旗艦級機動戦艦ホームシティ編……田中さん宅強襲……って、す、すみません神違いでしたーっ(涙)
こんばんわ、間幕みたいなものですがよろしくお願いします。
今日も誰もいない。
そう、この地獄の寂寥感が溢れる世界でいつまでも一人ぼっちのはずでした。
荒れ果てた砂利を敷きつけた庭先にポツリと立っている鉄パイプ式地獄時計を見れば、もう地獄時間10時、今日も生きるために水分を取らなきゃ。
永遠に続く灼熱の気温。
生きるという概念が崩壊した地獄に私は孤独に生きている。
数百年間誰も触れられることなのなかった肢体に篭った体温を下げようと汗腺から吹き出た汗が遠慮しがちに肌の上で玉をつくる。
とある事情で地獄に幽閉からずっと愛用しているボロボロになった一張羅を庭の池(お湯)で洗濯する。
かつては福の神として崇められていたはずの私。
今は僅かな神力しか使えない駄神……いや、野良神と言われている。
現世では様々な雑用から神の仕事まで必死に頑張った結果が……これ。
『ありがとう……神様』
あの言葉が私の心と矜持を支えてくれる思い出の言葉。
そんな思い出に浸っていた私が目を開けると……あれっ!? 空に大きなものが浮かんでいる? 勘違いじゃないよね。
初めての経験に胸をドキドキさせた次の瞬間……一筋の光が……あはは、私……やっと死ねるのかな……。
「生きていますかーっ! 田中さーん」
僕は池に浮かんでいた田中さんを抱え上げると柔らかなほっぺたをバチバチ叩いて悲壮な声で叫び上げる。
「死なないでーっ! 生きて、生きてください、家賃の支払いのためにも!」
我ながら鬼だな……と思いつつ僕はしっかりと田中さんの顔を覗き込む。
焦点が合っていなぼんやりとした瞳……微かだけで息はしている。
ふと目の眉毛に大きな眼、おっとりとした雰囲気が滲み出るお人形さんのように可愛らしい雰囲気がある。
ただ、環境と栄養状態が悪いのだろう、乾いた砂埃と汚れにまみれて肢体は全体的にやせ細っている。
こんな姿の田中さんから家賃を徴収するなんで、良心の呵責がーっ!
「た、田中さーん! 意識をしっかりもって!」
「わ、私……」
「はい! 田中さん!」
「わ、私……ミヒロ……です」
「ミヒロ……?」
「はい……田中ではありません」
「???ーっ!」
肌色率が高い身だしなみ……というか露出系というよりも素っ裸に近い風貌だが……僕も今は女の子なのでここは堂々と聞いてみよう。
「あの……たんぽほ荘の店子さんですよね」
「たんぽぽ荘? それは野に咲く花……食べられるもの……懐かしいな」
一瞬たりとも逡巡することなく懐かしさを滲ませながら優しく僕に語りかけてくる。
うあぁぁぁぁーっ、とんでもない罪悪感がぁぁぁーっ!
土、土偶神アラハせんぱーい! や、やばいです、家賃徴収する相手を間違えてしまったみたいなのですーっ!?
いかがでしたか?
やっとたんぽぽ荘のキーマンの一柱が登場です。
楽しんでいただけましたら幸せます!




