狂い始めた歯車……進撃の奴隷少女A
おはようございます。
楽しんでいただけましたら嬉しいです。
心にしまっていた想い。
記憶の霧の彼方で霞んでもとりとめもなく反芻してしまう言葉。
――ご主人様、こんな世界はうんざりなので目いっぱいやりますあるね、うっぷん晴らしてやりますある・・・ではなく、全てはあたしのファーストキッスを奪って、今後は性奴隷にしたてあげようとするゲスなご主人様の願いを叶えて、あたしがゴミクズのように捨てられないためにいっぱいがんばるある――
恥ずかしくて、頼りにしたくて……ずっと一人ぼっちだったあたしの大好きな人。
殺してあげたいある……もう、何も苦しまないようにあたしの手で……愛情を込めて殺してあげたいある……大好きなご主人様。
赤子は目を明ける前から生きる戦いは始まっていたある……そう、ただ目的もなく屍のように生きる戦い。
あたしの戦い……あたしを闇からすくい上げてくれたご主人様。
今度はあたしが救ってあげるあるよ。
だから、た・か・ら……あたしの手の中で死んでほしいある。
だけど、その前に。
「「「お尻イヤーン!」」」
耳に届く奇声の数々、陽炎やブルブルバイブのように揺れ動く鬼。
あたしは何もためらわない。
愛……ふりむいてくれない愛は憎悪とかしてあたしの力になる、呼吸を整えつつ殺伐とした世界に意識を戻す。
数多の細長い胴体の残骸が苦痛を伺えないほどにミンチとなり赤い液体と肉片で蠢く寄生虫をあたしは睥睨した。
「あたしの……あたしの愛を……ご主人様の名づけを邪魔する奴は豆腐の角に刺さってその血でマーボードーフの色付けになって去勢施術で睾丸をむいてしまえぇぇぇある!」
酷く苦しくて、酷く切なくて……喉の奥から絞り出すような雄叫びを上げた奴隷少女A……そう剣帝が振るう剣により創造すらしたくない悪夢が広がっていく。
そこに理性などは残っていない、ほとんど勝負にもならないゲイ鬼を切り刻み、痛ましいほどの血肉が平原に出来上がっていく。
「ご主人さまの可愛らしい顔も柔らかい唇も……抱きしめてくれる腕も体を預けたい胸も……全部、全部……あたしの……あたしだけのものある」
奴隷少女Aの言葉に想いと検が宿り、有無を言わせぬ剣線が電柱型や大根型のゲイ鬼たち絶望のどん底に落としていく。
奴隷少女Aやゴールデンアンパン兵たちと閻魔凛とゲイ鬼の拮抗していた両軍の戦局、閻魔凛の指示のもとリン君めざして猪突猛進するゲイ鬼。
場所によってばらつきがあるが奴隷少女Aの視界が急速に明瞭になっていく。
「見つけたあるよ!」
奴隷少女Aの視界にとらえられた、一際屈強のゲイ鬼に守られた少女。
遠目でも場違いすぎるのではっきりとわかってしまうブルジョアすぎる雰囲気。
形の良いバストを強調するような胸元がV字に開いた金色のフリルが幾重にも重なった豪奢なドレスに身を包み、ピコピコと動くトレードマークのアホ毛を存分に揺らしながら、元気いっぱい快活そうな美少女『閻魔凛』が手を振りながらあたしを呼んでいる。
『早くご主人さまに逢いたい……褒めて欲しい、手を握って欲しい……抱きしめて欲しい……寂しくて、心が乾いて……ご主人さまの心と身体……鮮血で潤して欲しい……だから、あたしがいっぱい殺してあげる、ご主人さまを狙うやつはみんな、みーんな、あたしが殺してあげるあるよ』
歯車は狂い始めていたのかもしれない。
ただ、隔たった愛と呼ばれるものにとり憑かれるように。
いかがでしたか?
ついに二番手ヒロインの一人奴隷少女Aの伏線が動き始めます。
どのように転んでいくかは今後のお楽しみにしていただけましたら嬉しいです。
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