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難攻不落の黒竜帝  作者: 遊木昌
一章 漆黒の楔編
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一章二十五節 糸と学院

異形種の進行を観測して、既に一ヶ月が過ぎていた。

未だ邪馬国に進軍して来ない異形種の行動に何か糸が有るのではと、現在評議会で議論されている。





「リーラ。ちょっと、リーラ!起きてよー学校に遅刻するよ!」

ルームメートがリーラを起こすため体を揺さぶるので堪らずリーラが起きたが、髪は寝癖でいっぱいであった。


「愛ちゃん!何でもっと早く起こしてくれなかったの~!」

王立星零学院の制服を着たリーラは寝癖が大量な髪をとかしながらルームメートと共に走っていた。

「起こしたよ~でも、リーラちゃんが起きないからだよ~!

愛ちゃんこと、胤空愛莉(つぐそらあいり)はリーラのルームメートであり学校では、同じクラスの友達。

チャームポイントのツインテールで子供と見られやすいが、実力は次期「禁忌の聖騎士(ネオパラディン)団長」と言われる程である最近まで、長期任務で獣人の国に行っていた経験等により現聖騎士(パラディン)第一席ハートの騎士団に入る事が決まっている。


愛莉が腕時計を確認しながら町の水路や裏路地を通り抜け、星零学院の校舎が見えてきた。

「後もう少しだよ、リーラちゃん!」

愛莉がリーラの手を取り校門のゲートを潜り向けた。

「ギリギリセーフだよ!リーラちゃん」

「そうだね、愛莉ちゃん」

愛莉の言葉に反応しつつ、呼吸を整えていると、校舎から男が二人に向け走って来た。

愛莉は、男がリーラに危害を加えると思い透かさずリーラの前に出ると、足を一歩前に出し姿勢を低くしたまま構え下段から男の顔目掛けて正拳突きを叩き込み体勢が崩れた透きを突き上段回し蹴りを叩き込むと、男の首がへし折れた。

「愛莉ちゃんー!な……な……なにしてんのー!人殺しちゃったよ!どうすんの?どうしよう!」

取り乱すリーラのと違って愛莉は冷静に事に当たった。

「証拠隠滅」

校門近くの花壇に男の死体を隠そうと持ち上げると、死体がへし折れた筈の首を掴み元の首の位置に戻したのだ。

「コレは、人形!?」

人形の両手両足からは、日に照らされて光輝く糸が見えていた。

操者は糸を通じて人形を動かすのだが、愛莉は人形に驚いたのでは無く、糸を操る操者に、驚いていた。

この世界には、多種多様な魔法が存在する。

未だに発見や解明されていない魔法も数多く有るが、その中でも。

糸魔法(シャーガ)】は相当な大魔導師ですら、扱いが難しく。

現在では、星零学院の学長ともう一人が扱える筈だったが、愛莉の前に糸魔法で動く人形が存在していた。

糸魔法が高度なのには理由があった。

高密度な魔力を糸状に伸ばしつつ強度を上げ。

バランスを取りながら巧みに扱うのが、糸魔法である。

当然初心者や魔力に長けたものでも、強度と密度を保ったまま全身でバランスを取る魔法など使えるものはいなかった。

愛莉とリーラが人形を前に固まっていると、校舎から一人の男子生徒がリーラ達に向かってきた。


「君が、リーラ・ファルナデスさんかな?」

生徒は、リーラではなく横にいた愛莉の手を取り深々とお辞儀をする。

「リーラはあっち、私は愛莉って言うの胤空愛莉覚えなくて良いから」

素っ気ない態度をとると。

生徒は、リーラをじろじろ見ると、ため息を溢し愛莉の方に向き帰り、腹を抱えて笑った。


「こんな、いかにも弱そうな子が……あのリーラ・ファルナデス?冗談は止してくれ!」

生徒の笑い声を聞き付けたのか、多くの生徒が窓から見下ろしたり、校門まで降りてきた子までいた。

生徒は、リーラを睨むと。

「俺の人形が君達に近づいた時、胤空ちゃんは敵意を察知して直ぐに警戒したのに。君は、胤空ちゃんに守って貰ってると思ったのかな?………騎士は人を守る存在なのに。騎士ですらない奴が古代兵器(神器)に選ばれるなんて可笑しいよ」

愛莉がその先の言葉を遮る前に、リーラに聞こえてしまった。


「君、騎士に向いてないよね?」


リーラの瞳から、涙が溢れた。


その瞬間、学院の空が一気に黒色に染まり。

真っ赤な三日月が、学院の上空で輝いていた。


「な……なんだよ……コレ」

「朝なのに、真っ暗って」

「異形種の仕業じゃないよな……」

校舎の中にいた生徒のざわめきが徐々に増えるが一段と、はっきり聞こえたのは。


碧が、兄に向け叫ぶ声だった。


「兄様!」

碧の声を聞いた生徒達は、声の方を向くと。

全身から、黒雷と赤黒い楔を纏った黒だった。


「今、誰の見習い騎士が騎士に向いてないって?あぁ?」

「あー!?もうっ!」

黒幻をを持つ腕から黒雷が発生しているが、それよりも。

黒の全身から立ち込めていた、魔力は闇その物であった。


「さぁ、人をバカにし過ぎたガキには、お仕置きだってね」

呆れた碧は、額に手を当て現実から目を背けていた。



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