませんでした。一晩中泣き続けました。そして、泣きつかれた翌日、床にできた涙の染みを綺麗に掃除したのでした。