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怪力女と狂気の片鱗

「痛ッ〜〜!! 一体何が、って――ヒャァァァッッッ!!!!」


 何者かに蹴り飛ばされた次の瞬間、俺は鍛冶屋の窓を突き破っていた。

 そして、陳列(ちんれつ)してある武器群へ突撃すると、素っ頓狂な叫び声を上げながら武器の一部と共に床へと落下した。


「ケホッ、何とか助か――ッ! うわッ!?」


 俺が舞い上がった埃に咳き込みながら立ち上がった後、以前のように内臓を痛めなかったことに安堵して一瞬気を緩めた時だった。

 背後で何らかの”武器”が俺の頭へ向けて振り下されたのを感じ取り、咄嗟にサーベルで攻撃を受け止めながら後方へ跳躍することで、背後からの攻撃を受け流した。


「……サーベルで受け止めながら後ろへ跳ぶことで、私の攻撃を受け流したか。

 生意気なクソガキだと思ったが、存外腕が立つらしいなッ!」


「なッ! その声はさっきの――ヤバッ!?」


 俺は態勢を立て直しながら視線を前方へ向けると、そこには金色の髪を腰の辺りまで伸ばし、エメラルド色の目を勝気に細めた亜人の女性が巨大なハンマーを手に持ちながら立っていた。

 そして、女性の声がつい先ほど俺を蹴り飛ばした何者かの声と似ていることに気が付き、俺は先ほどの女性と同一人物かどうかを訊こうとしたが。

 女性がそれよりも早く、ハンマーで再度攻撃を仕掛けてきたため、サーベルをハンマーの側面に当てることで攻撃の軌道を逸らした。


「中々やるな! 久しぶりに楽しめそうだ!」


「クソッ、なんつうバカ力だ! 反撃する(すき)がない!」


 俺はハンマーを逸らした際に掛かってきた重圧で腕が痺れたことに驚愕し、このまま攻撃され続ければ腕が持たないと悟り、攻撃を受け流しながら反撃に出ようとしたが。

 巨大なハンマーを枯れ木のように軽々と振り回す女性に隙を見つけられず、逆にサーベルを弾き飛ばされてしまった。


「どうする! 武器はなくなったぞッ!!」


「武器ならここにある! おりゃぁッ!!」


 俺は天井に突き刺さったサーベルを一瞥した後、目の前から迫ってくる女性のハンマーにサーベルの回収を諦めると、床に散乱している武器を二つ蹴り上げた。

 そして、両手で武器――ショートソードと小振りの盾を掴み取ると、盾で攻撃を受け流しながらショートソードでカウンターを仕掛けた。


「ハハハッ! 鋭いカウンターだな!! だが、甘いわぁ!!!」


「んな?! クソォッ!」


 だが、女性はショートソードを掴かみ取ると、力づくで俺を引っ張り上げた。

 俺は一瞬で逆転した視界に動揺したが、女性がそのまま石造りの床へと叩き付けようとしていることに気が付き、自分からショートソードを手放した。


 ――ズドンッ!!!


 女性が俺の手放したショートソードを石造りの床へ叩き付けると、石造りの床へ重いものが落ちたかのような音と共に円形のクレーターが作られた。 


「ほう……自分から剣を手放すことで、床に叩き付けられるのを免れたか。

 おまけに天井へ刺さったサーベルの方向へ投げ飛ばさせるという機転の良さ――あっぱれ! 実にあっぱれよ!! (わっぱ)、私はお前が気に入ったぞッ!!!」


「ハァっ、急に攻撃しといて何を――って、人の話を聞けよッ?!」


 俺は女性の怪力によって空中へ放り投げられた後、何とか天井に突き刺さったサーベルの方向へ飛ぶことに成功し、サーベルに掴まりながら女性を警戒していたが。

 急に此方を称賛しだした女性に唖然としながら女性の真意を問い掛けようとしたが、女性が大きな叫び声を上げながら俺目掛けて突撃してきたことで中断し、悪態を付きながら天井(・・)を蹴り上げた。


「吹き抜けたる風よ、ここに集え『ヴィント』ッ!」


 そして、その反動でサーベルを引き抜きながら女性の突撃を避けると、背後で巻き起こした突風に勢いづけられながら女性に体当たりを仕掛けた。


「ワハハハッ! (たぎ)ってきたわッ!」


「グハァッ?!」 


 だが、女性は天井を蹴り飛ばして無理やり方向変換すると、体当たりを回避しながら俺へとハンマーを振り下ろした。

 俺は女性に自ら突っ込む形になったことに焦りながらサーベルと盾でハンマーを防御したが、防御を突き破ってきたハンマーによって叩き落された。


「なんだ、もう終わりかよ……まぁ、(わっぱ)にしては頑張った方かな?

 お~い、手加減したんだから平気だろ? もっと闘おうぜ、それとももう限界か??」


「この野郎――好き放題! 言いやがってッ!!」


 落ちる寸前にイメージのみの簡易的な風魔法で衝撃を和らげれたため、俺は女性のハンマーを受けながらも何とか立ち上がることが出来た。

 だが、水の入った器をひっくり返したかのように力を失った身体では一歩も動けず、サーベルと盾を構えながら意識を保つので精一杯だった。


疲弊(ひへい)した身体でまだ立ち上がるか。

 (わっぱ)、いい根性だ!!!」


「――再生する命が宿りし盾よ、我を守りたまえ『リバースシールド』ッ」


 俺が攻撃どころか防御もままならないことに冷や汗を流していると、女性は追い打ちをかけるようにハンマーを振り下ろした。

 ただ、先に身動きが取れないことは分かっていたため、冷静に防御魔法を発動した。


「邪魔だァァァッッッ!!!!」


「何ッ?!!」 


 次の瞬間。

 俺の目の前にエメラルドグリーンの防壁が展開され、ハンマーによる攻撃を防いだが。

 女性は再生し続ける防御魔法を力尽くで打ち壊し、俺へと一直線にハンマーを叩き付けた。


 ――しかし、ハンマーは俺に命中することなく、飛来した”炎”の斬撃によって弾き飛ばされた。


 俺と女性が突然の出来事に固まっていると、轟音と共に”何か”が目の前に現れた。


「ぃ、一体何が……起き、た」


 俺は突然の出来事に動揺しながらも、なんとか”何か”の方に視線を向けたが。

 直ぐに見てしまったことを後悔した、何故なら――


「なぁ、クラリス。

 色々と言いたいことはあるんだけどさ……」


 抑え切れない凄まじい怒りを表しているかのように燃え盛る炎剣と、


「取り敢えず、死ね」


 それを振り下ろしたラグニスの声に――狂気めいた殺意を感じ取ったから。

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