旗艦級機動戦艦ホームシティ編……この残念少女は誰なのですか?
こんばんわ、何とかアップできました。
その眼圧は『むへへ、そのサンドイッチに挟んであるお肉こっちによこすでごんす』と檻のヘリまでやってくるお腹を空かせたアライグマの穿った闇のようだった。
アホ毛をピコピコゆらす残念少女の幼さが残る眉目秀麗な容姿とは裏腹に室内の白壁の隅から隅まで……そう某ダニ・ゴキブリ退治のバル○ンの霧のごとく侵食していく雰囲気は死神風味の香りがプンプンしているような気がするぅぅぅ。
この状況は『蛇に睨まれたカエルの後ろで震えてちびるウズラさんの気分』もはや黙って逃げ出すこともできず僕は両足で踏ん張るようにその場に立ち尽くしてしまう……だって気を抜いたら失禁しそうな気迫なのですよーっ!
「久しぶりにお目覚めミュン……とりあえず、ここであったが百年目のてやんでぇぇぇぇぇい!」
「何ですかそのセリフのてやんでぇぇぇって!? 僕はキミと今この場所であったばかりじゃないですか!」
反論する僕の言葉など露にもかけず、残念少女は左手を腰に、右手でピシッ!とこちらを指さしている格好はバックに『デデデーン』と効果音がつきそうだぞ。
「むむむっ、うちの乙女なチックな昼寝部屋に天井から勝手に侵入してきて『でへへ、うさぎちゃんの脱ぎたてパンツが主食です』なんてハレンチなことを言う奴は死人に口無しミュン……さっさと地獄に行って反省してくるミュン」
「その変態は誰やねん! キミは妄想好きのうさぎさんという名前なの? はっきり言うけどここは地獄のど真ん中の戦艦じゃないですかーっ!?」
「だれがウサギさんかミュン! 初対面でバニーな名前のハニーに間違えるなんてとんだ変態的思考の持ち主ミュン、親友の雪女に間違えられたなんて商店街の肉屋さんでコロッケを買って献上しても許してやらないミュン、うちは冷血非道の泣き虫ブラコンのウサギじゃないミュン! 言い訳がましいやつミュン! 男の風上にも……うにゃ? その羨ましいボリュームの乳のお肉は……お前は女ミュン? 」
「……」
「沈黙は肯定ミュン……うーむ、遺伝子から歩にそっくり……思わず歩に接しているような感覚になったミュン」
ニヤリと笑った顔で滔々とした口調とは裏腹に抜き見の刃を向けているような眼差しが僕に突き刺さる……っていうかあれれ、瞳の色が七色っぽく変わっていませんか!?
「むむむっ、『少しの間だけここで眠って……いつか、僕が迎えに来るまで』なんて言った歩とのお別れシーンを思い出したら、全く迎えに来ないことが根源の乙女の怒りが湧いてきたミュン! 思い知って大人しくうちの憂さ晴らしのために丸焼きになるミュン!」
「記憶喪失じゃないのですかーっ!?」
「そんなのご都合主義ミュン」
残念少女の理不尽な怒りエネルギーが沸点を軽く超えてチャージされているぞ、ゴゴゴーッて溢れだす覇気が怖すぎます!
渾身の睨みを利かせた視線が僕の全身を切っ先鋭い槍のように真っ向から突き刺さってくるぞーっ!
「あの時の言葉……約束……迎に来ないなんて……根性がなっとらぁぁぁぁぁぁぁぁぁんミューン!」
カッと大きな瞳を見開いた残念少女。
『ちょっと本当に可愛いかも……』とこちらに考える余裕すら与えず、記憶喪失でも優秀かつ時代をリードするアホ毛とツインテールの下にある脳が理不尽満載の攻撃指令を出している雰囲気だぞ。
魅入ってしまいそうな黒水晶のように透き通る残念少女の瞳が、血を欲する深紅に変わりキラリ! と眩しく光ると「瞳からレーザー!」とピシッ!とチョキをした手を目元に構え大きな声で叫んだ瞬間――七色の光が『どびゅゅゅゅん』収束した光が僕の頬をかすめて天井を貫いた!
というか不意打ち的な光が眩しすぎてクラクラしていた意識が……。
パタンキュー!
「貴様、命拾いしたミュン、本調子じゃないうちのレーザー精度が鈍ってしまっているミュン……って、気絶しているのか、おーい、歩にそっくりなリンとか言う女男ーっ起きるミュン! 一人ぼっちは寂しいから起きるミューン!」
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