一章十三節 黒と竜
目を覚ますとそこは、目映い輝きを放つ扉があった。
「慣れたと思ったんだけどな、眩しいや」
手慣れた手つきで扉の前にある円形の石板を動かすと、目映い光りと共に扉が空いた
「さて、今回は何て言われるかな」
扉の先には、巨人が二人位入れる広い空間があった、天井が見えないほど高く壁全てを本で埋め尽くしていた。
「また、酷くやられたな」
太い声の方を向くと、全身を黒色の鱗に覆われ爪は鋭く首には十五個の白色の楔が刺さっていた。
翼を広げただけで威圧感をだしながら青色の眼をした黒竜は黒を空から見下ろしていた。
「下りてこいよ黒竜!てか、風圧で吹き飛ぶわ!」
黒竜がため息を吐きながら黒の前に下り立った。
「ここに居る意味分かったるよな?」
黒竜が太い声で尋ねると、わからないと言う顔で首を横に振った。
「今しがた、親父さんから連絡が来てな邪馬国を中心に異形出現コレは知ってんだろ、そのあと王都にいた王の関係者その場にいた数名を捕縛立て籠ってるんだってよ」
「なら、行かねぇと!」
黒が急いで出ていこうとすると、長い尻尾を叩きつけ黒の道を防いだ。
「黒竜何しやがる!俺の邪魔するなよ!」
黒竜を睨むと。
「バカかてめぇ!ついさっき壁にめり込まれた雑魚が、行った所で何も変わらないだろが!」
事実を突け付けられ言い返せない間々その場に座り込んだ。
「なら、どうすんだよ」
黒が黒竜を見上げると、黒竜は首に刺さっていた楔を指差した。
「まさか!」
「話を最後まで聞かねぇバカは何処だ?」
二人の笑い声は本で埋め尽くされた空間に響いた。
木々を掻き分けながら鹿に股がった緋音が王都に付くとそこには、多種多様な異形が暴れていた、周りには避難してきた人達で一杯だった。
「お父様は?お父様は!」
姫と言いながら、白髪の執事が緋音の前で泣き崩れた。
「爺や皆無事なようだな」
周りにいた召し使いを見回すと安心すると、一人の召し使いが、王と王妃の護衛数名称号保持者の数名が中に居ると伝えると、鹿に颯爽と飛び乗り王都に向けて、走り出した。
貴族街の下の平民街に入るとそこには、多数の異形種が倒された後と街と街を繋ぐ門が粉々に吹き飛ぶされていた。
貴族街を真っ直ぐ進むと大きな噴水広場に差し掛かると異形種が行きなり緋音に向け飛びかかってきた。
右足を軸にその場で時計回りに回り左足に魔力を流した一撃を異形の首筋に叩き込み方向を変え異形を踏み台に左右から来た新手を袖口から出した短刀で斬り倒した。
噴水の近くから新たな異形が向かってくるのが見えると高速魔法で近づき右手から炎の剣をだした。
「炎魔法【焔紅の剣撃】」
右手の剣がより一層はげしく燃え、異形を燃やしその場にいた異形種を斬り裂いた。
噴水と広場中央に置いてあった王の銅像事斬ってしまったこのに気づくと緋音は心の中で(お父様ゴメンなさい)謝った。
貴族街の高級料理店が並んでいた所には、ヘカトンケイルが徘徊していた。
「ヘカトンケイルが邪魔だわ、何とかしないと」
すると、緋音の後ろの建物が崩れたと思ったらヘカトンケイルが突如として吹き飛ぶとそのままバラバラになった。
「調律魔法【超重力隕石】」
上空から行きなり隕石並みの物が降ってきたと思ったら、緋音の手を取り走り出した。
「ちょっと!あなた何するのよ!」
緋音が手を繋いだまま走るリーラを思いっきり振りほどくと。
「あなたこそ何をしてるのですか!速く避難をここは私に任せて速く逃げて下さい!」
リーラと緋音が口論してると、二人の背後から中型異形種が襲いかかろうとしたがリーラが反応する前に緋音の炎剣が貫いた。
「あなた何者何ですか?」
リーラが緋音に尋ねると、フンッと胸を張ると。
「炎剣……まさか!『卑弥呼』の邪馬国緋音さんですか!」
リーラがびっくりすると、鼻を高くしながら照れてると、小型異形種が二人を囲むと緋音の炎剣が異形の足下から出て来て異形を貫いた。
緋音はリーラを連れて裏路地に入り込んでバーの扉を蹴破り中に入り現在の状況を説明した。
「そんな……事が起きてるなんて」
リーラが俯くと緋音はリーラの肩に手を置くと。
「これを気に称号保持者になれるかもしれないからそこまで捨てたもんでもないでしょ」
リーラを慰めると、緋音のポケットの携帯が鳴り出すと緋音は電話に出ると、碧から連絡が来た。
「碧さん!何で私の携帯の番号知ってるんですか?」
緋音が困惑した感じで聞くと。
「ハッキング」
すんなり出てきた言葉に驚いていると、碧が緋音に忠告をした。
「兄様が本気を出したので、逃げるか隠れる事を提案します。くれぐれも気をつけて下さいそれと、避難されてきた方々はこちらにお任せください」
緋音は電話を切るとリーラと一緒に王都に向け走り出した。
「黒竜、辺り一帯吹き飛ばすぞ」
『おいおい!ここは王都だぞ、吹き飛ばすと王様とか救出出来んぞ』
「あっ……忘れてた」『しっかりしてくれ……』
「なら、」『派手におっ始めるか!』
黒の両手の赤黒い靄と雷が一体になると黒の腕が赤黒い鱗に包まれた腕に変わった。




