地獄の一丁目編……出口へレッツらゴーの出口って?
こんにちは、楽しんでいただけましたら嬉しいです。
これはやばい状態です!
有り体のままに表現しますと大量の真っ赤な麻婆豆腐がひっくりがえって、具材のミンチ肉がぐちょぐちょと蠢いていますよーっというグロテスクな現場を実況中継できる特等席(極丸さんの背中)でリアルタイム恐怖体験をしています……こんにちは僕です。
「もう殺気もネチネチしたイヤラシイ視線もないでおじゃるよ」
極丸の巨大なハサミにまとわりついていた薄汚い濁った血肉からは憎悪が混じった悪臭が漂う。
極丸さんの想像を絶する強者ぶりに僕はただただ呆然と見ることしかできなかった。
結果として大地に染み込んだ血や死肉に蠢く蛆、有名な羅生門の一節よりも悲惨な光景が眼下に広がり吐き気をもよおすほどの陰鬱な気分を誘う阿鼻叫喚の世界。
「極丸さん、け、怪我はないですか?」
「おや、リン殿のおっぱいの間の柔らかさに匹敵するほどの優しい言葉でおじゃるな、どさくさに紛れて揉んだでおじゃるから間違いないでおじゃる。それにしても残念なことに擦り傷一つもないでおじゃるが……嫁として嫁ぐことはやぶさかではないでおじゃるよ、うっふん」
「謹んでお断りいたします! って言うか戦いの最中に僕の乳の揉んでいたのですかーっ!?」
「うーむ、乳の強度を確かめたくて……はっ!? も、もしや、謙虚すぎるというかシャイというか、リン殿はそっちのプレイが好きなのでおじゃるな! ならば待つでおじゃる、待つと言っても松を使った卑猥プレイではないでおじゃるよ」
「松ってどんなプレイなんですかーっ!?」
「ほほーう、やはり青春エロ盛りのリン殿は興味深々でおじゃるな」
亡者たちの腐った醜い肉体が猛獣によって引き裂かれたような光景はまさにリアルホラー。
「うーむ、亡者相手に見境なくはっちゃけてしまったのでうなじの先の右隅四角を左にながった先の髪の毛の毛先がキューが汗ばんでしまったでおじゃる」
「そんなえのき茸みたいな毛先は見えないですよーっ!」
「麻呂のピーピーはえのき茸と言うより、棍棒クラスでおじゃるがのでリン殿……夜のいとなみ時は必殺のオロナイン南高丸がいるでおじゃるよ、それにしても流石は地獄の灼熱温泉が吹き出ている場所でおじゃるな、程よい湿気はお肌に大切でおじゃる」
「殺気まで湿気なんてなかったです……って湿気? 汗じゃなくって湿度?、も、もしや、亡者の死体の水分が飛んで蒸発しているだけじゃないですか!?」
「麻呂はお肌がウルウルすれば細かいことは気にしないのでおじゃる」
地獄の一丁目は灼熱地獄……尋常ならざる暑さのために地面を覆っていたひき肉も血だまりもすぐに蒸発して大地は乾いていく。
こんな亡者たちの腐った血肉を使った天然系水蒸気蒸し風呂はいやですよーっ!
「さて、リン殿」
弾む声音とは裏腹に希薄な表情の極丸が強靭で災厄の本能を持つ体躯をゾロリゾロリと移動しはじめる。
「さっさとこの灼熱の階層を突破したいでおじゃる」
「どうやって?」
「土偶神・アラハ様から三日三晩の徹夜勉強会でしっかりと教えていてただいたので安心するのでおじゃる」
「そうなんですか! 僕たちのためにすみません」
「頭を下げなくてもよいでおじゃる! 三日三晩のほとんどがチョコレートを食べながらの恋ばな女子トークでおじったから」
「マジですかー!?」
「心配する必要はないでおじゃる、弱くて脆い亡者無勢が束になってこようとも問題はないでおじゃる、麻呂の記憶が正しければあっちに行けば良かったはずでおじゃるよ」
言うな否や極丸さんは亡者を葬った巨大なスコーピオンクイーン(キング)の姿ままで器用にゾロリゾロリと干からびた死肉がへばりつく岩肌を降りはじめる。
「極丸さん」
「リン殿、何でおじゃるか?」
「素朴な質問なのですが……出口って何処にあるのですか?」
「出口は探すものではなく作るものでおじゃる」
「作るもの?」
「そうでおじゃる! なので、今からこの階層に封印されているという、リン殿にも縁があるでっかいモノを略奪しにいくでおじゃる」
僕はその言葉に一抹の不安を覚えるのであった。
いかがでしたか?
少しでもクスッと笑っていただけましたら嬉しいです。




