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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第一部 たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事編
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地獄の一丁目編……アラハ先輩のお手紙と進みだす一歩

おはようございます。

楽しんでいただきましたら嬉しいです。

 極丸、スコーピオンクイーン(キング)にして土偶神アラハが束ねる、たんぽぽ荘第一家賃徴収部隊のメンバー。

 かつて、砂かけババアの家賃回収のときに大変お世話になった先輩である。

少々つり目気味だが凛々しさと可愛さが同居している顔立ちは某アイドルも真っ青のクオリティ、柔らかそうな黒髪は腰まであり、その光沢はスレンダーな身体を引き立たせる白い肌とのコンストラクトで一層美しく見える。

 だからこそ言っておく……彼女、いや、彼は紛れもなく男の子(男の娘)なのです。

 けっこうドSな男の娘なのです!


上目遣いで『持ってきてやったのでおじゃるからご褒美に愛でるのでおじゃる』と頭をこちらに寄せて不敵に笑みを浮かべる極丸から渡された封筒。

 

 僕は恐る恐るハート型のシールをはがして中身を確認する。


毎度のことながら一枚の手紙とプロマイド……そして、ミラクルなのです!

今月分の給料明細書が入っていました。


さてプロマイド写真なのですが。

 ずん胴土偶が腰に手を当てて「うふーん」と挑発しているセクシーポーズ。

衣装はウサギ耳のバニーガール……そんなプロマイドの写真。

しかも胸を強調しているのですが詰め物見えまくりですよーっ!

ってどう使えばいいねん! このプロマイド! と心で吠えてしまいたくなった、こんばんは、(リン)です。

 ちなみに僕の所有する土偶プロマイドは通算三枚目です。

 

さて、肝心な手紙の内容なのですが。

 僕は弾けるような怪しげなオーラが漂う手紙を開いてみた。


『ばーかばーか! 私の許可もなく、ゲイ(おにぃ)にお尻も刺されずに尻尾をまいて敗北しやがりますの! 

私がドク○ベーなら『おしおきだべぇー』と言って懲罰として乳首にわさびを塗りつけてきっつきつの洗濯バサミを挟んで、赤ふんどし一枚を靡かせながら国会議事堂に突撃『むひょひょー、僕、チンコ魔人! 同情するなら金(税金)をくれ』と言わせるところですわ!


マイホームローン地獄の前に本当の地獄に行くなんてまったくなさけない! 

それも閻魔家の直系に絶壁まな板乳のシルクちゃんを奪われるなんて、たんぽぽ荘第一家賃徴収部隊始まって以来の……く・つ・じょ・く♥ 

わかっていますの、この万年発情期チンコ魔人……いえ、大切な男性シンボルまで奪われてリリスの身体に浸食されるなんて! 

想定外ですわ! 

これでは万年発情期チンコ魔人と呼べなくて寂しいではありませんか。

 とっておきのお慈悲ですわ、特別に家賃徴収人のスコーピオンキング・極丸ちゃんを補佐につけてあげます。

 さっさとたんぽぽ荘に戻ってきてシルクちゃんを取り戻す算段をつけなさい!   


少しご立腹の愛のキューピット・土偶の神 アラハより

 追伸 ついでに地獄の四丁目の106号室の田中さんから滞納家賃を徴収してきなさい!』


 アラハ先輩ーっ、かなりお怒りではありませんか!?


「リン殿、そんなに落ち込むなでおじゃる」


極丸さんの優しい声が心に染みます。


「……極丸さん」


「あの土偶神・アラハ様は口と性格は悪いが、部下の面倒見はとっても良いでおじゃる……みたいな噂でけは聞いたことがあるような気がするでおじゃる」


「噂止まりなのですかーっ!?」


「まぁ、これを飲んで落ち着くでおじゃる」


 妙に自信のある口調の極丸がすすっと湯気を立てるキャラクター物の湯呑を差し出してきた。

 緑茶の香ばしさが鼻腔をくすぐるけど、いったいどこからとしだしたのですか?


「六甲あたりの美味しそうな水で入れた八女茶ぽい緑茶でおじゃる、リンを見ていると同情してしまいたくなるので、せめてもの情けでおじゃる」


 極丸の声に同情が入り混じっている、先ほどガーズさんの下半身をゴミクズを見る瞳で睥睨して破壊した人物とは思えないぞ。

 

「何だかご迷惑かけてすみません」

 

僕は申し訳ない気持ちが溢れてしまい無意識に少しトーンが落ちた声になっていた。

 ただシルクと一緒に過ごしたい、今なら誰よりも愛しているとシルクに伝えられる思い、こんな真っ直ぐな想いを伝えるために僕はたんぽぽ荘に戻らなきゃいけない。

 ここに来るまで状況に流されるままに居た僕。

 だから、ここからは僕の想いのために進む。

これまで意識したことのない感情が胸の内から湧き上がると涙腺が決壊したようにチロチロと堪えきれない涙が頬を伝って湯呑に落ちていく。


――リン、泣かないで……貴方は私……私は貴方……愛している……だから、私が力を貸してあげる……――


 不意に脳裏に響いたリリンの声がどこか暖かく……何処か深淵なる嫉妬の色を感じ取ることができるのであった。


いかがでしたか?

そろそろ地獄編もストーリーが動き始めます。

皆様に楽しんでいただけましたら、とても嬉しいです。

皆様の感想やレビューもろもろなども作者のエネルギーとなりますのでお待ちしております。

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