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鷹/ おと/
鷹/
よく晴れている空を一羽
鷹の翼は前を向く
この大空は掴むためにある
掴み握り
ぐい と
嘴で風を穿ち
まだ覚めきらぬ朝の
始めの青を割く
やがて
止まり木を求める時
鷹は
あえぎ
その胸は苦しい
この猛禽の恐れるものは
飢えでなく飛ばざること
嵐さえ
その真摯な瞳で見据え
不条理に満ちた下界を
雲の直下から見下ろすものだ
おと/
おとを聴く
暮れる光に
野の花が
ほう ほう と
アメシスト色に煌めくのを
闇の中で
処女の月が
しと しと と
岩肌の雲母を撫でるのを
億年を経
巻貝が
いん いん と
石となり炎を放つのを
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