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エルフに転生した俺は今度こそ快適に暮らしたい  作者: 坂巻大樹
2週目の始まり―ソルフェリノとの出会いリテイク
4/54

第4話 お姉ちゃんと一緒に服が乾くのを待つ

遅くなりました。

結局、あれは無駄打ちだったということで。



 裏ソルフェリノ様の殺気に当てられて、

 盛大におもらしをしてしまった僕。

 錯乱の中、ソルフェリノのことをお姉ちゃんと呼んだら、姉になってしまった。

 弟は姉に守られるもの。

 これなら、僕はソルお姉ちゃんに殺されることはまずないだろう。

 成り行きとは言え、とんでも展開になってしまったが、僕の羞恥心と引き換えに安全が得られたのなら安いものだ。


 で、ソルお姉ちゃんにすべてを脱がされて、水の精霊(ウンディーネ)の力で装備品も僕の体もまっさらにされて、今はお姉ちゃんが貸してくれたマントを羽織り、装備一式が乾くのを待っているという次第でございます。


「アンリ君、本当にソルがお姉ちゃんでいいの?」


 一時の狂騒から、憑き物が落ちたかのように表情を落ち着かせてソルフェリノが聞いてきた。

 僕だって迷ったけどね。


「僕は、それがいいかなって思うよ」

「こんなちゃらんぽらんなハーフエルフだよ?君はエルフで」

「似たような種族だし、チェンジリングとかの範囲内だから成立するよね」


 この世界のルールではそうなっている。

 遺伝子の交配的な話と、隔世遺伝的な話だ。


「もちろん、そういう設定的な所は大丈夫なんだけどね?そもそも一度殺し合ってるよ?」

「元いた世界じゃ、兄弟が憎み合って殺し合う話なんてごまんとあるよ。それに、その話はもうリセットしたんだから、関係ないよ」


 さっき、迂闊だと言われ、ソルフェリノがソルお姉ちゃんとなった原因となった一言を発する。


「だから!」


 きっちりお姉ちゃんは反応した。

 びくっとしたけど、出す物もなかったので耐えた。


「うん、僕のこと叱ってくれたらいいよ。でも、僕とお姉ちゃんの2人きりだったらいいでしょ?」


 だって、これから二人でこの世界を変えていこうっていうんだ。ある程度情報の共有化って大事でしょ?


「むうー。確かにね、君のそういう話は先に聞いておいた方がいいっていうのも、今なら直感的に分かるよ」

「なら」

「でも、アンリ君。こういう話は、ソルと2人きりの時だけだよ。約束。破ったら、お仕置きだからね」

「……うん、分かった。分かってるよ。で、さっきの話の続き。僕って、駄目な奴でしょ?」

「……否定はしないよ」

「出来の悪い弟ほどかわいいって言葉、しらない?」

「それは知らないけどね。君が、『ソルお姉ちゃん』って言った時、どんがらがっしゃーんって、雷が落ちたよ。一発だったね。アンリ君……いや、違う!アンリきゅん、かわいすぎ」

「ありがとう?」

「ソルはね、その一言だけでよかったよ」

「僕はね、この世界での保護者がほしかったんだ。……でも、さっき、『ソルお姉ちゃん』って出てきたのは、……本当に、偶然だったんだけどね。でも、その時に、『そっか、ソルフェリノはお姉ちゃんなんだな』って、すとんと腑に落ちたんだよ」

