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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第一部 たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事編
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地獄の四丁目編・・・ええーっ! 妖怪かまいたちの田中さんが妖怪オカマいたちになってしんでいたですってーっ!?

こんばんわ、楽しんでいただけましたら嬉しいです。

「あの……顔色が悪いようですね……精神的に大丈夫ですか?」


ううっ、優しい声だ……肉体的に大丈夫じゃない人(神)からのあたたかい言葉、慈愛に満ち溢れすぎて罪悪感がビックバン状態!


だって、だってそうじゃないですか! 『神様間違いでしっかりちゃっかりと誤爆! 家や家財ごと木っ端微塵に吹っ飛ばしちゃった、てへ』だなんて、僕のお口から言えるはずないですよーっ!


「ふんわりとして暖かくて、とても不思議な魂をお持ちですね……容姿は美しい女性なのに内面は気高い男性の色がみえますよ……これも何かのご縁、こんな頼りのない私でよければお悩みごとの相談にのらさせていただきます」


うっすらと浮かぶ鎖骨にか細い腕……栄養が行き渡っていない肌の色……地獄の辺境で生きていくことも大変なのに僕のことを心配してくれる。


僕の手を取り「もう大丈夫ですよ」とゆっくりと言い聞かせてくれる。


そんな優しい声色とは裏腹にミヒロさんの吐息のようなか弱い声……そして一糸まとわぬあられもない姿はやせ細りストレートにど貧乳だ。


「とりあえず何もありませんが私の家でゆっくりと……ううっ、すみません……今の爆発で家も家財もなくなってしまいました」


 ミヒロさんの瞳が家財の破片が散らばった下方を見つめると声のトーンがみるみるうちに下がっていく。


 その雰囲気たるや『都会の真ん中に捨てられた行くあてもない子猫』のようで……うあぁぁぁーっ、ガッデーム! 僕はなんてことをしてしまったのだー!


「い、いえ……ぐぬぬ……全て僕が悪いのですーっ! す、すみませんでした!」


 その動きは流水がごとく滑らかで力強さは渾身の力だ!


そう、ジャパニーズハラキリハリハラの究極奥義……ザ・土下座。


大地につく膝や肘は一寸の隙もなく、こすりつけられる額は摩擦熱が煙があがりそう。


 これぞ、全身全霊の土下座だ。


こんな全力土下座はシルクと神社の軒下暮らしの頃にこっそり一人で食べた『うまそうな棒』の袋が見つかってしまい『あにさまはうちの手作り泥団子よりも駄菓子のほうが好きなのですか!? 許せないです、タイに住んでいるタニックくんの泥船ぐらい不安定な精神状態になりそうなのです』と言って三日三晩泣き続けたシルクに許しを乞うために土下座しつづけたあの日の夜……だって、シルクが不安定になってしまい街中に恐ろしいぐらいの不幸を振りまいてしまった悪夢の日以来です。


「ど、どうなさったのですか? 地面に飛び込むように土下座して額をクリクリと火をおこすように動かされて?」


 ミヒロさんはハッ! と驚いた表情を一瞬だけ見て取れたが、直ぐに笑顔を作り直すと何事もなかったように僕の傍らまでくると目線が合うように膝をつく。


「先ほどの光は僕の仲間が上空の旗艦級戦艦から狙いすまして撃ってしまった誤爆なのです! しかも人間違え……いえ、神間違えしてしまってミヒロさんのご自宅を消滅させてしまいました」


「神間違え?」


 そりゃいきなり土下座されて『神間違え』なんて言われても困ってしまうだろう。


『はにゃ?』と可愛らしく小首をかしげたミヒロ。


キョトンとした面持ちの僕の双眸を澄んだ眼差しでじーっとのぞきこんでくる。


「はい、神間違えです。僕の名前はリン、たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事をしています」


「たんぽぽ荘……聞いたことがあるような……あっ! も、もしかして地球に存在するという建物、様々な世界の神々や妖怪が入居しているという特別養護神様ホームですか!?」


 ミヒロが発した言葉……『特別養護神様ホームですか!?』……何だか希望にすがるように熱とチカラがこもっているぞ。


 ミヒロさんはグググッとがぶり寄って僕の腕にぎゅっと抱きつく。


もうはなさないですよ!と言わんばかりの情熱的対応は先ほどとは別人(別神)だ


「今回は地獄の四丁目の106号室の田中さんから家賃徴収することが任務でやってきまして……」


「四丁目の田中さん……というと、もしかして」


「ご存知なのですか?」


「はい噂程度でしたら地域の会報で聞いたことがあります……たしか、昨年ですが」


「昨年ですね」


「はい、昨年です。妖怪かまいたちの田中さんといえば血の池地獄にたむろする観光客に晩御飯を恵んでもらいに向かっていた最中に、性的な意味で暴走したゲイおにぃたちに集団で襲われて、千本針で有名な針山に連れ込まれて、菊門全開の待ったなしプレーにてお尻を掘られて、あっはんうっふんいやんばかんの末に妖怪オカマいたちになったと噂をお聞きしたことがあります」


「妖怪オカマいたちですか!?」


「そして、自宅にて寄生虫に腹部を食い破られた亡骸をこの地域の地獄組合民生委員が発見したと回覧板に書いてありました」


 ミヒロさんはペッタンコな胸を僕の腕にグイッと当てて、穏やかな気配をまといながら僕がわかるようにゆっくりと説明してくれる。


 要約すると……田中さんは寄生虫に体内を食い破られてしまい、もう地獄の何処にも存在していない。


 ゲイおにぃに襲われた田中さん……オカマいたちになって数ヵ月後にお腹を寄生虫に食い破られて死んだ……地獄でも死という概念があるんだなぁ。


「ところで……リン君は追われていますか?」


 ミヒロさんは顎に人差し指を置くと小首を傾げて上空を見上げた。


 僕もつられるように上空を見上げると……ってうあぁぁぁーっ!? アレってもしかしてホームシティを追いかけていた機動兵器たちではないですかーっ!?


いかがでしたか?

少しずつですが地獄編も前に進んでいます。

そして新キャラの福の神である野良神ミヒロが登場しました。

皆様のお声が私の活力になります!

今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします。


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