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難攻不落の黒竜帝  作者: 遊木昌
一章 漆黒の楔編
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一章 十九節 変化

黒は目の前に積み重なっている書類を見上げていた。

デスクの右端には多数のハンコが入った箱が置いてありその中にある“確認”のハンコを持ち黙々と、書類に印を押し続けていた。

「隊長どうしたのかな?書類を進んで片付けるなんて」

「碧さんに何か言われたんじゃないかな?……」

「言われただけじゃ……あんなにやらないよ私達の隊長」

両手に書類を抱えた女隊員達が黒に聞こえないように部屋の前で輪になって考えていた。

「皆さん、部屋の前でどうなさったのですか?」

女隊員達の話を遮るように話しかけると、女隊員は一斉に碧に敬礼すると纏めた資料を持って資料室に走って行った。

「化け物~みたいに逃げなくても……」

半開きになっていた部屋を押し開けると。

黒のデスクの上にあった書類が次々減り遂に、デスクに有った紙の山は綺麗に無くなっていた。

ハンコを箱にしまうと、黒は大きな溜め息と一緒に全身に流していた魔力を解いた。

「お疲れ様です、兄様がこんなに早く書類整理をすると私の立場も危ういですかね」

「冗談もいい加減にしとけ……そっちは首尾良く出来たか?」

碧が手元のファイルから一枚の紙を見せながら黒に冗談を溢す。箱から別のハンコを出すと。

“拒否”と紙に大きく印をすると。

椅子に掛かっていたロングパーカーを羽織ると、碧に後を任せ一人、大和支部を後にした。



リーラは困惑していた。

毎朝欠かさずやって来たランニングに出ようとしたが、自分の住む寮の前に、世界評議会のそれも、諜報機関の者だと直ぐに分かった。

(何かしたっけ?……諜報機関が動くことしたっけまさか噂のドライブ盗難の疑い?)

自室の窓側から見ただけで門の前に二人。

正面の建物に三人。

電柱に一人と完全に囲まれていた。

無論リーラは評議会に捕まることはしていないが、状況が状況で困惑していた。



「糞!もう来たのか!」

「兄貴早くしましょう!外に諜報の奴ら嗅ぎ回ってます!早くに逃げないと警察が動きやす」

兄貴と呼ばれた男は、違法に造った簡易ドライバや盗んだドライバのコアだった魔石がバック一杯に入っていた。

子分の男はバックを肩から掛け机に置いてあった、モデル【バレッタBM59】簡易ドライバを手に持ち正面から出ようと隠れておた部屋から出たが、そこでリーラにあってしまった。


子分は反射的にリーラに向け発砲するがリーラは身を屈め瞬時に子分の間合いに入り鳩尾に拳を叩き込み、ドライバ諸とも顔面に飛び膝蹴りでドライバを砕いた。

砕けたドライバを捨て腰から刀型のドライバを出すな否や子分の右肩を蹴り砕き反動で浮いた子分の体数ヵ所は打撲や骨折で意識が無くなっていた。

咄嗟に兄貴がリーラに掴み掛かるが、その場で後ろ回し蹴りで兄貴の頭を蹴ると意識を無くし突撃してきた、警察に病院まで搬送された。



リーラが聖零学院に着くと後輩や同級生からサインや握手を求められ、クラスに入ると拍手喝采が聞こえてきた。先生やクラスメイトはリーラに質問の嵐。授業中ですら、『金騎士アソーバ』に成った経緯を聞かれたが殆どの事は評議会や連盟から他言無用と念を押されている。


「ごめん……言えないからごめんね」

透かさず人混みを分けて逃げる。

食堂に上がる階段の横に身を隠すと、誰にも気づかれてないと上級生の三人程が食堂に来たが、そこで信じられない話をしていた。

「金騎士になった二年知ってる?リーラって子生徒会長と理事長のコネで金騎士なったて噂だよ」

「マジかよ、まっそうじゃなかったら、なれる筈ないな」

「たまたまドライバ適性検査で生徒会長と同じ適正値がでただけでしょ?」

「コネでなったから経緯話してって言っても話さないとか嘘つきじゃんあんなのが理事長の弟子とか、私だったら師匠になれるかも」

上級生の陰口を気にしないようにしていたが。

リーラの心を日に日に傷付け続ける。そんなある日、生徒会長が全校生徒を体育館に集めた。


「本日付けでリーラさんと私は聖獣連盟の長期任務のため学院を空けますが各自、騎士候補生の自覚を持った行動を慎むように」

生徒会長の言葉は数分で終わり解散になるはぶだったが。一人の言葉がそれをさせなかった。

「生徒会長答えてください、リーラ金騎士様は生徒会長や理事長のコネでなっただけですよの?」

生徒達の不満が募り便乗するように声を挙げるものが増えていった、答えろ!と声が殺気だって行くのを感じた。生徒会長に突き付けられた言葉がエスカレートしていくと。

「調律魔法【鎮魂の響き(ルーテルアーテン)】」

碧が発した魔法は、会場全体に氷を張り巡らせ、生徒達の動きを止めた。

「不満が有るのは結構ですが、リーラさんが金騎士にコネだけでなれるとでも?」

碧が冷たい目で辺りを見回すと生徒全員の顔が恐怖で固まっている。自らの魔法を解くため指を鳴らすと、辺りを覆っていた氷は溶け水蒸気に成っていた。殺伐とした雰囲気が水蒸気と成って消えたかのようにリーラは感じていた。



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