一章六節 決着と出現
黒が立って居た周囲の草木が一斉に燃えて、炭となっていた。
「アイツの体から出てる黒色のモヤモヤ、何でちか?」
マフラーを巻き直しながら、理事長に尋ねた。
「姉さん、気になるなら。リーラを助ければ良いだじゃん」
長身のマスク男は小学生並の背を姉を後ろから持ち上げた。
「ぎぃちゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?下ろせ!下ろせぇ!」
持ち上げられた状態で両手両足をバタバタさせた。まるで、駄々をこねる子供のように。
「分かったから、姉さんも落ち着いてよ。万が一リーダ倒されることになった時のために僕達を呼んだんでしょ?」
マスク男は姉を下ろしなから理事長に問い詰めた。
「似たようなもんだよ」
理事長はそう言いながら笑って見せた。だが、その場に居合わせた者達は、理事長の言葉の意味を理解した。
リーラが身に付けたドライバが光輝いた。
「これが、ドライバの力、全身に魔力がみなぎる‥‥これなら戦える!」
両手を覆っているドライバに魔力を流しリーラは黒に目をやった。
だが、その場には黒は居らず、その場は黒く焦げていた。
次の瞬間リーラの体が校舎上空に吹き飛んでいた。
「えっ‥‥」
リーラの全身は何かに引っ張られるように、中庭の地面に叩きつけられた。中庭の周りを囲むように居た生徒達は、学院の教師達が作り出した魔力結界で守られていた、学院の生徒達が学院から避難し始めてるのを見ると教師が生徒に被害がでると思い避難させたのだろう。
「なら、遠慮なく校舎をぶっ壊してやるかな!」
「闇魔法【ブラッド・ポーン】」
黒は全身に流れる魔力を右手に集めると、黒色の球体を作り出してリーラに向け投げた
リーラが体勢を立て直そうとした瞬間、リーラの目の前で大爆発が起きた。
「うわっ!こんなに大規模な闇魔法初めてみたて言うか外れてることから。精度は低いのかな?」
目線の先には全身から赤黒い雷を出した黒がいた。
「さぁ~て、観客も居なくなったんだ。存分とやり合おうぜ!」
雷を落としながら、リーラを追い詰めた。
「逃げ場を無くした所を狙う戦法かな?。当たらなければどうってこともない!」
リーラが黒の懐に入ると鳩尾を狙った一撃が黒を襲う。そして、瞬時に右足に魔力を込め蹴りを顔面に叩きつけた。
だが、その攻撃の全てを黒は受け止めた。
「その速度じゃ、俺には当たんないぞ」
右足を掴み校舎に放り投げ先ほどと同じ、闇魔法を放った。校舎の壁を砕き廊下を吹きとばしながら、リーラを爆風が襲う。
「逃げるだけじゃ、勝てないぞ」
リーラに向けて闇魔法を放ちながら、呆れた様に言った。
「この状況だったら誰でも逃げるでしょ‥‥」
壊れていく三階から一階に飛び降り。大人一人分のデカさの岩を黒目掛けて投げた。
「うゎふっ!『我王の腕』の力使えばそんな事も出来るのかよ」
岩をすんでの所で避けているうちに、リーラを見逃してしまった。
周りを瓦礫や半壊した校舎が建ち並んでいて、見つけたとしても直ぐに、逃げられるに違いないと黒は考えていた。
(一個一個瓦礫を壊してたら時間が掛かる。ましてや壊してる最中攻撃されかねん。してやられたな、あの女適当に投げてると思いきや考えてやがるな。ドライバが無い今どうする?‥‥んっ?‥‥ドライバ取り返したら良いだろ!)
