一章二十一節 森の奥地
黒達を乗せたジェット機が徐々に高度を下げ『シャルデーナ皇国』に近づいてきた。
ジェット機がシャルデーナ空港に着陸すると、白色の服装に身を包んだ兵士が黒達を出迎えるため横1列に並んでいた。
「なんか、いっぱいいるわねぇ~胸がドキドキしてきちゃう」
ミッシェルが胸を押さえ身悶えしていると。
「ミッシェル、ドキドキするのは結構だが。気を付けろよあまり歓迎されてねえ」
窓の向こうでは、何人かの表情が険しく黒達のジェット機を睨んでいた。
ジェット機から黒達が降りると、兵士達を掻き分けながら金髪の男が黒の前に立ち塞がると黒を見下ろしながら自分の腕時計に目を向け。
「予定よりいささか遅いご到着で」
黒達の目の前を行ったり来たりしながら文句を言う。
「こちらでも色々合ったんでな……遅れたのは申し訳ない」
黒が一歩踏み出そうとした瞬間、横から剣で斬りかかって来たポニーテールの女性が持っていた剣の剣先を碧が掴み、腰のホルスターから抜き取った『デザートイーグル』を女性の額に押し当てた。
「碧、その銃使うと肩を壊すぞ」
「ご心配なく、強化魔法で補えば肩を壊す心配は無いですから」
少しの隙を突き女性が碧の腕を蹴り上げ、再度黒に斬りかかろうとした瞬間。
「……止まれ……」
金髪の放った言葉に従い、女性は剣をおろした。
「これまでの無礼誠に申し訳ない『禁忌の聖騎士』の実力を知りたくてね。まさか、妹さんが出てくるとは思いませんでしたよ。あっ!申し遅れました、『金騎士』の『グレラレン・アブバレン』と言います以後お見知り置きを」
金髪の男グレラレンが黒に近付くと耳元で囁いた。
「余り、調子に乗んなよ……上官殺しが……」
そのまま黒の横を通り過ぎ、ミッシェルや千夏に握手や挨拶を交わすグレラレンに黒は。
滲み出る殺気を抑えれずにいた。
その後黒達は、聖獣連盟シャルデーナ支部で任務の詳しい状況を聞くため、支部長室に向かって居たところ、空港で合ったばかりのグレラレンとその部下が集まって居た。
「皆様には、グレラレン君の部隊と一緒に古代兵器の確保に向かって貰いたい」
支部長からの提案を受け、黒達は古代兵器を見かけたと言う森の奥地に足を踏み入れた。
奥地に近付くと肌に感じる魔力は殺気を感じる程の物だった。
肌に纏わり付く魔力は徐々に濃度は増していき遂には倒れ、そのまま帰らぬ者が出てきた。
「ぐっ……諦めるな!まだ……古代兵器を見つけていないのだぞ!」
グレラレンは部下を鼓舞させようと声をあげるが、グレラレン自身も相当無理をしているとが分かると、黒はグレラレンに手を差し出すと。
「すまない……助かった」
「お前ら邪魔だ…帰りな」
グレラレンが黒の差し出した手を掴んだまま固まり口上手く動かないのかなぜ?と出そうとする前に。
「この先もっと濃度が濃くなるし、致死性の猛毒が出るかも知れない。その中で仲間の足を引っ張り続け尚且つ、自分の身さえ守れない無能を連れていく気にはなれない」
「なっ!君たちは私達、現地団の案内無く古代兵器に近付けるのかね!」
グレラレンが怒りを露して、黒に掴み掛かるが。
「それは、お前らが古代兵器にとって取るに足らない存在だからだよ、言わば脅威にすらなっていない。だが、現状を見ろ殺気を込めた魔力、お前らの時は出ていなかったろ?相手から見ればお前らより俺達の方が脅威何だよ」
グレラレンは愕然として話を聞いているが、精神的に来たのだろう。
だが、目線はリーラを見つめていた。
グレラレンは、誰よりも鍛練を繰り返し誰よりも異形と戦って来た、それを評価され金騎士の証を手に入れ、より金騎士の名に恥じぬ様に頑張って来た。
だが、聖騎士の黒には劣っていても仕方ない。
だが、金騎士としての日が浅いリーラにすら劣っていた事が彼の精神を追い詰めた。
(何で……俺よりも後に金騎士に昇格した小娘に俺が劣っているんだ…何でだ?…何で…)
思考を回転させ考えていたが、遂には倒れてしまった。
「じゃあ、行くか」
黒の後を付いていくのは、シャルデーナ支部の部隊ではなく、碧達だけであった。




