第12話 日ノ本
お待たせしました。
山下等と入れ替わりで当該空域に到着したAWACSは、半日ほど警戒を行ったが結局何も捉えることが出来ず帰投した。
重ね重ね外務省を通じ諸外国に抗議、説明要求、事実確認を行うもすべてはぐらかされてしまう。
これまでの日本の外交手腕からして、このような結果になるのは目に見えていた。
「そろそろかな」
そう言い、報告を受けた今村は深く腰掛けていた椅子から立ち上がる。
「記者会見の準備だ。日本史の教科書に名を刻むとしようか」
国会議事堂
プレスルーム
「おおいな」
プレスルームの端から中を覗いた今村が言う。
「唐突かつ謎ですからね。マスコミとしては惹かれるのでしょう。海外からも有名どころが来ています。世界生中継のようなものです」
「ネクタイ大丈夫?」
「はい」
「この写真が後世にずっと残るかもしれないんだ、しゃきっとしないと」
「総理。時間です」
「おっと、では」
左手首につけている腕時計をチラッと見て、ひらひらと秘書に手を振りながら壇上に向う。
総理が姿を見せると同時におびただしい数のカメラが一斉にフラッシュを焚く。
壇上に一歩上がった総理は国旗に対しお辞儀をし、会見台につき、大きく深呼吸をする。
「えー現在。日本が置かれている状況は皆さんご存知の通りかと思います。丁度海外の方も来られている様なのでここで1つ」
会場が静まりかえる。
「現時点をもって、以降日本国土及び国民並びにその財産に対する、有形、無形の攻撃に対し我々日本国は、全能力を持って対処及び排除します。その為であれば・・・・我々は躊躇しない」
国旗にお辞儀をし壇上を去る今村に対し、きられたシャッターはたった1回のみであった。
某大陸 議事堂
「だ、そうです大統領」
煌びやかな徽章をこれでもかと着けた紺の制服を身に纏った人物が問いかける。
「確かに。我が国は世界のトップでなければならない。だが・・・だからと言ってこれは・・・・」
そう言ってデスクの上に資料を投げる。
「あの国はいち早く経済を立て直した。それも内需だけでだ!!!馬鹿げている。世界のトップにとって代われる国など我が国のほかにあってはならないのですっ!!」
「それなら!!彼の国はどうする!?協力は快く受け入れてくれた。その後は!?裏がないわけがない!」
大統領と呼ばれた人物は声を荒げ怒鳴り散らす。さらに続けて
「それに既に違う方向へ向っているじゃないか!この反応は予期されてなかった!すぐに屈するんじゃなかったのか!有能な政治家はおらず世襲制のポンコツばかりだと!技術大国とはいえ我が国には敵わないと!!君らはそう言った!・・・なのになんだ・・・・ここに上がってくるのは撤退ばかりだ!」
「常に!!・・・・状況は変化します、大統領」
背広に銀縁メガネのいかにもエリート、といったなりの人物がいう。
「その!変化の可能性を探るのが君らの仕事じゃないのか!・・・とにかく、これは許可できん。」
そういって「...an Re-governance plan」と書かれた資料を、紺の制服を着た人物の胸へ突き返すと部屋を出て行った。
世界に衝撃を放った記者会見から数ヵ月後。
世界の目は小牧市にある六菱重工の持つ巨大ハンガーに集まっていた。
記者団の前には、満を持して配備されたF-3。その向かいに黒い横断幕に隠された飛行機が2機ともこちらに機首を向けハの字に鎮座していた。
壇上にはMHIの広報担当者がタブレット片手に立っていた。
「お集まりいただき感謝します。今からお見せする機体は、我が社及び多数の日本企業技術の粋を集めて作られた次世代主力機です。もったいぶるのもアレなので早速」
手元のタブレットを操作すると横断幕がふわりと舞い上がりスルスルと耐電耐熱加工された床に落ちる。
と、そこには、コックピットより前方はF-3とほぼ同じながら、後方が全くの別物になった航空機が現れた。
「F-4 彗星。次世代主力戦闘爆撃機です。F-3に比べ少々大型化。その分搭載量は上がっています。機体の大型化に伴いエンジンも推力向上型のF8-IHI-23に変更されています。主翼はデルタ翼を採用し、前縁には主翼に沿った長方形のカナード翼を設けてます」
ここで記者から質問が飛ぶ。
「カナード翼採用と言うことはステルスは捨てたと考えてよろしいか」
「いえ、機体設計はステルスを意識。だがこの機体はステルスより、純然たる攻撃力を念頭に開発設計されており、その為、20式30mm単砲身機関砲2門に加え、対艦ミサイル5本という馬鹿げた攻撃能力を備えています」
その他にも、次期主力潜水艦、射程850kmにも及ぶ対”艦”ミサイル。巡航ミサイルではないのかと指摘されるも「我々は技術研究工廠の要望通り作ったに過ぎない。政治的な発言は出来ない」と回避。
技術研究工廠とは防衛装備庁の内部部局の一つで旧技術開発本部のような性質を持つ。
「以上で終わります。失礼」
短く締めくくり壇上を降りる。先の総理による演説を体現する発表は終わった。
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