第8話 イリアと理奈が出会ったら―ぼく、はだか……
ある意味真面目なイリアのこうげき
そして、あんりきゅんはヘルプさんとひとり遊び
「こ、今度はぼくが、じぶんで脱ぐから」
「え~~~、そこはお姉ちゃんの出番じゃないのかにゃー」
「お、おにいちゃん?理奈がいる前で脱ぐなんて、な、何を考えて……」
ぼくの下半身が、大変なことになりっぱなしなんです。
気持ち悪いの、どうにかしたいんです。
そのままの状態で、今までずっと会話進んでたんです。
おねがいです。
なので、えーっとですね。
「言わなきゃだめ?」
「あー、言わないと理奈は納得しないと思うにゃ~(にやにやり)」
「???(こくり)」
「だ、だからね、ぼく、も、もらしちゃった、から、洗わないと、い、いけないんだ」
「ご……ごめんなさいっ!」
「だ、だから脱ぐね。だから、理奈、後ろ向いていてくれるかな?」
「わ、分かったよ、お兄ちゃん。で、ソルお姉様は、どうしてお兄ちゃんのことをにやけながらじろじろ見ているんですか?」
「およ?あ、あああ、そっか、うん、ソウダネ、ワタシモウシロムカナイトイケナイネ」
おっと、ここで妹のちょっと真面目モードがソルフェリノに直撃した!
ダヨネー
理奈って、どちらかと言うと頑張り屋さんな気がするからねー。
今回の性格がどうかまではまだ分からないけど。
あの、ソルフェリノが後ろを向いた!
ところで、基本的な事をヘルプしておきたいのです。
<HPとMPの自然回復について>
HP、MP共に回復魔法等の手段を用いた回復以外に、自然回復があり
ます。
HPについては、1日1回まで、6時間の完全休息で全回復します。
時間割での回復はありません。
いろいろと細かなルールもありますが、ここでは省略します。面倒
くさいでしょ?
MPについては、時間割での回復となります。1ポイント回復するのに、
(300/MP最大値)分かかります。こちらも厳密には条件付きです
が、細かい所は必要に応じて解説するね。
さすがに時代に取り残されているだけある。
とは言え、MPは時間回復制なのがまだ救いだ。
だからこそ、理奈にMPをすべて吸い取られたのに、程なくして、目を覚ますことができたのだ。
とはいえ、HP,MPの回復ルールを変えてしまうのは……あまりにもリスクが大きい。
ステータスを見ても、これらの値の1ポイントが果たすウェイトが重い。
レベルの高いソルフェリノも、レベルの低い僕も、値が変わらない。
ん?何だか、文末表現がおかしくないか?
<消費MPについて>
レベルの上昇に応じて、消費MPが減少します。
具体的には、(必要MP/レベル)が実際の消費MPとなります。端数切
り捨て。ただし、発動に最低1ポイント必要。各種拡大縮小は、そ
の倍率を掛けてから最後にレベルで割ります。有利なんだか不利な
んだか。
うげー、面倒なことを。
レベルに応じてMPを増やして、必要MP固定しておいた方がいいんじゃね?
……そっか、この世界、レベルの概念がずれてるんだっけ。
スキルに対してのレベル記載はあったが、キャラクターそのものに対するレベルの記載が無かった。
……もしかして、この世界、そっち系か。うわー、本当にめんどくせえ。
なら、HP,MPの回復がきついのも分かる。
時間概念の管理が難しいのだ。
匙加減一つなんだから。
うん、これ以上、愚痴っても仕方がない。
このルールはしばらく触れないでおく。
おそらく、変えようとするととんでもないボーナスポイントを要求されるだろう。現実的じゃない。
マジックバッグの中身を探す。
ぼく、さすがにはだかで焚き火に当たって服が乾くのを待つのはやだよ?
「あんりきゅうーん、そろそろ脱げたかにゃー?」
「え、あ?ち、ちょっと、ま……」
「おおう、いいにゃー、ぐっどたいみんぐだよ。あたし、ぐっじょぶ」
「え?お、お姉様?振り返ってもいいんですか?」
「うん、理奈っちも容赦なく振り返るがいいよ!」
「じゃあ、振り返っちゃいますね……って、きゃっ☆」
考え事をしていたせいで、やっぱり駄目だった。
と言うか、理奈、君まで実はノリノリなんじゃないのかね?
