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「W」  作者: siro(シロ)
7/8

「finalday」

ついに最終章「finalday」突入です。

結末へ向けてどうなるのか。

皆さんの推理はどこまで当たってましたか?

いろいろ想像して時間潰しでもできていたら幸いです。

よければ最後まで楽しんでください

〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Final day 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「やぁやぁ、やっとお気づきかい?」


暗がりの部屋の中、書斎のデスク上にあるPCモニタの光でようやく目視できるほどのあかり。辺りは狙ったかのような闇。

まるでそこから生まれたような存在感で、そいつはそこにいる。


目の前にいるのは殺人鬼の怪物、あの噂の館主人にして何度も話に出てきた例の兄弟の弟と直感で思った。動けない僕に唯一あった動きといえば、この全身を流れる冷や汗だけだ。


「そう身構えるなよ。俺達は仲間なんだぜ?」


「一体何を言っているんだ、それに死んでおらずここに居るってことは、リュウイチやアイは・・。」


暗がりでよく見えないがニヤついた口調なのがわかる。その口調でヤツは云う


「俺は何もしてないぜ?俺はな」

「お前がやったことの掃除。つまり後始末だけだ。」


どういった真意があるのか分からない。分からないがまだ二人は無事みたいな事を言う。だが不安でしょうがないのは変らない。それにヤツは全てを知っているかの様な口ぶりで会話を続ける。

それに僕には襲いかかってこないのも気がかりだ。


ぼくは頭がぼーっとしてる中、何か心のなかで引っかかる物を感じていてそれを探っていた。

















「まだ思い出せないのか?まぁいいや、そろそろクライマックスだ。

そのお前が見ている日記の続きを読んではっきりさせるんだな」


このまま何もできず、何もしないよりはマシという想いで、ぼくはヒビキの日記らしき物の続きを読む事にした。


「兄貴は俺を裏切った。いやあの女のせいだ!

アイが兄貴をたぶらかし俺等家族から引き離そうとするからだ、、、。

それを笑って見過ごすアイツ等も同罪だ。兄貴はアイツ等にきっと俺の秘密を話し、唯一仲間だった兄貴もあいつらと同じ所から

俺を見下すんだ。そんなの耐えられない


兄貴には実験台になってもらうよ。この館で事故にみせかけてアイツ等のせいにするんだ。アイツ等を利用してアイツ等も殺してやろう」


「何だって!?」


カナデは戦慄する。


「やった。やってやった。兄貴は死んだ。あんなに血を流して。

温かかった血があんなに流れてみるみる冷たくなって・・

アイに支配される前におれが解き放ってやったんだ、はははは。

アイツ等、馬鹿だな自分達のいたずらで兄貴が死んだと思って自己嫌悪に苛まれてるよ、ははは。

次はお前等だ残酷に殺してやる呪いのようにな!


とうとうこの時がきたよ。兄貴を追悼旅行とか言ったら、のこのこ集まってきた馬鹿なやつら。順番に殺してやる。お前らのせいで兄貴を殺さないといけなくなったんだ

罪をつぐなえ!


今日はリナを感電で焼き殺してやった、肉が焦げて目ん玉が蒸発したようだ。おもしろかったな・・次は誰をやろう」


このあと、今に至るまで事細かに残酷な内容の日記が綴られていてカナデは未だに信じられず鼓動がたかなりっぱなしだった。


文章を読んでいてそこには信じられない内容ばかりが書かれている。特に始まりのほうで僕は死んだ事になっているが、一体どういう事だろうか。


「現に僕はこうして生きている・・・。」


何が起きているかますます混乱する一方で、事件の裏では黒幕が弟のヒビキであることが判明した。じゃあ一体目の前にいるこいつは、、、。




「お前は、ヒビキなのか、、、?」




「ちがう、ちがうよ。」「ヒビキはお前だ。」


「えっ!?」



意味がわからない。そんな唖然としているカナデを男は見つめ語りだした。


「いいか、混乱しているようだがヒビキはお前だ。ソレは間違いない。現にお前はさっきリュウイチにとどめをさして返り血をびっしょり浴びて笑ってたじゃないか。」


「その証拠にほら俺が録画したファイルもそこにはある。だから続きをみろっていってんの」


実はカナデはこの時すでに思い出していた。


カナデの思い出の中身はひどいものだった。吸い込まれるように記憶の中に進んで行く

記憶のなかにはリュウイチがいて、気付くと知らない部屋に僕がいた。

そして。

僕に必死に何かを伝えてるリュウイチを抱き上げ、そっと僕は始めはゆっくりと丁寧に、料理の下ごしらえをするかのように、リュウイチに包丁を突き刺し始めた。


何度も。



何度も。何度も。




何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。。。。。






夕暮れのカラスが鳴き止まないように、何度も何度も突き刺した。

それでも抱きかかえて息絶えているリュウイチは何故か「笑顔」のままだった。

そのメモリにある動かぬ証拠と信じたくはない僕の記憶が完全に一致した時、


僕は僕ではなく、ヒビキになっていた。


そう、僕カナデは1年前にヒビキによって殺され死んでいた。そしてこの肉体は双子の弟であるヒビキのものである。信じたくはないが、僕カナデはヒビキの肉体に精神が乗り移っていたのだ。

その事実を受け入れてしまった瞬間電撃が身体中走り「全て」を思い出した。

今回の計画から、殺し方、順番、トラップ。全てだ。


この怪物の正体、そしてヒビキとこの怪物の接点、幼い頃この別荘でよく過ごした。その時から奴は居たのだった。そしてヒビキの残酷性を見抜き「裏の顔」であるヒビキを育てていたのだ。

別荘とはよく言ったものだ。話を全てまとめると、あの「噂」の正体である兄弟は今もここに潜んでいたのだ。正確には「弟」だけ。


弟繫がりであるヒビキは奴と出会ってから、崇拝に似た思いでどんどん歪んだ性格へと変わっていった。怪物であった奴自体は、もう結構な年齢のはずである、そして今「怪物の正体」はヒビキなのだ。


把握した、


認識をした、


そして理解をした。


どうして誰も僕を一度としてカナデと呼ばなかった事も、アイが僕を遠ざけていた事も、

誰かが死ぬ時、僕は必ず意識が無かった。それは肉体の持ち主であるヒビキが行動していたからだ。


僕を追いかける悪夢は、この計画から皆を救いたい思いで抵抗した意識だ、その意識を塗り替えるためにヒビキが僕を追い出そうとする、そういった意味だったのか。


「リュウイチ・・・。」


「邪魔だよ、奏兄さん、、、。」


もうカナデは奏では無かった。ただ結果を見続けるだけの意識になりつつあった。


実はこの作品「W」自体はテスト投稿でした。

今後、時間をかけて、今現在並行で書いている

自分自身の体験した経験を半ノンフィクションで書いた物を

長編物で投稿しようと思っています。

そちらの方も、どうか読んでいただければ幸いです。

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