第4話
二ヶ月、三ヶ月、そうたつと日にち感覚が鈍ります。刺繍などをし、楽しく過ごしていますがわたくし、最近もう一つ趣味ができたのです。
それは護衛が交代する、たった十分の限られた自由の間窓に向かって歌うことです。王城の端っこですし、随分と高いところで歌ってますので恐らくわたくしの声を聞く人は誰一人としていないでしょう。交代の時間が昼だと小鳥が寄ってきて一緒に歌ってくれたり、夜だとフクロウがふぉーと相づちをうってくれるのです。
人ではありませんけれどその優しさでわたくしの心に積もった寂しさの雪は溶かされたように思います。
体調を崩し、寝込んだこともありますが今のところ元気です。髪が伸びてきたのが気になるところではありますがわたくし一人と護衛二人しか見る人はいません。しばらくは伸ばしましょうか。
ぱんぱかぱんぱんぱーん!!
なんでしょう?外が賑やかです。
見てみましょう、。
賑やかな露店、空気…そうでした、今日は、建国記念日でした。
それは賑やかになる筈です。
あの子は風船を、あの子は、嬉しそうに飛び跳ねています。外の様子を見るのもなかなか楽しいですね。
すると突然風が、ぴゅー。
風船売りが風船をパッと手から離してしまったようです。風船が風の影響でわたくしの方に。とれるかなと思い手を伸ばすと風船のひも1つがわたくしの手に。
ふんわりと浮かぶ風船を窓を閉めた室内でぱあっと離します。あまり高くない天井です。
手が届く高さなのでとったり、はなしたりして楽しみます。きっとこの風船は明日にはしぼんでしまうでしょう。でも少しだけ、少しだけ私と遊んでくださいな。
今日は建国記念日、当然ながらたくさんの重要人がこの城に来ていることになります、ですが夜、この塔の下を歩く人がいるとは思いもしなかったのです。
「〜、〜、!。*〜」
いつものように気持ちよく歌って、窓を閉めようとしたとき、下を向くと目がある人物が。
目があうとその人物は微笑んだのです、にっこりと。口角が上がったので笑ったことはわかりましたが顔まではわかりません、いったいどなたでしょうか?それに、わたくしの歌を聞かれていたのかとおもうと………。なんと恥ずかしい。
トントントントントン。
刻み良い階段を登る音が聞こえます。もう窓を閉めなくては、。
誰かを確かめたい思いに蓋をして、わたくしは窓を閉めたのでした。