第3話
チクチクチク、チク。
幽閉されて一ヶ月。
完成品がもう7つ程できております。たった7つで寄付するのも少なすぎるような気がいたしますので10になったら寄付しようと思うのです。問題はどう作ったものを塔の外へ運ぶか、ですけれど。
まあ。護衛の方々に運んでいただきましょう。
ちなみに王子様はといいますと、あの御令嬢を婚約者にされ落ち着いたようですよ。塔で一生過ごすわたくしには、関係ございませんけれど。
花も恥じらう14歳、こんなにも冷静とは、自分でも悲しくなります。
少し、休憩にしましょう。
紅茶を入れて一休みです。
はじめはなれなくて渋かった紅茶も、もう渋みなく入れられるようになってしまいました。家族に会えない寂しさが少しずつ積もって来ています。いつか寂しさは心の中を埋め尽くすのでしょうか。
紅茶のカップを置き広い空を映す窓を開きます。塔に入る前には気づかなかった鳥たちが自由に空を飛び回っています。今の生活も悪くはありません、牢で過ごすよりどれほど素晴らしいでしょうか。ですが今は、たった一瞬でも家族を目にしたいのです。温かい人のぬくもりを感じたいのです。
一人ではないけれど一人のこの空間、わたくしは外でこの美しい空を見上げる日がいつか来るのでしょうか。