一章十節 リーラの覚悟と突破
次々と倒され、灰になって崩れるヘカトンケイル。
辺り一面に広がる火の海は、リーラにとって、これ程までもない無力感を植え付けるのには、充分であった。
「無力何ですね、私って……」
下を向いたままドライバを見つめていた。
理事長はこの事を見据えていたのかもしれない。
本来ならば、称号持ちや騎士団といった、聖獣連盟直属の部隊が出るべき所に学生が出て来て良いはずが無かったのだ。
自ら決めてここに立っていた筈なのに、何故か……この場に立ってる事が恥ずかしくなってきた、称号持ちですらないのにましてや、騎士団にも入っていない未熟者である自分が恥ずかしくて仕方が無かった。
リーラが立ち去ろと、学院方面の道を歩こうとした時、碧が前に立ち塞がった。
「生徒会長……退いてください、今の私はここにいるべき人ではないんです…ですから」
言葉を遮るように、碧がリーラの歩み寄った。
「そう、悲観的にならなくても良いじゃない、貴女はここにいるべき人ではない?だったら何でここに来よう何て思ったの?最前線のど真ん中のこんなところに、貴女が来た意味!思い出して!称号持ちだとか、騎士団とか関係無いのよ!だって……貴女は自然と体が動いたんだから」
リーラは、その言葉を聞いた瞬間、ドライバを起動すると、戦場に向けて、走り出した。
「さっきよりも、増えてねぇか?」
黒が王都に向かうと、先ほどよりもヘカトンケイルや他の異形種が増えていた。
ヘカトンケイルを次々倒しながら王都にすすんでいると、頭上からヘカトンケイルが降ってきた。
「ッうわ!危ねぇだろ!」
降ってきたヘカトンケイルの後ろから出てきた人影に向けて、怒りをあらわにした。
「んも~、連れないわね~昔は大抵こうだったじゃないのよッ!」
ミッシェルが、黒の背後の異形を殴り飛ばして投げキッスをしてきた。
「礼は言った方が良いか?」
【黒幻】に魔力を流し更に雷を纏わした斬撃で小型異形種を一刀両断した。
「二人とも、凄いですね、ミッシェルさんはヘカトンケイルを殴り飛ばし、黒さんは一刀両断。何か……昔見たいですね」
千夏が寂しそうにうつむくと。
千夏の肩に手を置くと、ミッシェルは首を横に振った。
ミッシェルと千夏、交互に見てから何かを言い出そうとした瞬間、王都の防衛魔法陣が破壊され、ヘカトンケイルや小型異形種が王都に侵入した。
「ッまだ、王都は避難している子達がいるのに!直ぐに王都に向かいましょ!」
ミッシェルの言葉通り避難が出来たのは王都の4割まだ、6割が残っていた。
次々現れる異形を倒しながら進むには少し無理があった。
「黒ちゃん!これ以上時間を掛けていたら!王都の子達があぶないわ!黒ちゃんだけでも!」
小型異形種を殴り飛ばしながら、ミッシェルが提案すると。
「難しいだろ、仮に行けたとしても!俺一人で守りながら!戦うには厳しい!」
すると、今ままで黙っていた千夏が神器を解放した。
「解放……発動!神器・【無垢な骸駒】
千夏の声と共に背後に現れた骸骨はトランプを並べると、千夏は二枚取り出すと。
「2番と5番」
「2……期待ノ2!5……渇望ノ5!誰ニ……期待ヲスルゥ!誰ガ手ニスル!渇望ノ力ヲ!」
2番、期待のカード、他者または自分に何かしら期待することで通常よりも身体能力を上昇させる、期待を裏切れば、上乗せした分と自分の身体能力を一時的に骸骨に取られる。
5番、渇望のカード、自分の願望を叶える間での間のみ『狂化状態』になる、立ち塞がる物全て壊す力、叶った瞬間、通常に戻り疲労で倒れる。
「ゴガァァァァァァァァァァ!!」
人から出るとは思えない程の咆哮に、黒達が驚く間も無く、王都に飛んで行った。
「コレは、期待しとくかな」
黒が向きを王都からヘカトンケイルに変えると。
「同意見よ~千夏ちゃんならやってくれるって信じてるんだから。私たちは、この子達に集中しましょ」
ミッシェルと黒は軍勢で来る異形達を見ていた。
王都に付くとリーラは避難誘導を王都の守備隊に任せ迫り来る小型異形種を蹴散らしていた。
「君は、称号持ちなのか?」
守備隊員の一人が聞くと。
「称号を持ってないと、一般人を守ってはいけないのですか?」
隊員に刺のある声で言うと、隊員は黙った。
すると、防衛魔法が壊され多くの異形が迫ってきた、リーラがドライバに魔力を流して、構えた。