かわいい悲鳴に喜色が混じってた。
そして、とっさに顔を覆ったその両手から、ばっちりと瞳が見えている。
というか、お姉ちゃんの最初のセリフが、やっぱりおかしい。
狙ってた。ばっちり。
唖然としている間に、状況は更に加速する。
ぼく、まだはだかなんですけど。
いや、はだかだからか。
「マスター、お呼びでしょうか?……ほう、弟君の裸ですね」
「うん、イリアも確認しておくがいいよ。これが、あんりきゅんの裸だからね」
「承知いたしました。……エルフらしい、華奢でマスター好みの体つきでございますね」
「そうなんにゃー、どストライクなんにゃ」
「ところで、さらに一人増えておりますが、そちらのお嬢さんは何者でございますか?」
「そっかあ、確かにイリアが帰ってから呼ばれたからにゃね。エクセリナって言う精霊らしいよん?」
「え、あ、私、エクセリナ=エレメンティアです。勇気の精霊……みたいです。アンリ兄さんに呼ばれてきました。イリア、さん?」
「ああ、私の名は、フォーイリア=ヴァルキュリアと言う。ソルフェリノ様の呼び出しに応じし精神の精霊だ。これから共に闘う時もやってくるだろう。……にしては、少々格好が面妖ではあるが」
「フォーイリアさん?」
「ああ、私のことはイリアで結構。フォーイリアでは、戦場では長いだろう?エクセリナ」
「分かりました、イリアさん。私のことも理奈とお呼びください」
「承知した。……ところで、理奈よ」
「なんです?」
「私の目には、そなたの格好が寝間着のように見えるのだが、それで戦えるのか?」
ち、ちょっと待って、はだかのぼくをおいてけぼりにして、精霊同士で話を盛り上げないで?
隣で、ソルお姉ちゃんも唖然としちゃってるし。
あれだな?イリアさんが理奈と話を広げるなんて夢にも思ってなかったって奴だな?
というか、なんでこのタイミングでイリアさん呼び出してるの?
というか、どうして理奈にも、イリアにも、ぼくのはだかを見せたがるの?
え?いいものは共有しないと?
いやいやいや、何言ってるの姉さん、
それでイリアが暴走しようとしてない?
理奈はフルチャージしたらしいけど、恰好はパジャマ姿のまま。
で、両手で顔を覆って持っていた枕は、あ、浮いてる。
彼女の横で、私、理奈のお伴ですからねっ!と言う感じでふよふよしている。
ず、随伴艦のセンサーの仮の姿かな……
うーん、精霊だから、それでいいのか?
「そうでした!も、もちろんこの姿で戦う訳ないよっ!」
というか、精霊なんだろ?
戦うとか、そう言うことじゃないだろ?
つーか、なんでイリアが焚き付けてんだ?
イリアだって戦闘できないだろ?こちとらステータス見えてんじゃ!
HP,MP共にないのは、精霊魔法の媒介しかしないってことだろ?
……って、こっち睨むんじゃねえよ、フォーイリアさん。
すみません。槍投げるのは勘弁して下さい。死ねますんで。
って、そうじゃないよ。睨まれてる場合じゃないよ。
精霊召喚って、そう言う用途じゃなかったのか?
<精霊召喚の用途について>
本来の用途は、砂漠で水乙女の魔法を使うためとかいった、媒介と
しての精霊力確保です。ええ、そうですよ?
ソルフェリノと戦乙女の場合の関係性は、その中の威力増強と言う
特殊カテゴリーと考えればよいでしょう。あくまで、これも一つの
形なのですね。
あ、あんりきゅんと理奈の関係性は勿論この範疇ではありません♪
<勇気の精霊について>
だって、ブレイブシューターですから。
彼女を媒介とする魔法はありません。
勇気とは他人から強要されるものではなく、自ら生み出す物ですか
ら。
まあ、彼女を使ってみたら、分かりますって。その良さが。
にやにや
立て続けに、ヘルプウィンドウが2つ現れた。
うん、知ってた。最初のは。でも、そこまで畳み掛ける必要あるのかな?
2つ目は……うん、いい加減にしてもいいと思うよ。
オンラインヘルプですよね?
<この機能について>
ヘルプですっ♪
自重しないと、ぼく、殺されると思うんですけど、どうしてこんなに攻めてるんですか?
<この機能について2>
私が殺されるわけではありませんので。
神が求めている物は、貴方の生死とは関係ありません。
だって、貴方、死んだ場合はリセットできるでしょうに。
ヘルプウィンドウと漫才をしていたら、状況が悪化した。
「ならば、見せてみるがいい。この私に、お前の真なる姿を!」
「おおう、それにはお姉ちゃんも興味津々だにゃ~」
売り言葉に買い言葉。
理奈がやらかした。
もうやだ。この状況。
「武装展開!来て!アールスフィア!」
あー、やっぱり、変身、この場合は換装?するんだ。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
次回、理奈大活躍!
変身します。戦闘します。お約束です。
次話投稿は、11/26(日)の夜にできたらいいなっ♪
※このお話は悪乗りしていますが、R18ではございません。