リン君とシルクの日常……その3
こんばんわ、今日も無事に執筆できました。
楽しんでいただけましたらうれしいです。
「あにさま……お別れなのです、シクシク」
「そんなに泣かなくても、お別れっていっても仕事が終わるまでだよ」
「うううっ、寂しいのです、嘘泣きですけど寂しいのです」
「嘘泣きかいーっ! まぁ、寂しがってくれる部分は愛されてるって感じるけど」
「あにさま、朝っぱらから恥ずかしすぎるセリフ吐いているのです。お昼御飯に睡眠薬を入れてお昼寝中の爆睡しているあにさまのお尻をカジカジできないなんて犬歯が寂しいのです」
「寂しいってそれかよ! 最近、お尻の割れ目が四つに割れそうな勢いで擦り傷が多いと思っていたら、シルクーっ! そんなことしてたのかぁーっ!?」
「むふふ、愛する乙女の嗜みなのです、ふんす」
そんなしょうむない会話を重ねつつ、僕はアルバイトの斡旋する会社のバスの出発時間が来たため、そそくさと乗り込むことにした。
この真っ黒なコーティングされた怪しげなバス。
当然、闇の世界が関わっているヤバイ系のバスだ。
斡旋料として怖いお兄さんたちに給料の一割~三割徴収されるが、夜逃げした者や何らかの理由で陽のあたる場所で働けない者……そして、僕のような年端もいかぬ子供まで斡旋してくれる。
こんな仕事でも僕やシルクにとっても生きる糧を得るための生命線。
たまには命の危機……そんな危険なめもあったりしちゃうが、のらりくらりと赤貧の神の加護のもとに生き延びている。
やがて動き出すバス。
窓の外ではシルクがきちゃない布巾を目いっぱいフリフリしながら見送ってくれている。
その姿はまさしく……小汚いオーラ抜群の美少女。
ドナドナドーナなどと斡旋場のスピーカーから聞こえる出発ソングが遠くなっていく。
「なんじゃ、わっぱも仕事か? こんな年端もいかぬ子供が斡旋バスにのる世になったかぁ」
突然隣に座っているおじさんが溜息まじりに話しかけてきた。
ただ、その憐憫すぎる姿……くたびれた赤ふんと藁のミノ、そして年季の入った木杖が一本。
もう、一般道路に立ってるだけでわいせつ物陳列罪確定な風貌ではないですかーっ!?
「どうした、ワシがセクシーじゃからってそんなに見つめんでもええぞ」
「見続けたら目が腐ります……浮いた肋骨が栄養不足を主張してますね」
「なかなか口が達者なわっぱよの、わしが金持ちじゃったら養子にもらってやりたいぐらいだぞい」
「そんな永遠にこない妄想をして死期がすぐそこまできているのですか? そんな怪しすぎるお誘いは心からご遠慮します」
「このわっぱは猛毒をはくのぉ、そうか、残念じゃ。ところでこのバスに乗るということは仕事先は一緒じゃの」
「不本意ですがそうなりますね」
「貧乏はやじゃな」
「同感です」
貧乏……そう、生きる糧を得るそれが目的で乗り合わしているバスには僕を含めて八人ほど乗車している。
その容姿なのだが……あきらかに猫又?ぽい奴やフランケンさんぽい奴……はたまた、一反な布だろうという奴まで……皆、とても人には見えないですよーっ。
おほん……ここは咳払いをひとつしてから
「僕はリンです、おじさんのお名前は?」
「わしか、わしはふろふき山の四丁目を根城にしているコナキンじゃ。これでも子泣き爺歴350年のベテランじゃぞ」
子泣き爺かぁ、その変態的わいせつな着物(ふんどし&藁ミノ)に説得力が増します。
「子泣き爺歴って芸歴みたいな言い方ですね」
「太陽暦やユリウス歴っぽいて言ってくれても良いぞ」
おおぉ、そんな返し技……日本妖怪って博学やん。
そういえばシルクと一緒に行動し始めてから、こういう種族さんたちと出逢うことがおおくなった……というか妖怪さんたちもバイトしないと食べていけないのですかーっ!?
「珍しいのぉ」
「何がですか?」
「いやのぉ、このバスじゃが人間はお主だけみたいでな。わしの経験則からいうとじゃ、こんな数奇な乗り合わせは考えられんのぉ」
そのコナキンさんの言葉……とっても嫌な予感がするぅぅぅぅ。
はてさて、このバスが向かっていく先に何があるかはわからない。
ただ、募集チラシに記載してあった『住み込み調理補佐募集 月給制 各種保険有り 住み込み・まかない有り』は守ってほしい。
あっ、僕はコナキンさんにちょっと気になることを聞いてみた。
「童顔の美男子で童貞だけどお尻を掘られたみとのあるショタに好かれる才能がある者のみが見えるチラシを見て応募されましたか?」
「なんじゃその変態チックなチラシは?」
そんな恥ずかしいセリフを吐いてしまった自分自身に嫌悪感を抱きながらバスは揺られていく。
ドナドナドナーっと。
いかがでしたか?
少し軽めのノリに仕上げています。
読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。




