住人との出会い? 青い空と豆乳首の件について
にっこり微笑んでいる太陽がギラギラと照りつける炎天下で待たされること一時間。
シルクが僕の服の裾をブルブルと振って上目遣いに見上げてきた。
「ううっ、あにさま。とってもお腹が空いて喉が乾いてきました。そこの田んぼの水をすすってきて、かえるを捕まえて舌鼓をうっても良いですか?」
透き通った瞳をウルウルさせて訴えてくるのでうんと頷いてみた。
「ぐぶっ、話がわかるあにさまは大好きです。バナナとみかんの次に大好きです・・・はっ、もしや、バナナ一本とみかん二つで男性のシンボルゴッコを連想されたのでは、エロです、あにさまはド変態です」
「ド変態はおまえだろーっ!」
「というわけで、田んぼにダイビングです。はい、あにさま、このお洋服預かってください。一ヶ月ほど着替えてないのでしっかり匂い付きです。クンクン匂いでもよいですよ」
シルクは周囲の目も気にせずシャシャシャと服を脱ぐ。
こらこら、そんな惜しみもなく脱ぐなんて、少しは慎みを持ってほしいものだなどと頭の片隅で考えてしまう。
僕の前でペッタンコの胸をさらけ出したところで。
「ちょっとあなたがた! ひとの家の前で何してますの!」
甲高い声だ。
僕は振り返ると思わず「あっ」と声を漏らしてしまい唖然した。
土偶が立っていた。
とても器用に二本足で。
「もう一度、聞きますわ。わたくしの家の前で何をしていますの?」
怪しすぎる土偶が剣呑とした雰囲気で近づいてくる。
「うむうむ、うちたちが何をしているか? 明智君、それは難題だね。だはシルクがバカでもわかるように懇切丁寧に説明してあげるのです」
「わたくしにむかって馬鹿ですって・・・」
こらーっ、シルク! 初対面の変人(土偶)に向かって失礼だぞーっ! ああっ、土偶の額に青筋がみえるような。
「うちはここにいるにいさまに『でへへ、チョコあげるから胸にあるピンク色のぽっちボタンを見せて』と脅迫されて、いやいや素肌をみせたのです。何かあったら全部、あにさまがわるいのです」
「なな、なんですって。こんな可愛らしい実の妹にあんなことやこんなことをするなんて・・・。すぐに警察に突き出してあげます。全身に変態ロリコンやろうとペイントして市中引き回しのうえ打ち首獄門にしてあげますわ」
「もうもう、うちが可愛らしいなんてテレテレです」
「嘘つきシルクーっ。照れてる場合かーっ! 訂正しろーっ」
「むむむっ。、もう、乳首を豆回したあとといったほうがよかったですか?」
「豆回しってなんやねん・・・ああっ、土偶さーん、おかんむりのうえ威圧的な態度で器用にスマホをいじって通報しないでください」
田舎のど真ん中に鎮座するたんぽぽ荘に到着して深呼吸をする暇もないほどの慌ただしい。
今の僕にはそれもお似合いかもしれない。