赤貧の神と禁忌な力の巻
こんばんわ、ついにシルクの力の一端を垣間見ることができます。
楽しんでいただければ嬉しいです。
死の香りが漂う砂漠、その境界の先にある小さな集落。
乾燥しきった岩肌が集落全体を覆い隠す、鉄壁の障壁と化した天然の要塞。
砂かけババアが支配する、魔王すら攻め込むことが出来ない、荒くれ者たちの跋扈する世界。
「ここがあにさまを誘惑した年増(砂かけババア)の住処なのですか!?」
「そうある、この先は魔王たちが不可侵領域と認め、我が物顔で咆哮するドラゴンも黙って遠回りする砂かけババアが支配する死の香りが漂う世界ある」
「ふふん、こざかしいど素人ドラゴンなのです。うちは遠回りのエキスパートなのです。その昔、やんごとなき事情で高利貸しから小判を一枚借りたときの師走、借金取りがねぐらに忍び寄ってきた足音と気配が消えるまで遠回りして時間を潰して逃げ切った強者なのです。ど素人ドラゴンなんて捕まえて、三枚にスライスしてすき焼きの肉にしてやるのです、タンパク質なのです、ふんす!」
それにしても年増(砂かけババア)の住処はとてつもなくでっかいのです。
むきー、年増(砂かけババア)めーっ、でっかいのは乳だけで充分なのに家まででっかいなんて、貧乳の絶壁まな板胸の称号を欲しいままにする赤貧の神であるうちに喧嘩を売っているに違いないのです!
とっても高い崖の上から奴隷少女Aとともにうちは眼下にひろがる年増(砂かけババア)の住処を見おろしてやっているのです。
背後には奴隷少女Aの配下、武装した大量のあんぱん部隊が「「「あんぱーん」」」と叫びながら今か今かと待ち構えてやがります。
「第一つぶあんぱん部隊は突撃態勢ある、第二練あんこ隊、第三粒あんこ隊は待機。第四クリームパン部隊は迂回して集落の後方から攻めるある! わかったあるか!」
「「「あんぱーん」」」
「おひひょー、そんなに美味しそうな種類があったのですかーっ!?」
「「「あんぱーん」」」
「むひゃー、あんぱんの奴らーっ、身体からはがした黒ゴマが飛ばしてきやがりました、とっても香ばしくて美味しいのです、もっと投げやがれですー!」
うちが無邪気なあんぱんとジャレあっている近くで奴隷少女Aは大きく息を吐き出して銅の剣を正眼に構えるとギュッと両眼を瞑っています。
ただ、うちにははっきりと見えるのです。
奴隷少女Aの真っ直ぐな強い想いが居心地の悪い天空の遥か下の集落を捉えています。
そして、始まりの時がやってきたようです。
奴隷少女が少し冷たい感じのする声でぽつりと呟いたのです。
「多い・・・沢山の気配が動くある・・・向こうさんは一戦迎え撃つ構えある」
奴隷少女Aの言葉が耳に入ったとたん、集落から三つの狼煙があがりました!
うちは念じてしまったのです・・・そのまま火が燃え移って全てが煤になるぐらいの火事になった全滅すればよいのです! と。
そう、うちは狼煙を見て、あにさまから止められていたにもかかわらず念じてしまったのです。
うちは物凄い焦りが心の底から吹き出してくると慌てて念じることをやめましたが後の祭りなのです。
とんでもない大失態をしてしまったのです。
「こ、こればどうしたのあるか!? チャンスある、千載一遇のチャンスある! 全軍突撃あるよ!」
奴隷少女の眼光の奥に好戦的な想いが宿る、そして銅の剣を高らかに掲げてあんぱんたちの先頭をきって突撃していきやがりました!
なんてぶっとんで早い行動なのですか、焼きそばひと玉18円バーゲンセールのあにさまぐらいの速攻力なのです。
もはやたんぽぽ荘の裏山の社の近くに住んでいる猪のオッコトさんぐらいの突進力です。
「ううっ、出来心でやってしまいました・・・あにさまに叱られてしまいます・・・グスン」
一人取り残されたうちは頭を抱えて「はぁ~」と幸せがいっぱい逃げそうな嘆息をしました、すると、きらりんと妙案を思い浮かんだのです!
流石はうちです、うちは天才なのです、もっと愛されて数百年ぐらい褒め称えられても良いほどの妙案なのです。
これならば、あにさまにバレない自信がありやがります!
もうヤルしかないのですーっ!
いかがでしたか?
果たしてシルクはどのような力を発揮したのが・・・次回へ続くです。
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本日もありがとうございました。




