ゾンビ世界・リン編・・・残酷な拷問と生き抜くための忠義の巻
こんばんわ。
リン編も始まりました。
助っ人もぼちぼちでてきますので、皆さま、楽しんでいただければ幸いです。
その声は艶やかで魅力的で懐かしくて・・・そして、恐怖を感じた。
ようこそあなた自身をが知ることのできる本当の世界へ・・・わたしの欠片を魂に治める者。
可愛くて大好きな・・・リリン・・・いえ、リンでしたね。
「だ、誰なのですか!?」
もう少し・・・で逢えるよ。
怖い、とても怖い。
僕の本能が触れちゃダメ、とっても危険だと震えだす。
脳裏に響く声は僕の心を知る由もなく、淡々と憎悪と敵意を膨らませて想いを投げかけてくる。
リン・・・わたしはリリス・・・そして、シルクの・・・。
言葉がはっきり聞き取れない、いや、聞きたくないと拒絶するように聞き取れない。
その事実に毅然と向かい合ったとき・・・血塗れたあのときが再び・・・。
恐怖の対象が消えた。
脳裏からふっと圧倒的な何かの意識が消えたのだ。
それと同時に僕はバランスを崩してソファから落ちてド派手でお尻を打ち付けてしまった。
とっても痛いですぞーっ!
もしかしたら今の声は夢かもしれない・・・と試しに現実逃避をしてみる。
『何の解決にもならへんやん!』と一人ツッコミをしてみるが・・・ううっ、相方のシルクがいないと寂しいです。
軽く頭の中で今の状況を整理してみる。
割と平和な時代から異世界に飛ばされて、そして、割と平和なはずだった現代? に戻ってきたのかな。
窓から覗く街・・・そこは混み合っていた人、喧騒や活気に満ちあふれた街の残滓の欠片も見つけられない。
「ご主人様」
「えっ!?」
誰もいないはずのリビングから聞き覚えのある声。
僕は驚きつつも少し身構えながらも振り返った。
そこには現代風リビングに似つかわしくない、乞食みたいな風貌の片腕の少女が片膝を床に付き、深々と頭を下げる姿があった。
見るも無残なボロボロの服をまとった姿、しかし、その瞳の奥はギラギラとした光りが宿っている。
「フレア!?」
僕の素っ頓狂な声に反応するようにフレアはスっと立ち上がり、上目遣いで『ご主人様、怖い目にあいませんでしたか?』と言いたげな視線を送ってくる。
もう、怖い目にあいまくりです、綱なしバンジージャンプをするぐらい怖いですよ・・・ってそれってただの自殺やん。
「突然、ご主人様が消えたので驚いてしまいましたが、意気投合した奴隷少女Aとともに月読のかぐやを拷問したところ、白状しましたのでここに推参いたしました」
しらっと答えてくれるが・・・とっても心配してくれたのだろう、ありがたいや・・・というか、今、拷問って言わなかったか!?
聞き間違えかもしれない、念の為に聞き返してみる。
「月読のかぐやさんは僕の先輩なんだけど、拷問って何したのかな?」
「………」←(しらないですよーっとシラばっくれて目をそらすフレア)
「まさか、怪我とかしてないよね」
「………」(プルプルと眼球が揺れながらもシラばっくれるフレア)
「僕よりも土偶神アラハ先輩が怒っちゃうかも」
「………」←(もう、無言で全力土下座をするフレア)
ええーっ、それってマジですかーっ!?
どうしようもなくシュンとしてしまったフレア・・・何だかその場で思い詰めてハラキリキリハラの日本のお家芸、ザッ切腹でもしそうな勢いがあったのでポンッと頭を撫ぜて「心配かけたね」と言い、微笑んでみた。
そして、ささやかな疑問が浮かんだのでフレアに聞いてみた。
「フレア、あの魔大陸からどうやってここに来たの?」
「それは……」
フレアは羞恥をこらえるように、それでも切なそうに小刻みに震えて僕を見上げる。
その瞳はあからさまに熱をおびていた。
「忠義の心(愛)あればこそ乗り越えられる奇跡です」
「なるほどわかった、それで本当のところは?」
「はい、月読のかぐやを縛り上げて、あっはんうっふんなヘタリア地獄の拷問の末、転移してもらいました・・・はっ・・・も、申し訳ございません」
僕は盛大に溜息を吐いてしまった。
月読のかぐや先輩・・・すみませんです。
もし、無事に帰ることができましたら・・・菓子折りもっていきます。
僕は静かに心の中で土下座全開で謝り続けるのでした。
いかがでしたか?
なかなか、執筆が思うようにすすまない今日この頃ですが、頑張りますのでご声援宜しくお願いします。




