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やがてのいろへ  作者: につき
5/11

虹/

虹/


それを逃がしてください

逃がしてやってください

手の中でもぞもぞとしているのを

だって逃げたがっています

どこかへ、ここでない場所へと


放たれた言葉が青空へ飛び立つ

或いは雷雨の中を小さく駆け回る

そうやって

誰かのもとへと呼ばれるままに


夜の空が綺麗ですね

雲の限りなく薄くて

数えきれない星々が線を結びます


目覚めてもまだ現れてはくれなくて

ぼんやりと何かがやってきて

そうか、そうだったのだと

言葉と言葉が繋がっていく


しばらく捕まえても

すぐに逃げてしまいます

だから

こうやって書いています


追うほどに逃げ

見つめるほどに見えず

待っても来ずに

現れては消えてしまうもの


驟雨の後の虹が綺麗ですね

空の薄いところと濃いところ

その境目があんなに鮮やかです


声に出すとすぐに消えてしまうから

文字に残そうなんてずるいことを

営々と繰り返してみても

みんな、すべてのみんなが

やっぱり消えてしまうことを


握りしめないでください

固く握れば動かなくなって

もう何もかも分からないものになってしまうから

そっと受け止める形のてのひらで

わがままのままで放ってやってください

意味を握りしめないことを。文字を解き放つことを。言葉が生きていることを。わたしたちが今、生きているということを。

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