レイピア持ちを探そうとした瞬間、右側から真っ赤な腕が黒の顔を殴りつけた。
とっさに腕でガードしたがドライバを纏った一撃は骨が砕ける音がハッキリと分かる程の威力だった。そのまま体育館の方に吹き飛ばされ、校舎やアスファルトを巻き込みながら体育館の壁を突き抜けた所で仰向けに倒れた。
「あぁ~ちくしょ‥‥痛すぎだろ、もう少し手加減してくれよ‥」
全身をアスファルトや校舎に叩きつけた体を起こそうとしたが動かない。いや、動かしたくても動かない思ってた以上に体にダメージがあったようだ。
「あなたのことだから、てっきりドライバを持っていると思っていたんですけど持って無かったのですか?」
「いや、持ってるけど落としちゃんたんだよ」
リーラは一つで国を亡ぼす程の力を持ってるドライバを無くした、ことを聞いた瞬間ため息を出しながら冷たい目を向けた。
(この人ホントに『グラ・パイロス』の団長倒した人なの?」
眼鏡を直しながら考えていると。リーラの足下に突如巨大な木の人形が出てきた。
「木魔法【魂霊樹木】!」
全身を草木で覆られている、巨大な木の人形がリーラを叩き潰そうと、腕を振り降ろした。
「的がデカくなっただけじゃないですか!」
木の人形に向かって跳ぼうとしたが、ツルが脚に巻きつき床に放り投げた、すんでの所で受け身をとった。
「なかなかやるな。だが、これで終わりだ」
両手から赤黒い雷が徐々に形を変え、槍の形になると振りかぶり、リーラに向けて槍の一本を投げた。風を切りリーラの頬を掠め、体育館の鉄骨を貫きながら消えた。
「確かに、あんな物見せられたら、戦う気が無くなりますよね‥‥」
「なら、降参したらどうだ?」
右手に持つ槍を回しながら聞いたら。
「遠慮します!たかだか、槍の一本で降参するなんて出来ませんねで!それに‥‥バリッスの分返せてませんから!」
リーラドライバに魔力を集中させると、左手のドライバが解除され、右手に両手分の魔力が流れ徐々に大きくなった。
「これで、決めるんかよ、なら乗ってやるよ‥‥そのドライバごとぶち抜いてやる!」
槍の先端部分に赤黒い雷が集まり出して、一層鋭さをまっした槍を構えた。
「体が動かなくなっても知りませんよ?」
リーラ眼鏡を直し蒸気と共に肥大化したドライバを構え、黒の懐に向けて走りだした。
黒が投げた槍を粉々にしながらリーラは黒の懐に入ると、天井に向けて叩きつけた。
星零学院を目指して町を通り抜けながら車を走らせていると、目的地である星零学院が何故か、半壊で生徒達が校門付近で集まって、何かを見て騒いでいた。
「あなた達、何をしているのですか?先生この騒ぎは何ですか?」
サラサラのロングヘアの女子生徒が校門付近に居た先生に聞いた。
「生徒会長、帰ったのですか‥‥今現在侵入者が騎士団候補生のバリッスと警備部隊『パレーシャ』が侵入者にやられて、現在騎士団候補生のリーラさんが、ドライバを使い交戦中です。」
「なるほど、分かりました。理事長先生は?」
白色のジュラルミンケースを持ちながら、理事長の前まで来ると、ジュラルミンケースを理事長に向けて投げ飛ばした。理事長はジュラルミンケースを避けて後ろに居たマフラー女子に当たった
「目的のためとはいえ、生徒を犠牲にするのは余り感心しません。」
むぅと、頬を膨らましながら言った。
「ごめんね、お兄さんを利用しちゃって『橘 碧ちゃん』
理事長がそんな事を言ってると。体育館で一際デカイ音したと思ったら、リーラを抱っこしながら黒が飛んできた。
「正直やばかったわ、この子魔力量多くないか?」
リーラをそっと下ろすと、理事長に赤色のドライバを投げた。
「それで‥‥この現状をどうするんですか?兄様?」
顔が笑って無い妹を見ながら黒は絶句した。
て言うか理事長が悪いよねっと思いながら仕方ないと反省していると。
「まぁ、仕方ないですから‥15%の力で許しときますね」
そう言うと、懐のホルスターから銃身型神器【ジャッジメント・アソーテ】
をモデルに形をコルト・パイソンをモデルに作り出した銀色の拳銃型ドライバ『断罪の銃身』を取りだし黒に向けようとした時。
次の瞬間、第二校舎側から大爆発と共に大型の『異形』【ヘカトンケイル】が現れた。
「まさか、ホントに学院側に‥‥裏切り者が居るとわねぇ」
理事長が【ヘカトンケイル】を睨見ながら、てに持っていた杖を握る力を強くした。