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やがてのいろへ  作者: につき
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花潜り/

花潜り/


もじを一つ

ゆびで押さえたら

となりのもじが逃げ出した

頁の上をかさかさ這いまわり

ぱっと羽を広げて

ぶーんと飛び回った

捕まえてみたら

みどりいろの花潜り

くすぐったい手のひらの中

窓を開けて

秋の空へ逃がしてやろう

ほら

お前の仲間たちが

こんなにも飛び回っている

漣みたいな秋空の下で

もうすぐ金木犀が香り出す

草はら一面に揺れるメールの秋茜

コスモスの紫にSNSの花虻たち

おっと危ない迷惑な雀蜂が増えているな

見えないものが見える

そんな時代になったのだね

そうして随分速くもじは生まれて

動き回り何かを食べて そして

何時しか どこかへと

もじたちよ

お前たちは知っているのだね

消えていくからこそ

残せないからこそ

残そうとしていることを

一つ一つ文字を指で押さえるように読みたいとは、詩人の伊藤静雄が日記の中で書いた言葉です。一つ一つ音にして意味を噛みしめるように。作者の書くようにゆっくりと読むこと。文字に沿うて言葉を口に含むこと。或いは一つまみ、一つまみして。生きているように。

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