リン君とシルクの日常……その4 アルバイト編
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸いです。
ゆっくりと揺られていたバスが止まった。
本当なら「ここはどこなのですかーっ」などいいながら窓にへばりついて景色を堪能しているはずなのですがそれが出来る状況ではないのです。
回りくどい言い方をするかというと……僕の視界を固くまる結びで縛られた目隠しで塞がれているからさーっ!
「リン、目的地に着いたみたいじゃの」
「うぷぷ……バスに酔って吐き気がします、この待遇って……もう、不安でいっぱいになりますよ」
「安心せよ、その不安は直ぐに不幸に変換されて絶望にかわるぞい、ほれ、占い料はアンパン一個でよいぞ」
「アンパンを買うお金があったらこんなところにいませんよ」
「それもそうじゃ……な、誰じゃーわしのふんどしをつかみあげる奴は!、うあぁぁぁーっ金○とちん○がはへへぇぇぇーっ」
「どうしたのですか!? コナキンさん……うああぁぁぁ」
コナキンさんとたわいもない会話をして気を紛らわせていたら突然の絶叫! その直後僕の首根っこを物凄い握力で掴み、そのままバスの外に放り投げられる。
痛いぞーっ、ううっ、お尻が四つに割れそうです。
「よし、このたび集められた従事者たち、目隠しをはずせ!」
この馬鹿でかい声、拡声器で言わなくてもわかるぞ! と思いつつも目隠しを外せと指示が出たので恐る恐る外してみる。
「ほいやー、何ですかここは」
「妖気がムンムンしてるでごわす」
「ヤバイぞ、脱糞スプレーの香りよりヤバイ匂いが充満してるのぉ」
ざわつく周りの一同。
僕から言わせると……この場所は……。
趣味の悪すぎる大富豪の邸宅ではないですかーっ!?
広い敷地だ、今にも動き出しそうな精緻な石造りのデーモンやうねうねと動く食虫植物の花壇、お茶を楽しむというより血をすする吸血鬼が座談会を開いていそうなテラス。
中世ヨーロッパの悪趣味すぎる上級貴族が無駄お金を使ったようなセンスが光る場所。
この雰囲気はマズイ予感がする。
結婚式のトライアイスのように白いモヤが足元を覆っていく。
「リンよ」
「これってヤバすぎですよね……コナキンさん」
いつの間にか僕の傍らにきているコナキン。
その顔は緊張したように引きつっている。
「そうじゃのぉ、わしらみたいな中途半端ものの妖怪にしか見えないチラシ。 ちいとばかり給金が高くて怪しいと疑っていたが……こりゃはかられたのぉ」
小さく溜息を吐いたコナキンは杖を正面にかまえてゆっくりと顎をしゃくる。
「ほれ、そこを見てみい」
僕はコナキンに促されるように視線を向ける。
そこにうねる物体。
ミミズのような化物。
「最近のぉ、胡散臭い噂を聞いておったが……まさかわしがかかるとはなぁ」
「あれってなんですか!?」
「アレはミミズチじゃ」
「ミズチじゃないのですか?」
「そんな崇高なものじゃないじゃろ、大きなミミズが鼻血をだしているからミミズチじゃ」
「そんな安易な名づけでよいのですかーっ!?」
「ほれ、よそ見してるとフランケンちゃんのように食われるぞ」
「うあぁぁぁーっ、一匹じゃないのですかーっ!?」
南無南無チーン、フランケンさんが頭から丸かじりされてる……ってフランケンさんの脇られ見えるツギハギのブラジャー。
あのツギハギ妖怪は女性だったのかーっ!?
「ほれっ、フランケンちゃんの咀嚼タイムを無駄にするな! とりあえず逃げるぞい」
「は、はい!」
僕達は駆け出した。
進むべき方向なんてわからない。
いきなりのデスゲーム……逃げる僕の脳裏にある種の疑問がうかぶ。
やっぱりこの不幸感って……やっぱりシルク(赤貧の神)のご利益なのかぁ。
いかがでしたか?
こつこつと執筆していく所存です。
応援、よろしくお願いします。




