その世界、凶暴につきの巻
こんにちは、やっと書き上げましたので投稿いたします。
楽しんでいただけましたら嬉しいです。
お下劣クラスの悪臭を放っていたボロ着を脱ぎ捨て、やせ細っていた全身をゴシゴシと磨き上げた一時間前。
お胸が平たい族代表になれそうなまな板的芸術なおっぱいを鑑賞しながらの優雅なひととき。
ああっ、シルク、違います、浮気ではないぞ、そ、そう、シルクに会えない寂しさが……などと一人懊悩をしている、こんにちはリンです。
今、フレアから香る、ペパーミントの爽やかな香り。
やはり、日本のお風呂最高ですね!
シャンプーや石鹸の香りは素敵です。
さて、マンションの一室にて情報収集していた僕とフレア。
パソコンやテレビの情報からこの世界のおおよその状態が理解できました。
まぁ、一言でまとめると……時はまさに世紀末と言うところでしょうか?
当然、救世主など来る訳もなく、世界はゾンビたちに蹂躙されまくりです。
至福のひとときであった入浴後、冷蔵庫を物色してお肉やお肉やお肉などのタンパク質で軽く食事をすまして禁断の外の世界に行くことにした。
禁断とはいえ、某レンタルショップの十八禁コーナーの暖簾をくぐるより勇気はいりません。
僕を守るようにフレアが警戒をしながら階段を降りるとマンション入口を出てすぐの場所から大きな声が聞こえました。
あきらかにゾンビか暴漢に襲われている者の声でしょう。
野次馬根性ではないですが後学のために少しだけ見学に。
「この化物、おいこら、離せよ、離せよ!」
「おさむから離れろぉ、だ、誰か、助けて!」
どこの世界も無力な者は餌でしかない。
懇願する声も泣き叫ぶ声も全て耳障りな悲鳴に変換されています。
その光景を見ながらも僕は何もできない、いや、何もしようと思いません。
僕とシルクが受けた陵辱と屈辱に比べれば大したこともないのですから。
別に意地悪で無下な態度をとっているわけではないのです。
惨劇の場所はマンション通りの商店街、酒屋とコンビニの共同駐車場。
平和な時代なら学生などが屯しそうな場所ですね。
動きの遅いゾンビに生きたまま食い殺されそうな茶髪の青年と金髪の少女。
おや、捕食する側、される側が同じ服を着ています。
なかなかお洒落な学生服ですね、ご近所にある高校の学生服かな?
そして同じく学生服姿のゾンビ二体に囲まれ、捕食されようとしている。
「ご主人様」
袖を掴んだフレアに引っ張られて僕は一歩後退する。
学生とゾンビから刺すような視線を外さず、警戒を緩めていない。
「どうしたの? ああっ、さっきのさりげなく乳首を触った件に関しては事故です」
「私はご主人さまの奴隷です、もし、こんな私でよければ、ご主人さまの子種を入れていただきましたら至上の幸福であります」
「子種って何んですかーっ? 僕はシルク一筋なんだ」
「はい、正室様には黙っておきます」
「フレアーっ、目がとろりとしていますよーっ!」
とってもやばそうなので僕は話を切り替える。
今は眼前でお食事中のゾンビたちの行動が気になりますので。
「こちらからちょっかいをかけない限り襲ってはこないでしょう」
「どうしてそう思う?」
「ゾンビ系は本能と嗅覚で動いています、目の前の獲物を捕食している間は安全です」
捕食されている金髪の少女はこちらに向って「助けてぇ」と叫ぶがフレアは口角を上げながら薄ら笑うを浮かべている。
ゾンビに人が捕食される、弱肉強食のヒエラルキー。
半ば濁った悲鳴が徐々に弱くなり、やがて二人はゾンビに囲まれた血だまりの中、食い破られモノを申さぬ肉の塊になっていく。
「あの食欲、行動……私の知っているゾンビとは違います」
「違うとは?」
「魔大陸のゾンビはネクロマンサーに操られているか、魔溜まりの森を徘徊して朽ち果てるかなのです。自らの意思、本能などで人を襲うことなどありません。ましてや人肉を貪り食うなんて」
フレアは人を捕食するゾンビを興味深げに見守っていたが自分が知るゾンビと姿形は類似してもその捕食する姿が不可解にうつるのだろう、眉間に皺をよせて何か思案している。
「ご主人様」
「どうしたの?」
「あのゾンビたち撃破しても良いですか?」
フレアの提案に僕は静かに頷く。
すると、やせ細っているとは思えないキレのある動きでゾンビ達との間合いが一気に埋まる。
吐き気がするほど爛れた首がひとつはじけ飛ぶ。
体勢が崩れたところを蹴りあげて二体目のゾンビの頭部を無機質な木の棒が突き刺さり脳漿と血が吹き上がる。
負傷した右足から血が流れ出る茶髪の青年とあまりの恐怖にその場で失禁してしまっていた金髪の少女がすがるようにフレアを見た刹那。
フレアは再び薄っすら微笑み、茶髪の青年の頭部を引き抜いた木の棒で粉砕した。
胴体だけの青年は重力に引かれるようにその場に崩れ落ちる。
「えっ、えっ、えっ、あれ、おさむ? おさむ?」
ぼんやりとした虚ろな目で金髪の少女はフレアを見上げる。
恐怖、絶望、本能的な危機が、そう、死の恐怖が金髪の少女の心と精神を飲み込む。
僕と視線を交わしたフレアは軽く小首を傾げて無言で木の棒を振り抜く。
たじろぐ暇もなく金髪の少女の身体が崩れ落ちていく。
大きな血だまりを作りながら。
いかがでしたか?
モンスター文庫大賞に出さうと思っていますので、ご意見、ご感想、お待ちしております。




