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難攻不落の黒竜帝  作者: 遊木昌
二章 理想世界
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二章八節 作戦は伝わりにくい

「さて、どうするかな」

正面の鉄格子以外は石で覆われ、縦長の牢屋にローブの男は縛られず放り込まれていた。

いつもなら、塵魔法を使って辺りを吹き飛ばして出ていくのも可能なのだが、今の彼にはそれが出来なかった。

「気分はどうだ?」

「良いわけあるかよ、さっさと出せ」

退屈なのか、ナイフ弄りながら黒を睨んでいた。


「まあ、そう言うなよ……綾見晃彦(あやみてるひこ)君」

晃彦が向けていた殺気がより一層激しさを増したのを黒は気付いたが、聞いた話より事態は悪化していた。


「バレてかー……死ねッ!」

黒に向け投げたナイフは鉄格子の間をすり抜けるかと思いきや、鉄格子を抜けた瞬間、黒炭のように崩れた。

「残念、結界があるから魔法すら無意味だぞ」

黒の発言にに綾見は苛立ちを覚えた。

「なら、結界が壊れる程の魔法ならどうだ!」

塵を牢屋内全体に満ち溢れた塵を見つめていると、牢屋に異変が起きた。

「まさか!」

黒の予感は的中した。

牢屋に内には、綾見の姿が無く塵が充満しているただけであった、急いで結界を解き中に入り確認するも綾見の姿は無かった。


「そうやって、自分で確かめないとね」

黒の後ろには、牢屋外に出た綾見の姿があった。

「……ハメラレタ……」

「黒さんは、もう少し相手を警戒しましょうね」

綾見はそう言い残すと、塵のように消えていった。

その後、綾見を逃がした事をロークや碧に責められ、心のHPが削られていった。


元農村の人達の間では、白ローブ達に襲撃する者と故郷を捨て逃げる者で対立が起きていた。

「俺達の故郷を捨てて、逃げるのかッ!」

「子供達をこんな危険な場所にいつまでも置いて置けない。故郷何かより子供の方が大事だ!」

意見は割れ、既に黒達の耳を貸す者はいなくなった。

「オッサン達、今は争ってる場合じゃねえ。今この時間もローブ奴らが来るかも知れないのに争ってんじゃねえよ!」

ロークは木製の机を叩き壊し、争っていた人達を黙らした。


ロークの言いたい事は分かるが、黒は言い争いをしていた人達の肩を持つように、ロークの正面に立った。

「ローク。気持ち分かるが、コイツらのしたいようにさせればいい逃げるにせよ、大人数で敵の目の前歩くんだ逃げれる訳ない。戦うなんてもっと無理な判断だ、魔法も使えないドライバも無い。まさか、農具で戦おうとはしないよな?」

戦うと意気込んでいた大人の数人が農具を隠し黙りこんだ。

「言い争いたいなら言い争えばいい。でもな、そんな事してても現状を打破出来ないからな」


ロークは拳を握りしめ、下を向いたままでいた。

「期待はしてないが、こん中で魔法が使える奴いるか?」

黒が血燐を鞘から抜き辺りを見回すと、皆ロークとキークを見ていた。

「何だ、居たんじゃねぇか。これなら何とかなるだろ」

黒は自然と頬が上がり、鋭い犬歯が見えた。


何とかなるだろなるだろと、威勢良く吠えたが黒には現状の打開案を実行するための力は無かった。

そのため、ある人物を探し歩いていた。

「おッ。見っけ」

黒が探していたのは、子供達と一緒に遊んでいたヘレナであった。

ヘレナは子供達と別れ黒の待っていると言っていた路地を進むと、積み重なった瓦礫の上に黒は待ち構えていた。

ヘレナは黒に近づき、片膝を突つき顔を挙げずにいた。

「悪いな。いつも損な役回りで……」

ヘレナは知っていた。

どんな時でも、自分で抱え込んで勝手に解決しようとする人を。

「構いません。どんな状況下でも、お役立てるなら本望です……皆そう考えています」

黒は空いっぱいに広がる星空を眺めながら、ヘレナに向き直り命令を下した。



後日明朝にロークやステラが呼ばれ、今後について話し合いの場が設けられた。

「兄さん、いったいどうする気なのですか?」

碧が心配そうに尋ねると、碧の頭に手を乗せ笑みを浮かべ心配するなと答え、碧と共にローク達の待つ部屋に向かった。

黒がロークや殺女にステラの魔物(ギフト)について説明をした。

「ステラちゃんの事はわかったは、秘密の1つや2つ誰にでもあものよ」

「驚きはしないな。現に化け物見たいな奴が俺の前にゴロゴロしてんだからな。っても、ステラの姉ちゃんがその『アイシクル』だっけ?そいつの力で何が出来るんだ」

ローク同様に碧達も疑問に思っていた。

「そんな事か、簡単だよ。ステラの魔物の能力は氷を操作するんじゃなくて、氷()()()()()()()何だよ」

黒はどや顔で説明するが、ステラ本人も理解していなかった。

「えーと……つまり、ヘレナが先に敵の本拠地に潜入してるから俺達はその後を着いて行く見ないな作戦だよ」

「なら、ステラの姉ちゃんの力とどう関係あるんだよ」

ロークが机で頬杖を突きながら黒に意見すると、殺女も黒に意見してきた。

「ステラちゃんが危険を起こさなくても、ヘレナさんが扉のカギを開けて入れてくれれば簡単で安全では?」

殺女の意見に黒は、首を振った。

「この作戦の要は、潜入したヘレナにどれだけ早くステラを接触させるかだ」


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