「そっか、偶然かあ……あはは」

「うん、……漏らしちゃってよかったよ……あははは」

「「うん、黒歴史」」

「だね」「だにゃ」


 ともかくだな、もう、僕はソルお姉ちゃんには頭が上がらないんだ。

 上げた瞬間お仕置きされる。

 今度はおもらしどころじゃないと思うんだ。

 (自主規制)な事態になる。

 これ以上は、僕のプライドが……もう、充分に砕けているけれども。


「アンリ君、この世界での目的って考えてる?」

「まだ、考えついてないよ。だって、来たばっかりだし」

「いつ来たの?」

「ソルお姉ちゃんが僕に出会う数時間前かな?」

「じゃあ、その装備一式は?」


 どう言えばいいのかな?さすがにボーナスポイントで出したとも言えないし。

 そっか、その手でいっか。


「この世界に来る際に神様から貰った」


 あ、間違えた。本当は、北の遺跡で見つけたって言い訳しようと思ってたのに。

 でも、さっき、ソルフェリノと出会う数時間前にこの世界に来たって言っちゃってる段階で、この言い訳は使えなかった。失敗したよorz


「……うらやましいにゃー」

「いきなり、猫言葉?」

「にゃー、ですよ。そんないい装備、お願いしたら貰えるのかにゃー」

「だって、さすがに無一文の裸一丁でこの世界にやってきたら、すぐさまモンスターの餌食ですよね」

「たしかにそうにゃー。でも、うらやましいにゃー。ソルなんて、神様から君のことよろしくされただけなんだにゃ―。何も貰ってないにゃー!」


 あのですね、何も貰わなくても、十分に強いのではないかと愚考するのですが……。

 十分強いのに、何かそう言ったアイテム貰っても今更なのでは?


「ぶーぶー、ふぎゃー、ふぎゃー」


 ええーっと、こういう時は、少し目を潤ませて、上目遣いになるようにして、最後きらんとさせるようにっと。……んんっ、こ、こうかな?


「こ、興奮しないで?……ソルお姉ちゃんっ☆」

「うぐっ、お、お姉ちゃん、……やっぱ駄目……その言葉ソルにクリティカルヒット……まーわーるぅー」


 やったよ。これがいいんだね、ちみは。

 と言うことで、ソルフェリノがぴよってる隙に、こそっと検索。

 さっきのやり取りの中でこの辺りを検索したらヒットした北40kmの所にある古代遺跡、言い訳に使おうと思っていたけど忘れていたってんで、方針転換。何かよさげなアイテム眠ってそうかな?



<検索しました。ランダムアイテムボックス(銀)の存在を確認しました。レアリティー(中)のアイテムが1つランダムで手に入る宝箱となります。ボーナスポイントを5ポイント消費すると、任意のアイテムにドロップを変更することができます>



 こ・れ・は・い・い・も・の・だ。

 いいもの発見しちゃったよー。

 ソルお姉ちゃんがほしがっている物が出現するようにすれば万事おっけー。

 道中で、聞き込みしないとね。


「それでね、僕、まずはこの世界のことを知りたい。見て回りたいんだ。でも、その前にね」

「何かにゃ?」

「神様から、ソルお姉ちゃんにもささやかなプレゼントを用意しているみたいだよ?」

「え!どこ?どこ?」

「えっとね、ここから北の方にずっと行った所にちっちゃな古代遺跡があるらしいんだけど、そこで用意したみたいだよ」

「こっから北の方に、古代遺跡があるのかにゃ?」

「うん、神様から聞いたんだ。たぶん間違いないと思う」

「おおー、天啓!ナイスですよアンリきゅん。早速レッツ……」

「ま、まって!」

「と、止めるとはどういうことですかにゃ!」

「ごめん……僕の服、まだ乾いてない……」

「ご、ごめんにゃ」


 ともかく!まずは!僕の服と装備一式が乾いたら!

 北の遺跡に向かって出発だよっ☆



<ソルフェリノがお姉ちゃんとして登録されました>


<ソルフェリノとの絆を構築しました。ボーナスポイントを2点獲得しました。ただし、このポイントはソルフェリノとの絆が崩壊した場合没収されます>


<ソルフェリノのステータス情報が確認可能となりました>


 ボーナスポイント:48→50



 ヲイ、あの時鑑定したのは間違いだったってことかい!




ここまでお読みくださり、ありがとうございます。


次話投稿は……いつにしますかね。

ひとまず11/12(日)の夜辺りを仮予定とさせてください。

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