1/11
やがてのいろへ/
美しい季節がやってくるだろう。あの残酷な光の透明が射すだろう。そしてわたしたちは寂光が諦めへ傾いていく様を見るだろう。幾度も、幾度も、次第に弱りゆく光りの美しさを。
声が枯れてしまった
蝉
蝉
蝉
が
もうすぐなんて嘘を
積乱雲の複雑さ
耐えきれなくなって
いいえ
欲しいのは安価な邂逅?
いっそ
滅びるほどの高嶺へと
積み上げていく
果ててしまった夏へ
白蓮の香を
弾けてしまったあなたたちの夢へ
静かな水を
真鍮の黄金
蒼鉛の純銀
巻貝の琥珀
かつての冷滝に
果てしなき水煙に
立上り吹き付ける冷ややかさに
鮮血の夕日が射す
岩肌を染め
ナナカマドを染め
楓を染め
やがてのいろへ急かすように
fff
足りないのは、たぶん合意。
それでも季節は流れる。群衆と経済の合意に拠らずに。