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吉崎です。ただいま魔王城前です。



それでは吉崎くんを見ていきましょう。

 吉崎です。ただいま魔王城前でございます。魔王城前といえばあのイベント、四天王最弱のやつとの戦いです。門の前には鎧を着た二足歩行のワニっぽい魔物がいます。きっとクロコダインとかいう名前でしょう。いずれ仲間になるかも。


 そんなことはどうでもいいのです。僕は中学校を卒業し、入学予定の高校の宿題を終えてゲーム三昧のエブリデイだったのに、なんかダーツに当たったからという理由でファンタジー世界に送られ魔王を倒す使命を与えられました。ラノベみたいに魔王が可愛ければよかったのですが、これは日本でファンタジーが普及した当初の通り可愛くないグロテスクなデザインのおっさんでした。ああ、ここまでならいいんですよ。そりゃ魔王倒さなければ帰れませんし。でももう一つのテンプレ、王女様が勇者を好きになってくれるってやつ。あれを守らないんですよね。王女様は王女様で幼馴染の次期公爵の男の子と相思相愛な訳です。国は報酬は出さないわけでなく、宝物庫からいくらかお金とアイテムをくれました。前払いだったので文句は言わせないとの構えです。そして王家は僕を放ったわけです。


 そしてここから魔王城に向かうわけなのですが、世界中にある封印のオーブを集めなきゃいけないようなのです。封印のオーブを使うことで魔王の力を減退させ、有利に戦えるらしいのですが、もちろんそんなことは知りません。村人に聞いたところでわかるわけがないので。

 ゲームでは最初の草むらでめちゃくちゃレベルを上げるタイプだった僕は、とりあえず99まで上げて魔王城にたどり着きました。途中のストーリーは吹っ飛ばしました。99レベルなので。

 そして今に至ります。

 勇者吉崎はクロコダインに鑑定をかける。


 クロコダイン適正レベル130レベル


 ソロでは勝ち目は薄い。パーティを組もう!



 なんだよ!99レベルがカンストじゃないのかよ!そしてパーティを組もうって言われてもみんな弱いんだよな。剣聖と呼ばれる人がレベル10の時点で察してほしい。腕前の問題かなとも考えて戦ってみたら思ったより弱かった。間合いが合わなかったのだろう。

 退却である。


「100レベルを超える方法ってなんだ?」


 A.限界突破を末端の祠で習得してください。


「なるほど、末端の祠か。ってどこだ?」


 A.南大陸の南端にあります。


「そうか。よし、そこへ行こう。というよりこの答えてくれる機能はなんだ?」


 A.99レベルで習得した勇者スキルのヘルプです。以後よろしくお願いします。


 なるほど納得。僕は賢いのでツッコまない。この世界は突っ込んではいてはキリがないと学んだのだ。そう、僕は賢いから。


 ヘルプさんに導かれ、南端の半島にある末端の祠にたどり着きました。限界突破っていうから痛かったり厳しかったりするのかなと不安だったのだけれどもシステム的な問題で何もせずに終わった。ステータスボードのアップデートしてバージョン2.0にするための場所らしい。ところどころ裏事情を見せるのをやめてほしい。


「グスッ、情報を消去しますか?ううぅ。」


 涙声でヘルプさんが聞いてきた。


「いや、ヘルプさんは悪くないよ。うん、全然悪くないからねー大丈夫だよ。迷惑じゃないよー頼りにしているからね。」


 小さい子をなだめるようにしているのだけれど実体がないものだからどこを見て慰めればいいのか少し迷ったが、どうやら持ち直してくれたらしい。そして今気がついたのだが、質問に対する答えだけでなく、会話が成立している。これもバージョンアップのおかげなのだろうか。


「あなたの疑問点について解説させていただきます。バージョン2.0ではオープンワールドのゲームに近づいています。いわゆるファミコン時代のファンタジーテンプレからVRMMO的なテンプレに変わったわけですね。スキル派生とか色々変化してます。」

「もしかして他にも祠ってある?」

「はい。北、東、西に一つづつあります。しかし順番に解放しないとインストールできない仕組みになっておりますので目指すのであれば次は北を目指してください。」


 そんなこんなで全部の祠を回りました。今のレベルは999です。ワニさんは圧勝できると思いますが、次のはきっと危ないかもしれません。レベル上限がなくなったのでもっとレベルアップしたいと思います。


「それでしたらダンジョンに潜られるといいと思います。特別なアイテムがたくさんありますから地球に戻って一儲けできますよ。」

「え、アイテムって向こうに持ち帰りできるの?」

「はい。」


 ということで、この世界のダンジョン全て攻略しました。もちろんアイテムも根こそぎ収集しました。そして今のレベルは10000000。


「さすがにもう魔王は人差し指だけで倒せると思いますよ?」

「いや、油断が一番の敵だ。せっかく上限がないんだからもっと鍛えないと!」

「えぇー………」


 若干ヘルプさんに呆れられましたが、そんなのはどうでもいいのです。死にたくありませんから。パワーインフレ系のテンプレとして宇宙人襲来がイベントとしてありますから宇宙に行けば新たなダンジョンがあるかもしれません。魔法を使ってロケットを作って宇宙に行きます。宇宙に出た瞬間にロケットは壊れましたが、全天候適応と飛行魔法で大丈夫でした。そして全宇宙を旅してレベル上げをしたわけですが、地球は見つかりませんでした。完全に異世界のようです。


「さすがに宇宙まで進出してレベル上げをするとは女神も想像していなかったみたいですね。ざまあみろです!」


 どうやらヘルプさんは能力凍結をされ、左遷でこの任務についているらしい。悪い人には思えないんだけどな。

 もうレベルはステータス欄を超えてしまい数えられない。


「あのぅ、もう全力出せば人差し指で宇宙を割れると思いますよぉ……」

「え、宇宙を割るって?」

「概念を超えられるんですよ………。すでに女神よりも強いですよ……。」

「え、じゃあ僕は神になったんですか?」

「いや、人間です。」

「ん?」

「簡単に言えばクマよりも強いミジンコみたいなことです。」

「ごめんなさい想像できません。」

「私にも想像できません。そんな事態があなたに起きているんです。さっさと魔王を倒して地球に帰りますよ!」

「………はい。」


 唯一の救いは完璧に手加減ができると言うことだ。運動神経がいいと言うのは力の抜き方を知っているとはよく言われることだが、それが適応されててヘルプさんと涙を流しながら喜んだ。一応人間社会でも生きられると。

 そして魔王城ごとデコピンで吹き飛ばして地球に帰還することになった。エンディング場面でも姫様は次期公爵にぞっこん、僕のことなんて忘れて魔王が死んだことを喜んでパーティしていた。この世界は飯がクソまずいので願い下げだ!

 と言う経緯で帰ってきました。

 明日は高校の入学式です。




 以上、吉崎の冒険でした。






「何終わってんのよ。」

「………え?だってブサイクな普通の高校生のお話見たって誰も面白くないじゃないですか。」

「誰が普通よ、神に勝つミジンコ。未来ある若者がここで人生終了とかジジイみたいなこと言わないの。」


 吉崎の生活が再開します。


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